「#脱毛広告観察」「#クリニック広告ドヤ顔院長選手権」などユニークなハッシュタグをつけて、2018年頃からSNSに広告表現を分析する投稿を行っている写真研究者の小林美香さん。昨年9月にその集大成となる『ジェンダー目線の広告観察』(現代書館)を刊行、本書は大きな反響を呼んだ。
日頃は大学や企業などで写真やジェンダー表象に関する講義を行っている小林さんが「広告」に興味を持った理由、そして「広告観察」をするなかで抱いた危機感とは。
小学校低学年から脱毛広告に晒されている
――小林さんはジェンダー表象を研究するなかで広告表現に興味を持ちはじめたそうですが、「広告観察」をするようになったのはお子さんの存在も大きかったそうですね。
小林美香氏(以下、小林):一人の親として、危機感を覚えたんです。私の子どもはいま中学生なのですが、多くの情報をインターネットを通して得ています。現代は自分向けにパーソナライズされた情報を見る時代。スマホやタブレットで目に入るものが個々人でまったく異なります。子どもがネットで何を目にすることになるのか、知っておきたいと思ったんです。
広告観察するなかで驚いたのは、小学校低学年から除毛クリームなどの脱毛商品のターゲティング広告を見せられていること。子どもも「こんなの必要ないのに」と不快感を示しています。男性向けサービスや商品だと、ちょっとびっくりするような性的なコンテンツも広告に使われています。
――閲覧するサイトによっては、大人でもぎょっとするような広告が表示されることがありますよね。
小林:はい。私のもとには20〜40代の男性から、「こんなネット広告が表示されました」とさまざまな性的な広告が送られてきます。
性的な広告が表示されると、多くの人が一瞬反応してしまうので、広告を配信する会社はますます性的なコンテンツをアイキャッチとして広告に取り込む。性的でなくとも、注意を引くような刺激的なコンテンツが常態化しているんです。
女性に限らず男性も、性的な主体性を奪われているわけです。子どもたちがそうしたネット環境に置かれていて、よいのでしょうか。
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