第22話

❤️‎🤍 幼馴染
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2026/07/10 19:00 更新
夏休みの終わり、大学の映像制作サークルで撮影旅行へ行くことになった。

海沿いの小さな町。夕方になればオレンジ色の光が街全体を包み込み、どこを切り取っても映画のワンシーンみたいだった。

班は三人。

山中柔太朗くん、曽野舜太くん、そして私。

柔太朗くんはカメラを肩にかけ、何気ない景色さえ作品に変えてしまうような感性を持っていた。一方の舜太くんは、人懐っこい笑顔で地元の人ともすぐ打ち解け、気づけばみんなの輪の中心にいる。

正反対なのに、不思議と息はぴったりだった。
柔太朗
ここ、光いいね。
柔太朗くんがファインダーを覗く。
柔太朗
じゃあ、モデルお願してもいい?
そう言われ、少し照れながら立つと、隣から舜太くんが笑った。
舜太
緊張してる?
あなた
……ちょっと、
舜太
大丈夫やよ、柔ちゃん写真上手いからな
その一言で肩の力が抜けた。

撮影が終わると、柔太朗くんは液晶を見せてくれる。
あなた
え、これ…私?
柔太朗
そうだよ
短い返事。でもどこか誇らしそうだった。

その横から舜太くんが覗き込み、″ めっちゃいいじゃん!″ と大げさなくらい喜んでくれる。

二人といる時間は心地よくて、気づけば笑ってばかりいた。

その日の夜。

撮影が予定より長引き、宿へ戻る頃には雨が降り始めていた。
舜太
走ろ!
舜太くんが私の手首を軽く引く。

雨宿りした商店街の軒下で三人並ぶと、雨音だけが静かに響いた。
あなた
…止まないね。
私が空を見上げると、柔太朗くんが自分のパーカーをそっと肩へ掛けてくれる。
柔太朗
風邪ひくよ
あなた
でも、柔太朗くんが風邪ひいちゃう
柔太朗
俺は大丈夫だよ
相変わらず言葉は少ない。

でも、その優しさは十分すぎるほど伝わってきた。
舜太
…ずるいなぁ、
舜太
そういう自然な優しさ
柔太朗
しゅんも十分優しいでしょ
舜太
でも俺、勝てる気しないんよな、
その言葉に胸がざわつく。

“勝つ”って、何に?

そう思った瞬間、舜太くんが私を見た。
舜太
俺な、最近ずっと考えてたことあんねん
少しだけ真面目な顔。

雨音が少し大きくなった。
舜太
…好きなんさ
その一言で、時間が止まった。
あなた
…え?
舜太
もちろん急に返事とかいらんよ、
でも言わないと後悔する気がして
私は何も言えなかった。

すると隣で柔太朗くんが静かに息をつく。
柔太朗
実はさ
柔太朗
…俺も
思わず振り向く。
柔太朗
好きなんだ、
飾らない、真っ直ぐな言葉だった。

舜太くんが苦笑する。
舜太
やっぱりそうやんな、
柔太朗
バレてた、?
二人は目を合わせ、小さく笑った。
柔太朗
…だから最近、変だったんだね
舜太
それは柔もやろ?
ライバルなのに、どこか優しい空気が流れる。
舜太
これからは勝負やよ
そう言って笑う舜太くんは、いつもの明るい笑顔だった。
舜太
お出かけも誘うし、好きってちゃんと伝える
柔太朗
俺も
柔太朗
だから覚悟しててね
表情だけで、本気なのが分かった。

雨は少しずつ弱くなる。

商店街の向こうに、夕焼けが顔を出した。
舜太
今日はまだ決めなくていいからな
柔太朗
その変わり、簡単には諦めないからね
恋なんて、一人と一人だけのものだと思っていた。

でも今は違う。

こんなにも真っ直ぐ想ってくれる人が二人もいる。

幸せなのに、少し苦しい。

それでも――この夏が終わる頃には、きっと私は答えを見つける。

そう思いながら、雨上がりの空を三人で見上げた。

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