大学の講義が終わり、帰ろうとした時だった。
そう言って笑うのは太智くん。
そう言われて首を振る。
嬉しそうに笑う太智くんを見ていると、なんだかこっちまで嬉しくなった。
その時はまだ、この一日が特別な思い出になるなんて知らなかった。
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ディズニーに着いてすぐ、私は思わず声を上げた。
視線の先には、色とりどりの風船。
空に浮かぶ姿はまるで夢みたいだった。
隣の太智くんが笑う。
そう答えると、太智くんは ″ふーん ″ とだけ言った。
それからはアトラクションに乗ったり、チュロスを食べたり、写真を撮ったり。
太智くんは終始楽しそうだった。
″ 次あれのろうや! ″
″ こんどはこれ食べたい!!″
″ つかれたなーー!! ″
そう言って太智くんが大好きなディズニーを楽しんでいる姿がとても子供らしくてつい笑ってしまう。
けれど、友達といる時と変わらないはずなのに、今日はなんだか違った。
写真を撮る時に自然と隣に来たり。
人混みで見失いそうになると振り返ってくれたり。
そんな些細なことが妙に嬉しい。
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夕方になり、お土産ショップを見ていた時だった。
突然そう言って太智くんがどこかへ行ってしまう。
理由を聞く前に人混みへ消えていった。
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数分後。
戻ってきた太智くんを見て、私は目を丸くした。
その手には大きな風船。
昼間見ていたものと同じだった。
そう言って風船を差し出してくる。
断ろうと思ったのに、できなかった。
だって嬉しかったから。
私が何気なく見ていただけなのに、覚えていてくれたことが。
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閉園時間が近づき、出口へ向かう。
夜風に煽られて風船が大きく揺れた。
慌てて掴もうとした瞬間。
別の手が同時に伸びる。
太智くんだった。
二人で同じ紐を握る。
思ったより近い距離に心臓が跳ねた。
そう言って顔を上げた太智くんと目が合う。
そのまま数秒。
なぜか視線を逸らせなかった。
即答すると、太智くんは少しだけ安心したように笑った。
そして直ぐに 真剣な眼差しでこちらを見つめる。
夜のパークの音が遠く聞こえる。
胸がぎゅっと締め付けられる。
なんとか絞り出した声に、太智くんは困ったように笑った。
風船の紐を持つ手が少しだけ重なる。
その意味に気づくまで数秒かかった。
そして理解した瞬間、顔が熱くなる。
太智くんは照れ隠しみたいに笑って述べる。
でも
重なった手を離したくないと思った時点で、私の答えはもう決まっていた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。