ITのなんらかの団体の代表が最低限知っておくべきこと
武士の情けだ。どこの誰とは言いませんが
とある地方の酒席で、まあこじんまりとした会で、5,6人で集まって飲むところに、知らない人がいたので名刺を頂いた。いや、そもそもぼくは無職なので名刺などもってないからいらないといったのだが、強引に渡された。
アイティの専門家の団体の代表なのだという。
ほお。なるほど。アイティにお詳しいんですね。
しかしなんだか話がおかしい。
「シリコンバレーのMicrosoftが…」
「え?MicrosoftのHQはシリコンバレーじゃないでしょ?」
そんなことは常識だと思っていた。
「Amazonみたいなシリコンバレーの会社が…」
「え、Amazonはシリコンバレーじゃないでしょ。MSもAmazonもHQはワシントン州ですよ」
「ああ、シカゴの南あたりの…」
もうこの人とは何も語る価値がないし時間が勿体無いし、この人が代表をしている地方のアイティなんとか団体とやらは付き合う価値がない。
教養とは、最低限の会話のプロトコルである。
まずこの人は、自分の土台を理解してない。
自分が立つ足場さえわからない人が、他の誰かにアイテーとやらを指南してうまくいくはずもない。
まあ僕ならまだいいよ。悪口言うくらいだから。
もしも本当にシリコンバレーから人が来たらどうする?アイティーの団体の代表なんでしょ?会う可能性は普通の人より遥かに高いよね?
こんなあやふやな認識のやつと話をして意味があると思うか。
僕と違って悪口を書き散らかしたりしないだろうが、静かにバカにされるだけだよ。
もしかすると「HQ」という言葉の意味さえ伝わってなかった可能性がある。
なぜMicrosoftが自社の本社をHQと呼ぶのか。それすらわかってない可能性がある。
あーあ。またお前らの土地は焼け野原だよ。
B-29が何なのかもわからずに竹槍の練習してた時代と何も変わらない。
まあそれだけだとただの愚痴だから蒙昧な幸隼さんのために地図を書いてあげよう。
まず大事なのは、ワシントン州とワシントン特別区は真逆の場所にあるということ。
ワシントン・コロンビア特別区、つまりワシントンD.C.は、東海岸にあり、ホワイトハウスが設置されている。ワシントン州は、西海岸の北端にあり、カナダとの国境に接している雪国だ。ここにMicrosoftとAmazonとNintendo of AmericaとボーイングとタリーズコーヒーとスターバックスのHQがある。
ワシントンD.C.とワシントン州を混同するというのは、東京と大阪を混同するよりもたちが悪い。イメージ的には、東京とシンガポールくらい離れている。時差が三時間もあるんだぞ。そんなのごっちゃにする人とまともな会話なんかできるわけないよな?
HQとは、Headquartersの略で、司令部を意味する軍事用語だ。アメリカの会社はほぼすべて本社をHQと呼ぶ(ただしHQは複数存在する場合もある)。
シリコンバレーは同じ西海岸でもかなり南の方で、メキシコと接するカリフォルニア州にある。
サンフランシスコとシリコンバレーは同列に語られるが、実際には車で1時間ちょっとの距離がある。また、そもそも「シリコンバレー」は地名ではなく、サンノゼ(Intel)、マウンテンビュー(Google)、パロアルト(Xerox PARC)、クパチーノ(Apple)などを含めた地域の通称に過ぎない。が、「シリコンバレー」にMicrosoftを含むのはいくらなんでも乱暴すぎだ。新潟県長岡市を「秋葉原電気街」に含めるくらい無茶苦茶なことだというのは地図を見れば一目瞭然のことと思う。
ちなみにMicrosoftのHQはシアトルにあるという説明をよくされるが、それは完全な間違いで実際にはシアトルから車で30分から1時間くらいかかるレドモンドという場所にある。
長岡市と湯沢町を同一視する程度にはおかしい。
ちなみになぜ一定地区に同じ業界の会社が集中するかというと、一つは大企業からのスピンアウトが多いことと、大企業からヘッドハンティングしやすいこと、そして有名大学の近くに作られるため人材を獲得しやすいというメリットがあるからだ。
日本でも、たとえばゲーム会社のスクウェア(現スクウェアエニックス)は、日吉にパソコン喫茶のようなものを作り、そこにやってきた慶應理工学部の学生を中心に立ち上げられた。電通大出身の南治さん率いるビサイドは東京西部にあるし、僕が本郷や湯島周辺にたくさん会社を作ったのも東京大学のインターンを沢山集めるためだった。
慶應の学生は裕福な子が多いので多少遠くても来てくれるが、東大は苦学生が少なくないから大学の近くにあるほうが安心して働きに来てくれる。つまり、地政学上の優位性がある。
アメリカ合衆国のどこに会社のHQがあるのか理解することはその会社を理解する第一歩だ。これは知識ではなく教養の問題なのである。従ってシアトルならUW(ワシントン大学)、サンフランシスコやシリコンバレーなどのベイエリアならスタンフォードとUCB、ボストンならMITとハーバード、テキサスならUTA(テキサス大学オースティン校)やライス大学があるなという常識とセットにならなくてはならない。
地図を見てわからない人は、もう救いようがないのだが、実際にそこに行ってもらうしかない。
ムスリムには、メッカ巡礼が義務付けられており、巡礼を果たした人は「ハージー」と呼ばれ、地域によっては社会的な尊敬を集めることがある。
自分の食い扶持の源泉であるGoogleにもMicrosoftにもAppleにも行ったことがない、行こうとも思ったことがない人間が、アイティーのなんらかの団体をやるなどちゃんちゃらおかしい。その地域全体が世界中から馬鹿にされるいい恥晒しと言える。
いやしくも情報技術を仕事にするならその起源たる英国とその中心地たるアメリカ合衆国のどこに何があるのか把握してないというのは、首都が東京であると知らない日本人のようなものだ。そんなの日本人て認められる?
まあきっと夢で見た話だろう。
そんな人間が存在するはずがないし、そんなアイティー団体が存在していたら恥ずかしくて存在できるわけがない。
存在するわけないよな?
まあ忍者が消してくれるだろう。頼むぞ忍者


