ー勇斗sideー
寝息が落ち着いてから、しばらくして。
「……さて」
小さく呟いて、静かに立ち上がる。
キッチンに向かって、とりあえず簡単なものを作る。
こういうときは、消化いいお粥でいいだろ。
「……無理しすぎなんだよ」
誰に聞かせるでもなく、ぽつっと零す。
できあがったお粥を器によそって、部屋に戻る。
柔太朗は、さっきと同じ体勢で静かに寝てる。
「柔太朗」
小さく声をかける。
反応はない。
「起きれる?ちょっと食べな。」
肩に軽く触れると、少しだけ眉が動いた。
柔「……ん」
ゆっくり目が開く。
まだぼんやりしてる顔。
柔「……なに」
かすれた声。
「お粥作った」
短く言って、器を少し見せる。
「食べれる?」
少し間があって、
柔「……少しなら」
弱い返事。
「無理すんなよ」
そう言いながら、ベッドに座り直す。
「ほら」
スプーンで少しすくって、軽く差し出す。
一瞬だけ躊躇ったあと、ゆっくり口を開ける。
ちゃんと食べたのを確認して、少しだけ安心する。
「熱い?」
柔「……大丈夫」
短いやり取りを繰り返しながら、少しずつ食べさせる。
しばらくして。
「……で」
手を止めて、少しだけ顔を見る。
「なんでああなった」
視線が逸れる。
柔「........別に」
「別にで倒れるわけないだろ」
少しだけ強めに言う。
でも責めるつもりじゃないのは分かるように。
「....ちゃんと話せ、いつから」
少し間が空く。
スプーンを持ったまま、待つ。
柔「....最近有難いことに忙しくさせてもらってて、1週間くらい前」
ぽつりと落ちる声。
「は?」
思わず低くなる。
「1週間もひとりで耐えてたの」
驚きが隠せない。
柔「……怖かった」
小さく、途切れる声。
柔「……みんな忙しい中1人だけ置いてかれるのが」
その一言で、少しだけ息が止まる。
「メンバーが柔太朗のこと見捨てるとでも思った?」
返事はない。
ただ、視線だけが揺れる。
「……柔太朗さ」
一度、息を吐く。
「自分が倒れる方が、よっぽど大事になるって分かんないの?」
ぴくっと肩が揺れる。
でも、まだ何も言わない。
「俺ら、何のために一緒にやってんの」
沈黙。
そのまま、しばらく待つ。
やがて。
柔「……忙しかった」
ぽつりと落ちる声。
柔「新曲の振り入れと……ドラマと、バラエティも重なって」
途切れながら続く。
柔「……寝れてなかった」
ぎゅっと布団を握る手。
柔「分かってた、熱あるのも」
さらに小さくなる声。
柔「でも……あと少しなら、いけるって思ってた」
自嘲みたいに、少しだけ笑う。
「……その“あと少し”で倒れたんだろ」
被せるように言う。
柔「……っ」
言葉に詰まる気配。
「なあ」
少しだけ身を乗り出す。
「お前がいなくなったら、困るの俺らなんだけど」
視線が、こっちに向く。
「代わりとか、そういう話じゃねぇから」
ゆっくり言い聞かせる。
「柔太朗こそM!LKに必要なんだよ」
その瞬間、表情が崩れる。
「……だからそんなこと」
掠れた声。
「……言うなよ……」
目元がじわっと滲む。
柔「……心配、かけたくなかっただけ」
ぽろっと落ちる本音。
その言葉に、少しだけ力が抜ける。
「倒れてる方がよっぽど心臓に悪いわ」
軽く言うけど、声はちゃんと低いまま。
柔「……ごめん」
小さく返ってくる声。
「謝るくらいなら、もうちょい周り頼れ」
そう言いながら、もう一口すくう。
「ほら、まだ食べな」
少しだけ口を開けて、ゆっくり飲み込む。
でも、そのあとすぐに。
柔「……もういい」
小さく首を振る。
「は?まだ半分残ってるけどいいの?」
柔「……いらない」
かすれた声。
明らかに無理してるのが分かる。
「……もうちょっと頑張ろ」
もう一口差し出す。
少し迷ったあと、渋々口を開けるけど。
それを飲み込んだあと、すぐに目を閉じる。
柔「……ほんとに無理。ごめん」
弱く呟く。
その顔見て、これ以上は言えなくなる。
「……しゃーねぇな」
小さくため息ついて、スプーンを下ろす。
「じゃあ今日はここまで、頑張ったな」
器をテーブルに置きながら言う。
「ちゃんと休みな」
布団を少しだけ直してやる。
柔「....いろいろありがと」
「……今度はちゃんと頼れよ」
それだけ残して、立ち上がった。
ーendー
読んでくださりありがとうございます!
毎日見てくれる人が多くなってて幸せすぎます😳💗
私自身濃いめの話好きなので長くなってしまいました。次回からも読んでもらえると嬉しいです🫶
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。