第6話

❤️ 花火
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2026/07/11 16:20 更新
夏祭りの日。

待ち合わせ場所に着くと、舜太くんは私を見るなりふっと笑った。
舜太
浴衣、似合ってんで。
舜太
思ってたよりも何倍もかわええなぁ
不意打ちの一言に思わず顔が熱くなる。

舜太くんとは幼なじみで、昔から照れもせずに思ったことを口にするから、こっちばかり振り回される。

舜太くんはそんな私をみて楽しそうに笑う。



それから私たちは屋台を回った。

射的をしたり、かき氷を食べたり、他愛もないことで笑い合ったり。

ずっと楽しみにしていた夏祭りは、想像以上に楽しかった。
舜太
そろそろ花火の時間やし、行こか。
人の流れに乗って歩き始めたころだった。
あなた
…っ、、
かかとに鋭い痛みが走る。

思わず足を止めた。

慣れない下駄で靴擦れしてしまったらしい。

少し休めば大丈夫だと思ったけれど、人の波はどんどん流れていく。


顔を上げた瞬間、血の気が引いた。
あなた
……あれ???
さっきまで目の前にいた舜太くんの姿が見えない。
あなた
…舜太くん!!!!!
呼んでみても、人々の話し声にかき消される。

追いかけようとしても、足が痛くて思うように進めない。

スマホを取り出したけれど、回線が混雑しているのか連絡も繋がらなかった。


どうしよう。

急に胸の奥がざわつく。

こんなにたくさん人がいるのに、ひとりぼっちになった気がした。

私は人混みを避けるように端へ移動し、近くのベンチに腰を下ろした。



花火開始まであと少し。

それなのに、楽しみだった気持ちはどこかへ消えてしまっていた。


数分後。
舜太
おった!!!!
聞き慣れた声が響く。

顔を上げると、舜太くんがこちらへ走ってくるのが見えた。

息を切らしながら、真っ直ぐ私のところへ。
舜太
よかった…!!
私の前で立ち止まると、大きく息を吐いた。
あなた
舜太くん、ごめんね。はぐれちゃって…
舜太
謝らんくてええよ。俺が悪いんやから。
そして、舜太くんの視線が私の足元へ移る。
舜太
ん、足、どうしたん?
あなた
あ、靴擦れ…
舜太
それで動けんかったんか。
無理しなくてよかったわ。
その優しい声に、張り詰めていた気持ちが少しだけほどける。

すると夜空に大きな音が響いた。

花火だ。

色とりどりの光が空いっぱいに広がる。
舜太
始まったな
私たちは並んで花火を見上げた。

だけど、隣にいる舜太くんの存在の方が気になって仕方なかった。

しばらくして、舜太くんがぽつりと口を開く。
舜太
さっき、本気で焦ったんよ?
あなた
…そんなに?
花火の光に照らされた横顔は、いつもより真剣だった。
舜太
探しても探しても見つからんくて…
舜太
自分でもビックリするくらい必死になってた、
胸がどくん、と鳴る。
あなた
…なんで?
聞いた瞬間、舜太くんが私を見る。

まっすぐな瞳。

逃げ場なんてなかった。
舜太
…好きなんよ、ずっと。あなたの下の名前ちゃんのこと。
花火の音が遠くなる。

聞こえるのは自分の心臓の音だけ。
舜太
こんなこと言うつもりなかってんけど、笑
その言葉がおかしくて、思わず笑ってしまう。
あなた
わたしも、舜太くんのこと好きだよ、
言った瞬間、舜太くんの目が大きくなった。

そして安心したように笑う。
その笑顔を見たら、私まで嬉しくなった。

夜空には大輪の花火。

その光の下で、舜太くんがそっと手を差し出す。

少し迷って、その手を握った。

すると舜太くんは優しく握り返してくれる。
舜太
帰り、足痛いやろ?
舜太
背中乗り。
そう言ってくれる舜太くんの横顔が、花火よりもずっと眩しく見える。

この夏祭りは私にとって一生忘れないものとなった。


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