「今はスコーン焼いてます」元陸上自衛官の五ノ井里奈さん 性被害の裁判終えても「どん底」、もがいて見つけた新たな職場「目標は木綿豆腐」
陸上自衛隊で性被害を受け、2022年に実名で告発した元自衛官の五ノ井里奈さん(26)。今年1月に民事訴訟の和解が成立し、刑事裁判を含めてすべての闘いを終えた。 それから半年。性被害者を救おうと立ち上げた団体は、思わぬ理由で閉鎖を余儀なくされた。立ちふさがったのは、五ノ井さん自身も予期せぬ感情だった。その後、何に対しても自信がなくなり、家に閉じこもって「どん底」の状態に陥る。そこから救ってくれたのは、新しい職場との出会いだったという。 本人をその“お店”に訪ねて、あらためて伝えたいメッセージを聞くと、返ってきたのは変わらない言葉だった。(共同通信=池上いぶき) *記事には、フラッシュバックに関する描写があります。 ▽謝罪も和解金もない和解 五ノ井さんは宮城県出身。小学生の頃に東日本大震災で被災した。避難所では自衛隊の女性隊員に笑顔で励まされ、その姿に憧れて2020年に陸上自衛隊に入隊した。
2021年8月、複数の隊員から性被害を受けた。組織内で被害を訴えたが、隊員側は行為を否定した。やむなく退職し、自らの名前を出して、被害を告発した。 その後、防衛省は謝罪し、隊員は懲戒免職となった。さらに強制わいせつ罪で、元隊員3人の有罪判決が確定。巨大な組織と闘う姿がたたえられ、米政府の「世界の勇気ある女性賞」を受賞した。 一方、民事訴訟では国と元隊員5人を相手に、精神的苦痛やハラスメント防止策の不十分さを訴えた。3年かけて順次和解し、最後の1人とは主張が平行線をたどったものの、やはり和解を選んだ。彼からは謝罪や和解金は受け取らなかった なぜ判決で白黒付けず、和解というグレーな選択をしたのか。 五ノ井さんは妥協ではないと語る。 「刑事裁判で事実認定は済んでいたし、ここから先は誰も傷つけない道を選ぼうと思ったんです。やれることをやり切ったからこその決断でした」 ▽多くの相談が寄せられ