放課後の公園は、夕焼けでオレンジ色に染まっていた。
ベンチに座る私の隣で、塩﨑太智くんはペットボトルのキャップを弄びながら空を見上げている。
付き合い始めて三か月。
だけど私はまだ、太智くんの隣にいるだけで緊張してしまう。
不意に太智くんが口を開いた。
文化祭の準備のことだとすぐに分かった。
その言葉だけで胸が熱くなる。
好きな人に見てもらえていた。
それだけで一日の疲れが全部消えてしまいそうだった。
風が吹くと、髪が顔にかかって視界が少し遮られる。
すると太智くんの手が伸びてきた。
さらり、と髪を耳にかけられる。
一気に鼓動が速くなった。
思わず頬を膨らませて抗議すると、彼は楽しそうに笑った。
その笑顔がずるい。
かっこいいのに、少年みたいで。
見ているだけで好きが大きくなる。
夕日が彼の横顔を照らしていた。
少し赤くなっているのは夕焼けのせいだけじゃない気がする。
胸がいっぱいになる。
こんなの反則だ。
やっと絞り出した言葉。
すると太智くんは目を丸くして、それから嬉しそうに笑った。
その笑顔を見た瞬間、どうしようもなく愛おしくなった。
沈黙が落ちる。
でも気まずくない。
むしろ心地いい。
夕焼けの中で、二人だけの時間がゆっくり流れていく。
太智くんがそっと私の手を握った。
その手は温かかった。
指先まで優しく包み込まれる。
顔を上げると太智くんと目が合う。
近くて、思わず息を止めた。
太智くんは少しだけ困ったように笑う。
その一言に少しだけ安心した。
次の瞬間、太智くんの手が頬に触れる。
優しくて、壊れ物を扱うみたいだった。
そして――
唇に、柔らかな温もりが重なった。
ほんの数秒。
なのに永遠みたいに長く感じる。
離れたあとも、心臓はうるさいままだった。
太智くんは照れ隠しみたいに笑う。
そう言ってもう一度手を握り直す。
夕焼けに染まる帰り道。
繋いだ手は最後まで離れなかった。
ご愛読頂きありがとうございます!
新作の長編物語を投稿し始めたのでぜひこちらもお読みいただけると嬉しいです> ̫ <!!
次回もお楽しみに ꢏꢷ^ᴗ ̫ ᴗ^♩
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。