60人~70人の若い女性(主に女子中学生)を「奴隷」と呼んで性暴力や拷問、自傷行為の強要を行い、その様子を写真や動画に撮影して会員制のウェブサイト(チャットルーム)で販売していた韓国の若い男性らによる組織的な犯罪が2020年1月に報じられた。このサイトにはチャットルームが複数あり、それぞれのチャットルームに番号がつけられていたことから、「n番部屋事件」と呼ばれている。
サイトの閲覧者数は約26万人。サイト運営者は女性たちをグルーミングしたり、脅したりして性的、あるいは猟奇的な自撮りをさせ、ときには撮影部隊を送りこんで残酷な画像や動画を制作した。そして、それらをチャットルームで回覧するだけでなく、チャットルームにいる会員が残酷行為を女性に命令できるように仕向けていた。
被害者女性のなかには身元がチャットルームで暴露され、ストーキングや集団暴行に遭い、自ら命を絶った者もいたという。このチャットルームは2018年後半に生まれ、2020年の2月にようやく主犯、そして会員とみなされる3,757人が逮捕された。だが、被害者の画像や動画はいまでも闇サイトで取引されており、警察の知らない被害者もたくさん存在すると言われている(※1)。
この恐るべき事件を想起させる韓国映画『配信犯罪』が10月13日に公開される。興味深いことに、本作の脚本・監督を担当したチェ・ジュヨン氏がこの脚本を書き始めたのは2018年前半、まだ「n番部屋」が世間に知られていなかった頃だ。それなのに、監督はこのような大規模なデジタル性犯罪を予見し、「自分も加害者になり得る」という思いに駆られて物語を綴った。
一般的に性暴力加害者のマジョリティは男性だ。それなのに女性の監督がなぜ、「自分も加害者になるかもしれない」と思ったのか。また、「n番部屋事件」は韓国社会にどのような影響を与えたのか――。チェ・ジュヨン監督に話を聞いた。
友人から違法ライブ配信のリンクを受信していたことがバレてしまい、恋人のスジン(キム・ヒジョン)に振られそうなフリーランスプロデューサーのドンジュ(パク・ソンホ)。大企業への就職活動に挑みつつ、スジンのサプライズ誕生日パーティーの準備をしていると、彼のPCに謎のライブ配信リンクが送られてくる。違法なサイトと思われるその画面には、スジンと「ジェントルマン」と名乗る仮面を付けた不気味な男(パク・ソンウン)が。ドンジュはあらゆる手立てを使い、スジンを救うべく奔走する……。
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