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――著書でも指摘されていますが、日本は美容整形の広告も未成年に対して配信されています。イギリスでは2017年から子どもをネット広告から保護する手引き書を発表し、2019年から有害なジェンダーステレオタイプを使った広告が禁止されています(ジェンダーステレオタイプには身体イメージに関するものも含まれる)。日本は2020年9月からヤフーがコンプレックスを煽る広告を禁止にしていますが、イギリスのように広告業界全体の動きには至っていません。

小林:日本は世界の流れに逆行するかのように、インフルエンサーを使った美容整形のタイアップがソーシャルメディアで増えています(※)。2022年に成年年齢が20歳から18歳に引き下げられ、10代を美容整形に誘導する動きが加速していったことも影響していると思います。

※編集部注:ちなみにフランスでは昨年6月から、インフルエンサーによる美容整形手術の広告が法的に禁じられている。インフルエンサーが宣伝することで正常な判断ができなくなることが懸念されているためで、違反したインフルエンサーには拘禁刑2年及び罰金30万ユーロが課される(『外国の立法』2023年10月、国立国会図書館刊 より)。
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「自分らしく」は女性にしか使われない“ずるい言葉”

――脱毛・美容広告の表現に関して、ターゲットになる性別によってよく使われる言葉に違いがあるそうですね。

小林:はい。男性に対するメッセージとしては、「清潔感」がパワーワードになっています。男性向けの広告を見ると、「匂い」「さわやか」「クリーン」に言及したものが一番広告効果があると制作側に思われている。誰でも努力すれば「清潔感」を獲得できて、周囲の人から受け入れられる、異性愛規範において女性からモテるということを前提としているから頻用されるのでしょう。

一方、女性に対してよく使われるのが「自分らしく」という言葉で、なぜか男性には使われません。この言葉は非常に便利で、さまざまな不正義、差別や格差を隠してしまう“ずるい言葉”のひとつだと思っています。不公平な扱いをされても、「自分らしく生きていればよい」と現状に甘んじさせる。

しかも、「自分らしく」と言いながら登場させるのは、若くてかわいい女の子。女性に対して「こうあるべき」という固定化したジェンダーロールを押し付けているのですが、押し付けられている側はそうとは気づかない。

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