かなり昔、5年ほど勤めてた会社で起きた話。
決算期で忙しい時期で夜23時まで働くのは当たり前みたいな時に、腹も減ったので近くのコンビニで飯でも買ってくるかと出て行った。
その時事務所に残っていたのは俺を含めて3人。みんな男で、俺以外の2人は家族がいた。
暫くしてからコンビニで飯を買って事務所へ戻ったら、2人がパンツ姿で相撲を取っていた。
「え?」と間抜けな声を出した俺に、「いや違うから」「疲れたからさ」と笑って誤魔化す2人。
ポカンとする俺を後目にワイシャツを着て、スラックスを履いて、何も無かったように仕事へ戻っていった。
なんなら「飯買いに出てたなら俺らの分も買えよ」と言われた。
2日後。
出社すると昨日いた2人のうち1人がいない。病欠だそうだ。
翌日。
2人ともいなかった。病欠だそうだ。
一週間後。
2人とも辞職する事が発表された。
私は驚いたが、他部署の女性事務員から「あの2人、デキてたみたいです。」と言われて察した。
あの夜に見た謎の相撲。
2人は自分が帰ったのだと勘違いして、職場で盛っていたんじゃないかと。
それで自分たちの関係がバレるリスクに耐えられず、辞職したのだと。
その日の夜。
事務所を出て駅へ向かおうとした時に、上記の当人である片方の●●から突然声をかけられた。
そのまま近くの喫茶店へ連れられると、「事務所内に言いふらしたりしてないか」「お前に見つかってから事務所内で冷遇された」と矢次早やに聞かれた。
当然知らんし関係無いので冷たい態度で接すると、今度は「妻への愛が年々薄くなった」「▲▲に会ってからずっとあいつの事を想っていた」「▲▲もゲイだと知った時は運命だと確信した」と謎の自白が始まった。
結局残業でもないのに閉店まで付き合わされ、別れ際に「お前は絶対に言いふらしてないんだな」と念を押して聞かれた。うんざりした。
数日後。
私に2人の関係を教えてくれた女性から「あれからあの2人に会いました?」と聞かれた。
喫茶店で愚痴を聞かされた話をすると、「やっぱり!私も一昨日すぐそこで会いました!」と言われた。
なるほど、と話をそこそこに終わらせようとした瞬間、
「▲▲さんも必死なんですかね~」
と言われてピクッと動きが止まった。
自分が話を聞かれたのは●●。この女性が話を聞かれたのは▲▲。同じ話でも相手が違った。
まさか2人で犯人を探している?何故?そんなにバレたくなかったのか?
疑問は結論に至らなかったが、予想外の展開で答えを得る事となった。
翌日。
偶然通りがかった人に通報され、●●は傷害の現行犯で逮捕された。
それから暫く経ってから聞いた話だが、部長は薄っすらと2人の関係を察していたようだ。
当時はまだ理解の無かった時代なので見下していた部長は、片方が病欠した時に「男でも漁って病気になったのかね」とポロっと言ってしまったらしい。
それを聞いた女性社員からの口伝えでドンドンと噂は広まり、当人らの耳にも届いてしまったようだ。
会社での居場所を失った2人は噂を広めた犯人への報復を決意した。
そして帰宅途中の社員を捕まえては聞き取り調査をし、部長への問い詰めで遂に犯人が見つかって報復をした、と。
ちなみに自分は相撲を見つけてしまったので犯人候補として挙がっていたらしく、問い詰めが数時間続いたのは自分だけらしい。
あの喫茶店に同時刻▲▲がいたと知った時はゾッとした。
結局傷害で逮捕された●●は家庭崩壊し行方不明、▲▲はどうなったか分からないが●●が逮捕されたので良いようにはなっていないだろう。
部長は暫くしてから復帰したが、騒動の中心だったと言う理由で閑職に回されていた。
私は相撲の件をどうしたものかと暫く思案していたのだが、言って変わるものでもないかと判断し胸の内に秘めていた。
自分が何かの間違いで2人の関係を話していたら●●に怪我を負わされていたかもしれないと思うと、黙っていて正解だったと今も思う。
今は寛容な社会ではあるが、こうした個人の秘密は今も昔も不用意に広めないのが身のためだ、と身をもって知った事件でした。
初めて日記にして書いてみましたが、たいぶつまらない話になってしまいました…。
もっと怖い話とか体験談は持っているので、また機会があれば書こうと思います。
●●の悲しき過去 ──