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「公益通報」を問う

警笛を鳴らし、組織の不正を暴く公益通報。通報者が「裏切り者」として報復されるケースが相次いでいます。その実態に迫り、制度のあり方を考えます。

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内部通報、愛媛県は20年間ゼロ 専門家は制度の形骸化を指摘

アンケートに対する愛媛県の回答。公益通報者保護法が施行された2006年4月以降、内部通報がゼロだった=2026年7月3日午後2時54分、遠藤浩二撮影
アンケートに対する愛媛県の回答。公益通報者保護法が施行された2006年4月以降、内部通報がゼロだった=2026年7月3日午後2時54分、遠藤浩二撮影

 組織内の不正を是正につなげる公益通報制度を巡り、愛媛県の職員による内部通報がこの20年間でゼロだったことが、毎日新聞の調査で明らかになった。47都道府県のうち唯一で、石川と大分の両県は1件だった。専門家は公益通報者保護法の施行から20年となる経過を踏まえ、制度の形骸化を指摘している。

石川、大分両県は1件のみ

 毎日新聞は4~5月、47都道府県にアンケートを実施。知事部局の内部通報について、2021~25年度の5年間の件数などを調べた。

 この結果、愛媛、鹿児島の2県は5年間の内部通報がゼロだった。1件は秋田、石川、大分の3県だった。この5県に対し、公益通報者保護法施行(06年)以降の通報件数を尋ねたところ、愛媛県はこれまで通報を受けておらず、石川と大分の両県が1件だったことが判明した。

47都道府県の内部通報件数と是正件数
47都道府県の内部通報件数と是正件数

 職員は不正を見つければ通報できる。総務省の調査によると、5県の一般行政部門の職員数(25年4月現在)は3447~4983人。臨時職員や非常勤職員の人数は原則含まれておらず、通報できる職員数はさらに多くなる。

 愛媛県を巡っては、毎日新聞が実施した全国の警察本部に対するアンケートで、24年度までの5年間の通報件数が46件、是正件数は33件だった。それぞれ全国の上位から5番目、2番目の件数だったが、知事部局とは大きな開きがあった。

 愛媛県人事課は「内部通報に関する問い合わせはあるが、実際の通報までには至っていない。不正がないためか、職員の周知が進んでいないためなのか理由は分からない」と話す。

最多は大阪府の163件

 一方、5年間の通報件数は163件の大阪府が最多で、131件の兵庫県、101件の徳島県と続いた。総務省の調査で職員数が最少の香川県(2838人)でも19件、2番目に少なかった鳥取県(2931人)は33件あった。

 内部通報を受けた場合、担当部署が受理・不受理を決め、受理した場合は調査し、問題があれば是正措置を講じることになる。是正件数を聞いたところ、5年間で通報ゼロの2県に加え、秋田、山形、富山、山梨、沖縄の計7県がゼロだった。これに対し、多かったのは27件の大阪、25件の鳥取、22件の静岡県だった。

「省庁連携で体制整備を」

公益通報・大阪府庁
公益通報・大阪府庁

 制度に詳しい日野勝吾・淑徳大教授は、通報がゼロだからといって法令違反が全くないとはいえないと指摘。「なぜゼロなのか」「声を上げやすい体制になっているのか」といった批判的な目が必要だとし、「周知不足や体制不備で制度が形骸化し、組織のガバナンスが機能していないことの証左だ」とする。

 そのうえで、公益通報制度は消費者庁が担当する一方で、地方自治体は総務省が所管していることを踏まえ、「省庁が連携して自治体に体制整備を求めていくべきだ」と話す。【遠藤浩二】

 岐阜県は、2021~25年度の通報件数と是正件数について、いずれも「0」と回答していたが、記事が公開された後に、通報10件、是正2件と訂正した。これに伴い、本文と円グラフを修正した。

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