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『アシスタント』より
『アシスタント』より

女性が性暴力や性差別に対して声を上げると、「ブスやババアが若くてキレイな女性に嫉妬している」と「女vs女」のキャットファイトに問題を矮小化する男性が登場するのは、日本でもよく見る現象だ。

『アシスタント』より

このように、加害者のハラスメントを助長する人々は「イネーブラー」と呼ばれる。被害者を信じない、あるいは、信じていても問題に関わりたくないから、イネーブラーは被害者の苦情を無視し、却下する。すると、加害者は「自分のハラスメント行為は許される」と思い、ますます加害を重ねていくのだ。

マシュー・マクファディンとジェーンを演じるジュリア・ガーナーの長いシークエンスは映画の一番の見どころなので、ぜひ劇場に足を運んでほしい。「騒ぎ立てるお前のほうが異常だ」と、父親ほど歳が離れた男性が若い女性を洗脳していくこの場面に、ハラスメントは加害者ひとりの問題ではないことが浮き彫りになる。イネーブラーは被害者をガスライティングして加害者の共犯になり、虐待は助長されるのだ。

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被害者を依存させる加害者の手口

もうひとつの手口が、グルーミング。近年、性加害に関する報道でよく耳にするようになった人も多いだろう。英語では別名「愛の爆弾」とも呼ばれ、加害者は被害者に「君は特別な存在で、必要とされ、愛されている」と感じさせて自分を信頼させ、その信頼を使って被害者を支配する。とりわけ被害者を追いつめたあとに、急に愛情を見せて正常な判断ができないようにする。

『アシスタント』より

本作では、上司がジェーンに対し行っている。ジェーンの人事部への告発を知った上司が怒り狂い、彼女に再度謝罪メールを書かせるのだが、その直後に君には期待している。君はとても優秀だ」などと手のひらを返したように優しく接するのだ。

書籍『その名を暴け―#MeTooに火をつけたジャーナリストたちの闘い―』にも、ワインスタインの部下だった女性が、いつもは虐待的なワインスタインにときおり優しさを見せられて、グルーミングされていたことを明かすエピソードがある。

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