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日本には「自分のNO」を知らない人が多い

――たしかに、インティマシー・コーディネーターは作品全体をチェックしている、と捉えている人は少なくないと思います。他にも、日本だからこそぶつかる問題はありますか?

西山:はい。インティマシー・コーディネーターは俳優の「NO」と「YES」を制作側に伝えてより安心して演技をしてもらえる環境を作るのが仕事ですが、そもそも俳優の方が「自分のNOとYES」を知らないということが往々にしてあります。多くの方が「はい。やります! できます!」と何でも「YES」と言ってしまう。

そもそも、「私なんかがNOと言ってよいのかな」と若い俳優さんたちは思っているんですよね。そういうことが言える空気ではない、というのも問題だと思います。なので、私の日本での仕事は、NOが言える空気をつくるところから始まるんです。

写真はイメージです〔PHOTO〕iStock
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――西山さんは俳優さん向けに、性的同意や「自分のNOは何か」という「境界線」を教える無料ワークショップも行っているそうですね。「性的同意」も「境界線」も欧米の包括的性教育に組み込まれている概念ですよね。

西山:はい。でも日本には包括的性教育がないので、境界線はもちろん、性的同意の概念も正しく理解されていません。だから、俳優から脚本に書かれているシーンの同意をとるのが難しいんです。欧米では特に最近、絵本にも「自分がされて嫌なことが自分のNO」という境界線の概念が盛り込まれており、小さな頃から「YES」と「NO」を主張をする教育が徹底されています。そのため、「自分のNO」を言うことに慣れていると感じます。

でも、日本では多くの人が何が自分のNOなのかも自覚していない。だから、日本では言葉にならないメッセージも拾わないといけないんです。そのために、できるだけ選択肢を細分化して、NOの輪郭をはっきりさせていく作業が必要になってきます。例えば、胸を見せるのなら、下胸だけ見せるのか、乳首も見せるのか、その際のカメラのアングルは? といったように。そうして探っていくと、「私ってこんなにイヤなことがあったんだ」と気づく俳優さんは少なくありません。

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