令和の時代になぜ大学で”土木”を志すのか
僕はこの春から大学へと進学する。実をいうと第一志望としていた大学ではないのだが、それでも専攻する分野は僕が志望していたものだ。僕が所属するのは所謂土木工学科(実際の学科名はこの通りでないが)で、字の通り土木のことを学びたいと思っている。
今は春からの新生活、そして大学での勉強を楽しみにしている段階だが、一度ここで僕が土木を志した理由について記しておきたい。僕はまだその分野に関する専門的な知識をほとんど持ち合わせていないので、後々に自分でこの志望理由を見返すとあまりの短絡的思考に恥ずかしい思いをするかもしれない。しかし、4年間の”スタート”を明確にしてこのような形で記しておくことは悪くないだろうと思ったわけである。
最近の大学受験において理系で人気の分野と言えばやはり情報系だろう。一時期のブームは薄れつつあるとはいえど、どの大学を見てもデータサイエンス学部、情報学部なんかの倍率は頭一つ抜きんでている。もちろん医学部は不動の人気だが、近年は農学や生命工学などといったバイオテクノロジーを取り扱う分野の学部も人気が高まっている。その一方で土木工学はとても人気があるとは言えない。建築学部となると話は別で安定して人気を集めているが、建築学科と土木工学科とでは大きな差があるように見える。実際、悲しいことに僕の大学の中でも土木工学という学科は最も人気がない学科ということで認識されているそうだ。ただそんなことは関係ない。僕は他の併願校でも土木以外の学科を受けていない。土木一本というわけだ。
ではなぜ土木なのか。
理由はいくつかある。もともと電車やバス、飛行機といった”のりもの好き”な少年だった。ポケモンや仮面ライダーといったキャラものには1度もはまることはなかった。(いまだに漫画やアニメとは全く無縁である。)また乗り物だけにとどまらず、建物も結構好きで駅ビルのイラストを描いてみたり、牛乳パックでとタコ糸でエレベーターの模型を作ってみたりと今思えばずいぶんと変わった遊び方をする少年だったようだ。(笑) それもあってか10歳の頃の夢は工業デザイナーであった。水戸岡鋭治氏のような電車や建物をデザインするような仕事に就きたい、となんとなくだがそう思っていたのだ。この”のりもの好き”が転じて交通計画や都市計画に興味を持つようになった。この当時から架空の都市の地図を描いたりしていた。架空の地図を描くといってもハテナが浮かぶ方もいらっしゃるかもしれないが、文字通り妄想上の街を地図にして描き起こすのである。これが大学進学の動機の一つとなっている。その後大学受験における志望校を選ぶ中で、土木の計画系の分野(都市開発など)の勉強をしたいと思うようになった。
また、大きな理由としてもう一つ上げられるのが、近い将来確実に来るであろう自動車の完全自動運転化における”道路”の新たな可能性である。僕の祖父がちょっとした不動産業を営んでいるのだが、昔から祖父の家に行くたびに僕に土地の図面(測量図?)を見せてくれていた。そしてお酒で頬を赤らめながら「ここに道路を引いて宅地化すれば更に高くつくんだよ」なんて話をしてくれた。ちょうど「道路幅はこれくらいでなきゃ…」という話をしているとき一つの疑問を抱いた。今現存している道路や道路橋、自動車用トンネルはどれも人が車を運転する前提で作られている。もし今後道路上を走行するすべての自動車が管理センター(飛行機でいう管制塔)のような場所からAIによる最適化をしながら自動運転されるようになれば、道路の道幅や車線の数を減らせるのではないか? 例えば交通量が少ない田舎の道路だと、一定間隔ですれ違い車線を設けるのみで基本は1車線、みたいなことも可能だろう。もちろん”すれ違い待ち”が極力必要ないように輸送経路や走行速度を計算させた上で、だ。敷設費が高くつく橋やトンネルなんかは車線の数や道幅を変更することでコスト削減を図ることが出来るかもしれない。車用の信号設備だって要らない。都市部の特に中心部にみられる8車線道路やそれ以上の車線数がある道路の車線数や道幅を減らせると、土地利用に幅が広がるだろう。基本的に幹線道路だと2、4、6、と車線数は偶数であるケースがほとんどだが、今後は交通量に応じて中央線を変化させることで、3車線道路なんかがメジャーになるかもしれない。
少し長々と妄想を垂れ流してしまったが、これらは人口減少によって税収が減少し、国や自治体がインフラ整備費用を抑える努力を強いられるであろう近い将来において有効かもしれない。また、道路に限らず公共交通や運送業にも新たなビジネスの可能性が大いに秘められていると感じる。これらの事業は初期費用が莫大な分、新たな事業者が参入することはあまりない上にハードルが高いが、その分システムがあまり効率化されておらず、改善の余地が大きく残されているように思う。
あくまでも今の僕が何を考えようとド素人の余計なお世話に過ぎないのだが、土木(計画系だけでなく構造工学や地盤、水理も含めて)学ぶことで何か自分をワクワクさせるものに出会えるかもしれないと感じ、土木を専攻することを決めた。果たして4年後、10年後に何を思っているのか想像がつかないが、世の中に新しいものを提案できるような人間になりたい。
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コメント
8返信ありがとうございます。
私も他の記事にもコメントを残そうと思って文章まで書いたはいいものの、完全に忘れていたことを思い出しました。
公共性については私も同じように思いました。
土木工学科では土質力学、水理学、構造力学という学問を学ぶと聞いています。(うち構造力学は建築でも扱うと聞いています) 名前の響きからして公共性を感じるという印象を受けました。
ちなみに、この3つの学問の名前がうろ覚えだったので改めて調べたんですけど、「三力」って呼ばれてるんですね。
機械科の「四力」(機械力学,材料力学,流体力学,熱力学)は聞いたことありましたが、土木にも似たようなのがあるのは驚きでした。
そんなわけで水理学については聞いたことありますが、流体力学だったんですね。
道路上の渋滞は巨視的には流体として扱うことが出来ると聞いたことがありますので、道路にも案外関わってくる学問かもしれないと素人ながらに思いました。
続
1ヶ月ということは長期インターンシップですかね。
長期は短期と比べてより実務に近い内容だと認識しているので、きっと良い経験になると思います。
出口が広いのは魅力的ですね。
現状私が建築科を目指しているのもある意味広さを重視した結果(建築科からなら構造設計にも土木にも進むことが出来るけど、土木学科から建築の構造設計は厳しいと考えている)ですけど、土木学科も思わぬ分野との出会いがありそうですね。
どちらを選ぶにせよ、今の会社を7年務め上げて、技術士二次の受験資格を得た上で大学に進みたいと考えています。
今4年目でまだ受験まで時間はあるので、存分に悩もうと思います。
返信ありがとうございます!
構造の分野になると土木→建築のルートは確かに難しいかもしれないですね。。逆もあまり聞いたことはないですが、建築→土木は確かに可能な気がします。(なんせ土木構造物の設計には国家資格がいらないので...) ちなみに、研究室や教員の方には建築の畑から来られた方も多数いらっしゃいますが、都市系計画系に多い印象です。その方は土木の方が都市をより大きなスケールで扱うからと仰っていました。建築学科の都市工学研究室を見ると、土木と違って「まち」の文脈、コンテクスト・文化を重視している印象で、それと比べてかなり工学的な捉え方をする土木の都市工学との対比が面白いです。やはり土木も建築もそれぞれの良さがありますよね。親和性も高いので、入り口が違えど行き着く先は同じだったりするのかもしれないですね。是非土木にもいらしてください!
日大土木卒で元県庁所在地の市職員だったけど、土木の利点はとにかく"潰しが効く"ところかな…
親に勧められたから仕方なく行ったたちだけど、結果、まあまあ面白かったな
構造力学、水理学、土質力学の3力は工学系ならどこでも応用が効くから知っといて損は絶対にない。道路工学と測量学は公務員の技術職なら絶対に使う知識だし
ただ、自分が今18歳なら土木工学科は絶対に行かないけどね…