ハラスメントを助長するもの
マイクロアグレッションのほかにも、本作はハラスメントを助長する手口も明るみにする。
そのひとつが「ガスライティング」。被害者の経験、感情、記憶を否定して自分自身を疑わせる心理的虐待の手法で、被害者を混乱させ、自分が無力で加害者に依存しないと生きていけないと思わせるのだ。
本作では、ジェーンがハラスメントを相談した人事部の男性がその手法をとっている。ジェーンの上司は、未成年に見えるほどの若いウェートレスをアシスタント職にヘッドハンティングし、マンハッタンの高級ホテルに住まわせて、そこで彼女と何時間も一緒に過ごす。それを知ったジェーンは、若い女性の身を案じて人事部へ相談に行く。
人事部のヘッドを演じるのは、『プライドと偏見』(2005)でキーラ・ナイトレイの相手役としてミスターダーシーを演じたマシュー・マクファディン。一見、穏やかで包容力のありそうな人事部の彼は、最初は優しくジェーンの話を聞くが、次第に本性を現し、このようなことを言い放つ。
「会長は女性の才能を見込んでヘッドハンティングをした。いったい、このどこに問題があるのか? その女性が君と同じ仕事に就くから、君は嫉妬しているのでは?」
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