【重要】会員機能一時停止とサイトメンテナンスのお知らせ

リーダーシップ

2026.07.15 11:34

女性が昇進から遠ざかる本当の理由

stock.adobe.com

stock.adobe.com

マネジャーに昇進する男性が100人いる一方で、昇進する女性は93人にとどまる。しかも多くの女性は、その地位に到達するために実際に何を求められるのかを目の当たりにし、身を引き始めている。

これは人材パイプラインや自信の問題ではない。データは一貫して示している。女性は高い意欲を保ち、有意な割合で昇進を目指し続けている。同じ調査は、女性が同等の支援、スポンサーシップ、機会を得た場合、いわゆる「意欲格差」は大きく縮小し、場合によっては消滅することさえ示唆している。

昇進に必要な「暗黙の条件」

時間がたつにつれ、高い成果を上げる多くの女性は、昇進が単に努力や結果だけで決まるものではないことに気づき始める。暗黙の条件が見えてくるのだ。

この力学がはっきりと現れた、ある後継者計画の会議のことを覚えている。実質的な影響力を持つバイスプレジデント(副社長)職の候補者を検討していた場面だ。候補者は3人で、書類上では1人の女性が明らかに抜きん出ていた。彼女の業績は安定し、率いるチームは成果を出し、昇進に値する十分な結果を残していた。しかし議論の中心は彼女の業績ではなかった。会話はすぐに別の基準へと移った。リーダーたちは、彼女が次のレベルで仕事をする姿を見られていたか、上級ステークホルダーとの接点が十分にあったかを問い始めたのだ。

対照的に、結果の一貫性では劣る別の男性候補者には、複数の上級リーダーが支持を表明していた。議論が終わる頃には、結論は事実上決まっていた。

格差を理解する

ハーベイ・J・コールマンが著書『Empowering Yourself: The Organizational Game Revealed』で示したPIEフレームワークによれば、昇進の意思決定において、業績(Performance)が占める割合は約10%にすぎない。一方、イメージ(Image)は約30%、露出機会(Exposure)は残りの60%を占める。調査もこれを裏付けており、スポンサーと露出機会を持つ従業員は、そうでない従業員のほぼ2倍の速さで昇進している。

この問題をさらに複雑にしているのは、その影響が昇進統計にとどまらないことだ。レイ・A・スミスが『ウォール・ストリート・ジャーナル』で報じたように(登録が必要)、解雇、昇進の停滞、キャリアアップ機会の制約を経験した後、従来型の企業内キャリアではなく起業を選ぶ黒人女性が増えている。同時に、女性は昇進を促す要素を得にくい。女性はスポンサー、つまり自分のために積極的に働きかける上級リーダーを持つ可能性が低く、可視性を高め、準備ができていることを示すストレッチアサインメントを提示される可能性も低い。スポンサーシップは昇進を予測する最も強力な要因の1つであるため、この不均衡は急速に積み重なる。

女性がシニアリーダー層に到達する頃には、その累積的な影響は目に見えるものとなり、代償も大きくなる。表面的には、昇進を望む女性が少ないように見える。だが実際には、データは別の物語を示している。調査は、「意欲格差」は機会格差として理解する方が適切かもしれないと示唆している。女性は強いリーダー志向を示し続ける一方で、スポンサーシップ、支持、昇進機会へのアクセスに不平等があるからだ。しばしば意欲の欠如と呼ばれるものは、より正確には、不平等なアクセスに対する合理的な反応である。

女性は育成されている。ただし昇進していない

シニアレベルの女性の約60%が、頻繁な燃え尽きを報告している。リーダー職に就いて間もない女性では、その割合は70%に上る。昇進し、リーダー職を維持するために求められる環境そのものが理由である。

高い成果を上げる女性には、追加の責任が与えられ、他者のメンターを頼まれ、成果を出す存在として一貫して信頼されるという形で投資がなされる。上司は彼女たちを不可欠な存在であり、事業成果に貢献する重要な人材と見なしている。ところが昇進の議論になると、基準はめったに明示されない形で変化する。議論はアウトプットから離れ、可視性や「準備ができている」と見なされるかどうかへ移っていく。

多くのプロフェッショナルが誤解しているのは、育成と昇進は異なる2つのシステムで動いているという点だ。育成は業績を中心に置く。しかし昇進を動かすのは、認識と露出機会である。そこにこそ、構造的な格差が生まれる。

私が組織をまたいで一貫して見てきたのは、女性は業績面では過剰に育成される一方、露出機会の面では十分に位置づけられていないということだ。同時に、女性は昇進への準備ができていることを示す種類の機会に推薦されにくい。ここで、メンターシップとスポンサーシップの違いが決定的に重要になる。多くの組織は、メンターシップに意味のある投資をしてきた。しかしスポンサーシップは昇進のシステムの中で機能する。スポンサーは自らの影響力を使って機会をつくり、意思決定の場で支持する。

女性は成果を出し続け、より多くの責任を引き受けている。だが、それに見合う可視性と支持が増えなければ、その努力は同じ割合で昇進にはつながらない。

ある時点で、高い成果を上げる多くの女性は判断の閾値に達する。自分が昇進できるかどうかだけでなく、昇進が実際に何を必要とするのかを踏まえ、それを望むのかどうかを評価し始めるのだ。これは意欲が低下しているという話ではない。認識が高まっているという話である。昇進は能力そのものよりも、次のレベルで見られ、信頼され、支持されることに大きく左右されるからだ。

この格差を解消したい組織は、育成のみに投資し続けても目的を果たせない。可視性、スポンサーシップ、アクセスがどのように分配されているかに対処し、昇進プロセスを実際の意思決定のあり方と整合させることで、初めて格差を縮められる。

それまでは、格差は残り続ける。女性の準備ができていないからではない。方程式の誤った部分に向けて準備させられているからである。

forbes.com 原文

2026年8月号発売中

最新号の購入はこちらから

2026年8月号発売中

最新号の購入はこちらから

タグ:

ForbesBrandVoice

| あなたにおすすめの記事

人気記事

Forbes BrandVoice!! とは BrandVoiceは、企業や団体のコンテンツマーケティングを行うForbes JAPANの企画広告です。

2026.06.30 16:00

M&A総合研究所の顧客の信頼を支えるコンプライアンス体制──法務と現場がつくる新たな基準

現代の日本経済において、M&Aは円滑な事業承継や企業の持続的成長を実現するための欠かせない選択肢となっている。M&A仲介はこうした極めて重要な局面を扱う以上、揺るぎないコンプライアンス体制が一層求められる。

こうしたなか、M&A総合研究所は法務部が案件の初期段階から積極的に関与し、リスクの見極めと判断を現場と共有する体制を構築。顧客が安心して意思決定できる環境づくりを進めている。その中核を担うのが、同社法務部長で弁護士の北名 剛と、同部に所属する弁護士の石塚 司だ。両名に、取り組みの実像とコンプライアンスの要諦を聞いた。


「ハードロー」だけでなく「ソフトロー」も遵守

──おふたりのキャリアパスと社内における職責をお聞かせください。

北名 剛(以下、北名):私は7年間にわたり、一般民事を中心とした法律事務所に勤務していました。その中で事業承継の相談が増えてきたことをきっかけに、より実務的に事業承継を支援できる環境に身を置きたいと考え、M&A業界に飛び込みました。

現在は法務部長として、グループ全体の法務部門を統括し、組織マネジメントも担っています。当社の法務部は、現在弁護士5名に司法書士らを加えた10名体制となっています。リスクに対する考え方や判断基準をメンバーへ伝え、現場に浸透させることを意識してこれまで取り組んできました。単なるルールの伝達にとどまらず、いかに納得感をもって行動につなげてもらうかを心がけています。

石塚 司(以下、石塚):私は弁護士数名規模の国内法律事務所で弁護士人生をスタートし、その後、国税庁に設置されている国税不服審判所に勤務しました。さらに、森・濱田松本法律事務所の弁護士としてミャンマーに駐在した後、外務省国際法局経済紛争処理課に勤務するという、弁護士としてはかなり異色の経歴を歩んできました。M&Aは「ビジネスの総合格闘技」とも言われる分野です。法務だけではなく、税務、財務など、これまで培ってきた知見を総合的に活用できる余地があるのではないかと思い、入社を決めました。

現在おもに海外関連の案件を担当しており、日本語以外の当社の契約書の審査や各種資料の作成に携わっています。また、国内外の外国人投資規制に関する法令調査などを行い、当社としてクロスボーダー案件にも適法に対応できるよう支援しています。法律事務所での業務はリスクの指摘が中心ですが、事業会社では「どうすれば実現できるか」という観点からの助言がより重要になる点が大きな違いです。ガーディアン(守る役割)としてリスクを指摘するにとどまらず、パートナーとして事業の実現に向けて伴走できることにやりがいを感じています。

──御社ではコンプライアンス部という専門の部署がありますね。

北名:M&A仲介は企業の未来を左右する重要な仕事だからこそ、高い水準のコンプライアンスが求められます。その観点からコンプライアンス部を新設し、審査・チェック体制を一段と強化しました。

我々のようなM&A仲介会社が事前に譲受企業の精査をし、売主に安心してM&Aに取り組んでいただける環境をつくることが、重要な役割だと認識しています。あらゆる問題を未然に防ぐために、コンプライアンス体制の強化に力を入れています。

そのためには、法務部とコンプライアンス部の密な連携も重要です。法務部は単に相談に応じるだけでなく、コンプライアンス部の判断が法的に適切かどうかを第三者的な立場からチェックしたうえで適宜フィードバックを行い、当社としての意思決定の質を高めています。

北名 剛 M&A総合研究所法務部長、弁護士
北名 剛 M&A総合研究所法務部長、弁護士

──コンプライアンスを強化するためには、何が大切なのでしょうか。

石塚:コンプライアンスは「法令遵守」と訳されますが、ここでいう法令には、成文化された「法律(ハードロー)」だけでなく、職業倫理や社会通念、業界慣行といった「規範(ソフトロー)」も含めて捉える必要があります。コンプライアンスの実効性を確保するためには、ハードローだけではなくソフトローも遵守する必要があります。ハードローとソフトローの両面から、法務部とコンプライアンス部で相互に補完し合いながら、組織全体としてのコンプライアンスの水準を高めています。

また、法令違反をしているような不適切な企業については、お客さまに紹介することはできませんので、お客さまに紹介する企業として適切であるかどうかの判断においても、コンプライアンスの状況を重視しています。

高品質な仲介サービスで業界の信頼回復に貢献

──実際に取引を進めるプロセスでは、どのような点に気をつけるべきでしょうか。

石塚:M&Aの最終契約の内容は専門的で多岐にわたるので、一般の方にとっては正確な理解しづらいことも少なくありません。契約当事者の双方が取引内容を正しく理解できるよう支援することで、どちらにとっても不測の損害を被ることのない状態を確保することを通じて、各契約当事者が納得のできる取引を実現したいと考えています。

石塚 司 M&A総合研究所法務部、弁護士
石塚 司 M&A総合研究所法務部、弁護士

──コンプライアンス対策を強化されてからの周囲の反響はいかがですか。 

北名:当社が日頃接している金融機関や会計事務所からは、コンプライアンス体制に対して非常に高い評価を頂いております。当社としても、高い水準で実践できているという自負があります。コンプライアンスの厳格さを追求すればするほど現場では手間がかかるのも事実です。ただその反面、「これだけやっていれば安心してディールを進められる」という評価もあり、リスクを抑えながら適切にアクセルを踏める環境づくりに貢献していると考えています。

──M&A総合研究所は、「すべての経営者に、満足のいくM&Aを提供する。」という理念に基づき、M&Aを通じて企業や技術を次世代へつなぎ、日本経済の持続的成長に貢献することを存在意義とされています。その実現に向けた法務部の展望についてお聞かせください。

北名:不適切な譲受企業などの存在により、国内のM&Aにブレーキがかかることを危惧しております。本来、事業承継や企業の更なる成長を加速させるはずのM&Aが、こうした懸念から停滞してしまうのは、日本にとって非常に大きな損失です。当社は、質の高いM&Aの実績を着実に積み上げていくことで、国内の中小企業が安心してM&Aに取り組める環境をつくっていきたいと考えています。その実現に向けて、コンプライアンスの徹底はもちろんのこと、原点に立ち返って営業に対する支援体制の強化や、チームとして高品質な仲介サービスを提供できる体制づくりに取り組んでまいります。

石塚:今後は、日本企業が海外へ進出する「インアウト」、海外企業が日本企業を買収する「アウトイン」といったクロスボーダー案件の増加が見込まれます。こうした案件に関しては、データの越境移転に関する規制や、マネーロンダリング対策など、グローバルな観点からのコンプライアンスの要請が年々厳しさを増しています。M&Aは「ビジネスの総合格闘技」と称されることもあり、様々な知見が必要になりますので、網羅的に理解したうえで進めることが求められます。だからこそ、これまでの経験や知見に驕ることなく、常に謙虚に学び続ける姿勢が不可欠です。今後も、法務部及びコンプライアンス部のメンバーひとりひとりが専門性を高め、互いに連携することによって、お客さまにとって満足度の高いM&Aの実現に貢献していきたいです。

M&A総合研究所
https://masouken.com/


きたみょう・つよし◎M&A総合研究所法務部長、弁護士。大阪大学法学部卒業・大阪大学高等司法研究科修了後、2012年に司法試験合格。法律事務所でM&Aアドバイザリー業務を含む企業法務、遺言・相続、民事信託、倒産事件等に携わる。2020年にM&A総合研究所入社。企業内弁護士として、法務面において確実なM&Aの実現に向けた支援業務を行っている。

いしづか・つかさ◎M&A総合研究所法務部、弁護士。東京外国語大学外国語学部卒業・明治大学法務研究科修了後、2011年に司法試験合格。森・濱田松本法律事務所、国税庁国税不服審判所、外務省等で企業法務、税務、国際争訟等の幅広い業務に従事。2024年、M&A総合研究所入社。共著に『アジア新興国のM&A法制〔第3版〕』(森・濱田松本法律事務所アジアプラクティスグループ編)。

Promoted by M&A総合研究所 / Text by Fumihiko Ohashi / photographs by Masahiro Miki / edited by Akio Takashiro

リーダーシップ

2026.07.15 09:42

差がつくのは「視座」──経験が育てるリーダーシップ

stock.adobe.com

stock.adobe.com

リーダーはしばしば、明確な判断を下すためにフレームワークやパターン、ケーススタディ、KPIに目を向ける。もちろん、それらも重要だ。だが、CEOとしての私の経験から言えば、鋭い意思決定を支える真の差別化要因は「視座(パースペクティブ)」である。

視座はリーダーにとってのスーパーパワーだ。他者が見落とすパターンを見抜き、状況をより全体的に読み取り、より確信を持って意思決定を下す助けになる。しかも素晴らしいのは、視座は在職年数ではなく経験を通じて育つということだ。

人生とキャリアを通じて、視座を特に鋭くしてくれる瞬間がある。それは判断力を形作り、周囲の人々を強くする洞察の層を積み重ねる。ここでは、私自身が視座を養う優れた教師だと感じた経験をいくつか紹介したい。

新しい任務と経験

ストレッチ・ロール、部門横断的な異動、あるいは不慣れな仕組みへのシフトは、リーダーの認知の幅を広げてくれる。役割が増えるごとに、意思決定を強化する新たなレンズが加わる。

海外で働く身として、ヨーロッパからオーストラリアへ赴任した際、私は馴染みのある文化的環境を想定していた。言語も多くの規範も共通しているからだ。それでも、自分のアイデアやアプローチが空振りに終わることが幾度もあった。「普遍的」だと思っていたものが、実は狭い前提に過ぎなかったのだ。

この経験は、文化的文脈がいかに深く根付いているかを改めて教えてくれた。リーダーは一歩引き、観察し、自らの前提を問い直す姿勢を持つべきだ。その強制的な立ち止まりが、視座に衝撃を与え、周囲との足並みや合意形成を加速させることがある。

子育てとケア

ケア、とりわけ子育ては、視座を鍛える日々のマスタークラスである。まず聴き、それから応じる。単純に聞こえるが、これはリアルタイムの感情的アジリティのトレーニングだ。

3人の子どもたちはそれぞれ違う。ひとりは自分のペースで動き、もうひとりは異なる条件下で力を発揮する。末っ子はまったく別のライフステージにいる。子育ては、コミュニケーションや動機づけの仕方を絶えず変えることを私に求める。ある子には見事に効く方法が、別の子にはまったく通用しない。オートパイロットは選択肢にならない。

子育ても、年老いた家族のケアも、直線的に進むことは稀だ。それらは「みんな同じ」と決めつけないことを教えてくれる。本当にその渦中にいるとき、競合するニーズのバランスを取るには、優先順位をつけ、次の最善手に集中し、違いを尊重しつつ人々をつなぎ、目指す成果を達成するための、より深い共通項を探すことが求められる。そしてその一部は、家庭、地域、あるいはビジネスチームの支援体制を育むことでもある。それが浮き沈みを乗り越える力になる。

変化のマネジメント

「From-To(現状から新たな状態へ)」の変革を主導することほど、視座を鍛える経験は少ないと私は学んだ。この種の変革は、行動、設計、構造を新たな心のあり方へと転換させるあらゆる場面で経験できる。そこでは、変化が具体的なものとなる。目に見え、耳で聞こえ、肌で感じられるのだ。

こうした瞬間は、人がどこで躊躇し、どこで仕組みが崩れ、どこで勢いをつかめるかを浮き彫りにする。視座があれば、リーダーは不確実性を方向性へと変えられる。それが「完璧から進歩へ」、「サイロから協働へ」、「サプライズから選択へ」のシフトであれ、同じだ。

「From-To」の瞬間は、強力な明晰さの構築材料になる。変曲点を見抜き、リアルタイムで軌道修正する訓練を頭に染み込ませ、その規律は仕事にも人生にも引き継がれていく。

人材とチームの育成

キャリアを通じて、私は「ディベートチーム」を編成し、「悪魔の代弁者」を配置してきた。社内外の力によって私の思考に挑戦させ、集団思考を避けるためだ。チームの一人ひとりがどう学び、何に動機づけられるかを理解することは、画一的なリーダーシップを避け、より強いパフォーマンスを引き出す助けになる。私の経験では、これは高いパフォーマンスを発揮するチームを築くうえで不可欠だ。

人口統計的にも、認知的にも、経験的にも多様なチームは、より豊かな議論とより優れた解決策を生み出し得るが、それは偶然には起こらない。多様性を招き入れるには、視野を広げる必要がある。つまり、視座、意見、経験の網をより広く投げかける意図的な努力が求められるのだ。難しいのは、目の前にある便利さに流されないことだ。決して容易な道ではないが、多くの場合、非常に生産的な道である。

視座を武器にするリーダーシップを磨くヒント

未知に踏み出す。新しいスキル、新しい言語、新しいコミュニティ、新しい対話を取り入れることを意味する。

出張をより価値あるものに。たとえば、営業担当者との現場同行に加わったり、顧客訪問に関わったり、自社のビジネスに隣接するカテゴリーから学ぶために小売店の視察ツアーに参加したりすることを検討してみよう。

「アドバイザリー・ディベートチーム」をつくる。異なる考え方と行動を求められる人々でメンバーを構成する。すべての声を歓迎しつつも、リーダーとして、全員に票があるわけではないというバランスを忘れないこと。

「From-To」の瞬間を主導する機会を少なくとも1つ見つける。朗報は、ほぼあらゆるビジネスの局面で「From-To」の瞬間を見出せることだ。ビジネス変革、変化のマネジメント、サステナビリティの取り組み、さらにはマインドセットの転換まで、すべて「From-To」の瞬間の題材となる。

四半期ごとの「視座の棚卸し」を行う。自分のどのスキルが機能し、どのスキルにさらなる注意が必要かを振り返る時間にすべきだ。

視座はソフトスキルではない。競争優位である。視点を広げることで、チームや組織が達成できることの幅も広がっていく。

(forbes.com 原文)

2026年8月号発売中

最新号の購入はこちらから

2026年8月号発売中

最新号の購入はこちらから

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

| あなたにおすすめの記事

人気記事

リーダーシップ

2026.07.15 09:31

説得の前に「証明」を──ビジネス開発の本質的教訓

stock.adobe.com

stock.adobe.com

​パームビーチ・ジェッツを立ち上げた当初、ビジネス開発において最も難しいのは、自分たちの業務内容を説明することだと考えていた。しかし、時間が経つにつれて、より大きな課題は、真剣な顧客が実際に当社とコンタクトを取る前に、当社の「考え方」をいかに証明するかであると気づいた。プライベート航空の分野では、洗練されたピッチ(売り込み)は関心を引くことはできても、それだけで信頼を築くことはめったにない。下される決断の規模があまりに大きく、考慮すべき変数は極めて専門的であり、判断を誤った場合の代償が大きすぎるからだ。

プライベート航空は、極めて高い信頼性が求められるカテゴリーである。顧客は単にフライトを購入したり、航空機を評価したりしているわけではない。安全基準、運航会社の品質、航空機の適合性、課税のタイミング、資本配分、管理体制、所有における経済性、そして多くの場合、ファミリーオフィス・レベルのガバナンスに関わる意思決定を行っている。このような環境において、ビジネス開発は説得だけに頼ることはできない。買い手は、取引の背景にある意思決定をその企業が理解しているという「証拠」を求めているのだ。

この教訓は現在、航空業界をはるかに超えて適用される。検索、人工知能(AI)、そして独自の事前リサーチによって形作られる市場において、ビジネス開発は最初の問い合わせの電話がかかってくる前に、すでに勝負が決まっていることが多い。見込み客が対話を始める頃には、彼らはすでにウェブサイトや経営陣のプロフィール、コンテンツ、第三者による検証、情報開示、レビュー、さらには検索エンジンやAIシステムがその企業についてどのように把握しているかを調べ尽くしている可能性がある。世界28カ国、3万3000人を対象に調査した2025年の「エデルマン・トラストバロメーター(Edelman Trust Barometer)」は、ビジネスリーダーが直面している広範な信頼への課題を浮き彫りにしている。すなわち、信頼性は、一貫性があり検証可能なシグナルを通じて獲得しなければならないということだ。

このことが、会社の構築に対する私の考え方を変えた。航空機へのアクセス権を主張する、ありふれたプライベートジェット仲介業者の一社には見られたくなかったのだ。プライベート航空の世界では、アクセス権を主張することは容易である。より重要な問いは、目の肥えた買い手やファミリーオフィス、あるいはアドバイザーが、当社に連絡してくる前に、当社のプロセスの証拠を目にすることができるかどうかだった。この問いが、位置づけ(ポジショニング)、コンテンツ、基準、情報開示、そして市場における当社の役割の説明方法に関する、初期の意思決定を方向づけた。

私たちが公に明確にした最初の事項の一つは、当社が独立したプライベート航空のアドバイザリー企業であり、直接の航空運送事業者ではなく、自社フリート(保有航空機)を販売する運航会社でもないということだった。この区別が重要なのは、インセンティブが推奨内容に影響を与えるからだ。チャーターの顧客や航空機の買い手には、そのアドバイザリー企業が顧客の立場に立って助言しているのか、それとも自社が所有・管理する航空機の稼働率を最大化しようとしているのかを理解する権利がある。当社にとって、この透明性は単なるコンプライアンス上の話にとどまらず、ビジネスにおける信頼構築の基盤(トラスト・アーキテクチャ)の一部となった。

また、真剣な顧客が航空関連の意思決定を下す前に実際に抱く疑問に焦点を当てた、公開コンテンツも作成した。ありきたりな高級航空サービスのメッセージングに頼るのではなく、航空機導入戦略、チャーターアドバイザリー、所有における経済性、運航会社の品質、メンテナンスリスク、航空機の適合性、資金調達の調整、およびファミリーオフィスの航空監督といったトピックに注力した。これらは必ずしも華やかなトピックではないが、実際の意思決定の核心に近いものである。目の肥えた顧客は、アクセス権に関する大げさな主張にはあまり惹かれず、自らの結果を左右する可能性のある運航上・財務上の変数を相手が理解しているかどうかに、より強い関心を寄せるものだ。

たとえば、航空機の買い手は当初、製造年、客室の外観、飛行時間、購入価格について尋ねるかもしれない。これらの詳細は確かに重要だが、所有にまつわるストーリーのすべてを物語っているわけではない。一見すると似ている2機であっても、検査のタイミング、エンジンやAPU(補助動力装置)プログラムの加入状況、整備履歴、管理の質、ダウンタイム(稼働停止時間)のリスク、チャーターへの適性、そして将来の流動性(売却のしやすさ)によって、最終的な結果は大きく異なってくる。こうした考え方を公に示すことで、航空機を実際に提案する前に、当社がどのように意思決定を評価しているかを買い手に理解してもらうことができる。

もう一つの重要な「証明」となったのが、プロセスの検証である。当社は「WYVERN Wingman Broker(ワイバーン・ウイングマン・ブローカー)」の認定を取得した。これには、チャーター調整、運航会社の審査、安全への配慮、顧客への情報開示、そしてフライト支援に対するアプローチを公式化し、文書化することが求められた。私はこれを単なるマーケティング活動の記章(バッジ)とは捉えていない。業務の規律を示す証拠と捉えている。信頼によって動く市場において、第三者機関の基準は、自社の運営体制について顧客に「言葉を鵜呑みにさせる」だけではないことを示す上で役立つ。

これは、ビジネス開発におけるより広範な教訓となった。ビジネスが信頼に依存している場合、アプローチ(アウトリーチ)の階層を構築する前に、まず「証明(プルーフ)」の階層を構築しなければならない。この証明層は、推薦の言葉や洗練されたブランディング以上のものを含むべきである。それは、自社がどのように考え、どのように業務を行い、買い手が自社の信頼性をどのように検証できるかを示すものであるべきだ。当社の場合、ウェブサイト、経営陣のプロフィール、安全基準、チャーターに関する情報開示、教育的なインサイト、Googleマイビジネスでの存在感、公開したソートリーダーシップ(思想的先導)コンテンツ、LinkedInのメッセージ、および公的権威アセットのすべてを、「単なる航空機へのアクセス取引ではなく、独立したプライベート航空アドバイザリーである」という一貫した一つのストーリーに整合させることを意味していた。

同じコンセプトは、ほぼすべての複雑な業界に当てはまる。エンタープライズ向けテクノロジーを販売している場合、買い手はデモを見る前に導入プロセスの規律を示す証拠を目にしているだろうか。専門的なサービスを提供している場合、見込み客は相談(コンサルテーション)の前にその意思決定フレームワークを理解できるだろうか。高額な購入について顧客に助言している場合、自社のパブリックプレゼンス(公的な存在感)は、リスク、タイミング、インセンティブ、および長期的な価値をどのように評価しているかを示しているだろうか。アウトリーチや自動化、フォローアップは有用だが、貧弱な証明層を補うことはできない。

アウトリーチを強化する前に、ビジネスリーダーは自問すべきだ。買い手は、直接話すことなく、私たちの主張を検証できるだろうか。私たちの公開アセットは、私たちの運営方法を説明しているだろうか、それとも販売している商品のみを説明しているだろうか。最終的な結果に実際に影響を与える変数について、買い手を教育できているだろうか。私たちの資格、基準、情報開示、およびコンテンツは、一貫した市場のポジショニングを強化しているだろうか。もし買い手やAI検索ツールが当社を要約したとしたら、私たちが確立しようとしているカテゴリー(市場区分)を正しく理解してくれるだろうか。

パームビーチ・ジェッツを構築する中で、真剣な買い手は最初から説得されたいわけではないことを私は学んだ。彼らが求めているのは、彼らが下そうとしている決断をこちらが理解しているという証拠なのだ。これからのビジネス開発の未来は、営業の対話が始まる前に自らの判断力を可視化できる企業に味方するだろう。今日の市場において、「証明」は説得に先立つのだ。

forbes.com 原文

2026年8月号発売中

最新号の購入はこちらから

2026年8月号発売中

最新号の購入はこちらから

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

| あなたにおすすめの記事

人気記事

リーダーシップ

2026.07.15 09:16

カーボベルデはいかに「見いだす力」をワールドカップ戦略に変えたか

stock.adobe.com

stock.adobe.com

カーボベルデはこの夏、初めてワールドカップ出場権を獲得した。インターネットが語りたがったのは、小国についていつも語られる物語だった。応援したくなるアンダードッグ、あり得ないほどの逆境、そしておそらくは1、2試合の好ゲーム。その物語は十分に真実である。しかし、今回起きたことの中で最も興味深くない部分でもある。カーボベルデは偶然ワールドカップにたどり着いたわけではない。人口約50万人の国が持ち得る数少ない強みの1つ、すなわち大国が見るのをやめた場所を見る規律を用いて、そこへ至る道を築いたのだ。

検証する価値があるのはこの部分である。感傷的な話ではない。戦略の話だ。カーボベルデは、スペイン、アルゼンチン、その他対戦したサッカー大国に資金力で勝つことはできなかった。彼らのアカデミー、リーグ、施設、あるいは何十年にもわたる制度的投資を再現することもできなかった。できたのは、才能の見いだし方を変えることだった。最大のパイプラインに資金を投じられないなら、より優れたレーダーを築くしかない。

「ピコ」の愛称で知られるディフェンダー、ロベルト・ロペスの例を考えてみよう。2018年、ロペスがアイルランドのシャムロック・ローヴァーズでプレーしていたとき、カーボベルデサッカー連盟はLinkedInを通じて彼に連絡を取った。ポルトガル語で書かれたそのメッセージを、彼はスパムだと思い込んで返信しなかった。それから9カ月後、英語での追跡メッセージが届いたとき、彼はようやく最初のメッセージをGoogle翻訳にかけた(ロイターの取材に対し、彼は「最初からそうすべきだった」と語っている)。そこで彼は、カーボベルデが家族のルーツを通じて自分を探し出し、代表チームでのプレーを望んでいることを知った。彼は2019年に国際デビューを果たし、今ではワールドカップ代表チームの中核を担っている。

この細部はたいてい、魅力的な逸話として扱われる。だが、それ以上の意味がある。そこには、戦略全体が見える形で隠れている。ワールドカップでプレーするディフェンダーは、華やかなアカデミーの経路や伝統的なスカウティング機構を通じて発掘されたのではない。より豊かなサッカー国が探す理由のない場所を、誰かが探しに行ったから見つかったのである。これは幸運ではない。見いだす力がインフラとして機能したということだ。

インフラとしての「見いだす力」

私たちはインフラを、スタジアム、アカデミー、トレーニングセンター、ユースリーグ、メディカルスタッフ、分析部門といった、物理的で高額なものとして考えがちである。それらはすべて重要であり、小国はそれが十分にないことで苦しむ。しかしカーボベルデは、見落とされやすい別のインフラの形を示している。それは注意、記憶、粘り強さ、人間関係でできているからだ。つまり、見つけるためのインフラである。

人口が多く、サッカーのシステムが確立されている国々では、才能は自然と現れるように見えるかもしれない。選手たちはアカデミー、クラブ、大会、そして年代別の代表チームを経て、その中から最優秀の選手たちが頭角を現す。だが、それは魔法ではない。何十年もかけて構築され、大規模に資金を投じられてきた認識システムである。カーボベルデには、自国が持たない経路を通じて才能が現れるのを待つ余裕はなかった。そのため、彼らは世界中のディアスポラ(移民コミュニティ)に目を向け、他国のシステムで育成されながらも代表として招集されていなかった、カーボベルデにルーツを持つ選手たちが所属するリーグへと目を向けたのだ。

この違いは極めて重要である。同国は、使い古されて本来の意味を失いつつある「実力以上の健闘を見せた(punch above its weight)」わけでは決してない。あるリソースを別のリソースで代替したのだ。規模が足りないところは「探索」で補い、資金が足りないところは「記憶(ルーツの追跡)」で補った。広大な国内のパイプラインを持たない代わりに、カーボベルデの才能とみなす対象の定義を拡大した。その結果は奇跡ではない。小国としての戦略なのだ。

資金があることでやめてしまうこと

ここで、この教訓は大きな組織にとって居心地の悪いものになる。豊かさはしばしば、見いだす習慣を弱める。資金力で問題を解決できるとき、人はより深く探そうとはしにくくなる。すでに名声ある経路を支配していると、その経路を過度に信頼し始める。才能は、システムが見るよう訓練されてきた場所にあると見なされ、その経路の外にあるものは周縁的、危険、あるいは不可視なものとして容易に退けられる。

これはサッカーに限った話ではない。企業も同じことをする。同じ大学、フェローシップ、企業、ネットワークから採用し、それから最高の人材を見つけたと自らを称賛する。実際にそうである場合もある。だが多くの場合、すでに他の強力な機関に認められた人を採用したにすぎない。洗練、確信、推薦、知名度のある名前は無関係ではない。しかし、それらは才能そのものではない。誰かがすでに見いだされていたことの証拠である。

あらゆるリーダーにとって、より難しい問いは、自分たちの前にあるすべてのシステムによって誰が評価されてきたかではない。それらのシステムに見逃されてきたのは誰か、という問いである。競合が尊重しない場所で成果を上げているのは誰か。あなたの組織が必要とする資格、規律、流暢さ、あるいは実体験に基づく知識を持ちながら、その価値を明白にする肩書きを持っていないのは誰か。たった1通のメッセージで、あなたが築こうとしているものの中心になり得るのは誰か。

物語の下にある戦略

ソフトパワーは通常、引きつける力として説明される。力や支払いによらず、他者に自分が望むものを望ませる能力である。その定義は今も有効だ。だがカーボベルデのワールドカップでの戦いは、引きつける力の前にあるものを明らかにしている。国が称賛される存在になる前に、まず称賛に値するだけの信頼できる何かを組み立てなければならない。小さな主体にとって、その組み立てはしばしば、見いだすことから始まる。

だからこそ、この物語は単なるアンダードッグの物語よりも有用である。カーボベルデが勝ち取った愛情は本物だったが、それはより意図的なプロセスの結果として生まれたものだ。世界が寛大だったから、このチームが魅力的になったわけではない。カーボベルデが、人々を見出し、共有されたアイデンティティで結びつけ、分散していた帰属意識を組織としてのパフォーマンスへと変えるという、地味な作業を最初に行ったからこそ、チームは魅力的になったのだ。ロイターの報道によると、チームは国内の才能と世界中に散らばるカーボベルデにルーツを持つ選手たちを融合させたという。このモデルにより、チームはスペイン戦の0-0の引き分け、ウルグアイ戦の2-2の引き分けを経て、アルゼンチン戦での延長戦の末の2-3という惜敗へと導かれた。

これは設計図を伴うソフトパワーである。ブランディングキャンペーンではない。スローガンでもない。小さな者を応援してほしいという感傷的な訴えでもない。従来型の資産が少ない国が、他者が見過ごしてきた資産を見いだすことで影響力を築いたのである。注目を買ったのではない。無視しにくい存在になったのだ。

資源に乏しい者のためのプレーブック

このワールドカップが投げかける有益な問いは、小国が時折私たちを驚かせることができるかどうかではない。もちろん、できる。より重要な問いは、その驚きが目に見えるようになる前に、彼らが何をしているのかである。カーボベルデの答えは、巨人を模倣することではなかった。巨人が怠惰になっていた場所、すなわち見いだす力で競うことだった。

これは、資源に乏しいあらゆるリーダー、企業、都市、大学、運動、国家に応用できる教訓である。限られたエネルギーを、部屋の中で最も大きなプレーヤーのように見せるために費やしてはならない。最大のプレーヤーがなおざりにしてきた能力を築くのだ。彼らが探さない場所を探す。彼らが聞かない場所で耳を傾ける。彼らの威信が好奇心を失わせた場所で採用する。小さな者の優位性は、めったに規模にはない。巨人が探すことをやめられる余裕を得た瞬間に築くのをやめたレーダーにこそある。

カーボベルデはメッセージを送った。ロペスはそれをスパムだと思った。彼らはもう一度送った。

これは単なる美しいサッカーの物語ではない。戦略である。そして、影響力を買う予算を持たずにそれを築こうとする者にとって、今大会で最も重要な教訓かもしれない。

forbes.com 原文

2026年8月号発売中

最新号の購入はこちらから

2026年8月号発売中

最新号の購入はこちらから

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

| あなたにおすすめの記事

人気記事

リーダーシップ

2026.07.15 07:52

従業員が「使いたくなる」デジタルワークプレイスをつくる9つの視点

stock.adobe.com

stock.adobe.com

企業の「デジタルワークプレイス(デジタル上の職場)」は、単に文書を保管したり会社のニュースを共有したりするだけの場所ではなくなった。適切に設計すれば、コミュニケーションを強化し、企業カルチャーを強固にし、従業員がどこで働いていようとも、つながりを保ち、情報を得て、高いエンゲージメントを維持できるよう支援することができる。

課題は、従業員が「実際に使いたい」と思えるプラットフォームを構築することだ。ここでは、Forbes Human Resources Council(フォーブス人事評議会)のメンバーが、エンゲージメントをより高めるデジタルワークプレイスを構築する際に、企業が重視すべき優先事項について解説する。

1. コンテンツを常に最新に保ち、見つけやすくする

社内イントラネットやデジタルワークプレイス環境を設計する際、最も重要な考慮事項は長期的な維持管理性である。コンテンツが固定されたまま、あるいは古いままだと、従業員はすぐに離れていってしまう。そのため、導入効果と価値を維持するためには、継続的なガバナンスとコンテンツ管理が不可欠となる。プラットフォームは直感的で魅力的、かつナビゲートしやすいように構成し、従業員が必要な情報やリソースに素早くたどり着けるようにすべきだ。 - シェリー・サスキ(Sherrie Suski)Tricon

2. 目的を持ったコミュニケーションを行う

あらゆるコミュニケーションは、明確な目的から始めなければならない。それがパーソナライズ、周知、あるいは情報提供のためのヘルプデスクであれ、個々の従業員に関連性のあるものであるべきだ。そして、それを会社のパーパス、ビジョン、ミッションへと結びつける。この一貫したつながりこそが、パーソナライズを意味あるものにし、組織全体にカルチャーを浸透させる。可能であれば、双方向のコミュニケーションにすることで、エンゲージメントと影響力を高めるとよい。 - シーナ・ミンハス(Sheena Minhas)ST Microelectronics

3. すべてを1つの場所に集約する

現代のイントラネットやデジタルワークプレイスのプラットフォームは、企業が提供するあらゆる福利厚生と統合されているべきだ。案内用の掲示板のようになるのではなく、従業員がすべての福利厚生を一つの場所で探せるようにしなければならない。さらに、プラットフォームは組織の文化的価値観だけでなく、個人の選択肢にも合致している必要がある。 - ソウラブ・デオラ(Sourabh Deorah)AdvantageClub.ai


Forbes Human Resources Councilは、あらゆる業界の人事エグゼクティブを対象とした招待制の組織である。加入資格の確認はこちらから


4. すべての従業員を考慮して設計する

現代のデジタルワークプレイスを設計する際、企業はPCを使って仕事をしない、デスクレスワーカー(デスクを持たない労働者)や現場(フロントライン)の従業員の包摂を最優先しなければならない。全従業員の大部分がデジタル的に孤立したままでは、真のカルチャーやエンゲージメントが育つことはない。プラットフォームはモバイルファーストで構築し、一人ひとりの従業員がコミュニケーションやコミュニティに等しくアクセスできるようにする必要がある。 - シェリー・マーティン(Sherry Martin)

5. 従業員エクスペリエンスをパーソナライズする

共有されたカルチャーを保ちながら、役割、勤務地、関心に応じた関連コンテンツを届ける、大規模なパーソナライズに注力すべきだ。画一的なイントラネットは、つながりではなくノイズを生む。従業員には、自分にとって重要なものが浮かび上がってくるキュレーションされた体験と、組織全体への帰属意識を育む発見機能のバランスが必要だ。 - ジョナサン・ウェストーバー(Jonathan Westover)Human Capital Innovations

6. 適切なコミュニケーションを通じて信頼を築く

最も重要な機能は、テクノロジーではない。それは信頼である。情報がタイムリーで透明性が高く、自分に関連性があるものだと従業員が信じられなければ、どんなに洗練されたプラットフォームであっても、利用されなくなる。優れたデジタルワークプレイスは、状況を明確にし、ノイズを減らし、従業員が「何が起きているのか」「なぜそれが重要なのか」「自分はそこにどう関わっているのか」を理解できるように支援する。 - ニコール・ケーブル(Nicole Cable)C3 Health

7. 参加を容易にする

「それを使わないこと」よりも「使うこと」のほうが楽だと感じられるほどに、摩擦(心理的・操作的なハードル)を減らすことだ。ほとんどのイントラネット導入プロジェクトが失敗するのは、プラットフォームが間違っているからではなく、従業員が使ってくれるだろうという前提に基づいているからである。わざわざ努力しなければ使えないのであれば、人々は使わない。カルチャーはポータルの中に存在するのではない。それは、人々が自ら参加しようとする瞬間に存在するものであり、プラットフォームはそれを容易にするか、あるいは妨げるかのどちらかでしかない。 - リトゥ・モハンカ(Ritu Mohanka)VONQ

8. 双方向のコミュニケーションを生み出す

ガバナンスが機能した、双方向の可視性を優先することだ。現代のイントラネットは、静的なコンテンツのハブであってはならない。戦略、決定事項、機会、そして従業員の声が可視化され、信頼され、実行に移せるような、つながりを生むインフラであるべきだ。コミュニケーションが透明になり、フィードバックのループが完結し、リーダーがエンゲージメントに対して責任を持つことで、企業カルチャーは強固になる。 - ブリットン・ブロック(Britton Bloch)Navy Federal

9. テクノロジーに人と人とのつながりをサポートさせる

現代のイントラネットは、人間の判断や人間関係を構築する業務が、利用者にとって最大の価値を生み出す場面を中心に設計されるべきだ。あまりにも多くのプラットフォームが情報を伝達するだけで、従業員が明確さ、信頼、あるいはつながりを必要とする瞬間を見落としている。ワークフローを再設計し、コミュニケーション、カルチャー、エンゲージメントを強化しよう。これにより、アクセス、伝達、リマインダー、そしてスケールメリットはテクノロジーに任せ、人間はガイダンス、ケア、判断、そしてカルチャーを形成する対話に専念できるようになる。 - ティモシー・J・ジャルディーノ博士(Dr. Timothy J. Giardino)myWorkforceAgents.ai

forbes.com 原文

2026年8月号発売中

最新号の購入はこちらから

2026年8月号発売中

最新号の購入はこちらから

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

| あなたにおすすめの記事

人気記事

リーダーシップ

2026.07.15 16:47

なぜ経営チームの「合意」は実行段階で崩れるのか

stock.adobe.com

stock.adobe.com

経営チームにおける最も高くつくアライメントのズレは、一見「合意」しているように見えるものである。

このようなパターンを思い浮かべてほしい。リーダーシップチームが戦略会議を終え、全員がうなずき、明確な計画を手にして退室する。しかし3週間後、4人のリーダーが同じ決定に対してそれぞれ異なる4つの解釈で実行に移しており、どこでボタンを掛け違えたのか誰も正確に特定できない。

レオ・ボッタリーは最近、『CEOWORLD Magazine』誌上で、クリス・キュアトンの言葉を引用し、このダイナミクスを「見せかけのアライメント(almost alignment)」と名付けた。私とボッタリーはこの件について直接話し合った。それは、会議室で話されたことと、会議室の外に持ち出されて実行されることとの間にあるギャップである。チームは一見アライメントが取れた状態で対話を終えるが、実行段階に入ると実態はまったく異なるものになる。

実行が遅い、優先順位がブレる、あるいは水面下で不満を抱えながら表面的な調和を保っているなど、行き詰まった経営チームに私が呼ばれるとき、大抵目にするのがこれである。最もよく受ける質問はこうだ。「この件については話し合ったはずなのに、なぜ現場に浸透しないのだろうか?」

その率直な答えは、経営幹部が会議の前にめったに自問自答することのない、ある問いから始まる。

「合意」と「アライメント」は異なる

次の戦略会議に臨む前に、一つ自問してみてほしい。経営幹部全員の「合意(agree)」を得ようとしているのか、それとも彼らの「アライメント(align)」を図ろうとしているのか。

これらは異なるゴールである。

合意とは、会議室にいる全員が同じことを言うことである。一方でアライメントとは、一貫性、すなわち役職や役割、部門を超えて、進むべき方向性に対する明確な理解とコミットメントが共有され、会議室を出てそれぞれの業務に戻った後も維持される状態を指す。

多くの経営チームは合意を追い求め、それをアライメントと呼ぶ。この混同こそが、表面的な合意を生む原因である。チームは1つの結論に達しようと懸命に努める。全員がうなずき、決定事項が記録される。そして各々が自分の世界に戻り、自部門の役割や優先事項、制約というフィルターを通して、決定事項を都合よく解釈する。

会議で合意したからといって、一貫性が生まれるわけではない。それは意図的に設計されなければならない。

アライメントは多層構造である

私の仕事において、アライメントは組織の複数の階層で同時に維持されなければならない。そうでなければ、まったく機能しない。経営チームにとって最も重要な4つの階層は以下の通りである。

• 戦略的意図(Strategic Intent):私たちは実際に何を勝ち取ろうとしているのか。キャッチコピーではなく、真の成果である。

• 優先順位とトレードオフ(Priorities And Trade-Offs):私たちは何を選び、何を捨てるのか。

• 決定権(Decision Rights):誰が何を決定するのか。2つの優先事項が衝突したとき、権限はどこにあるのか。

• 業務推進のケイデンス(Operating Cadence):どのようにこの取り組みを進めるのか(やめることに合意した業務を含む)。

これら4つの階層のうち、どこか1つでも崩れるとギャップが生じる。チームが戦略的意図には合意しても、トレードオフを明確にしない。あるいは、トレードオフは明確にしても、決定権の再割り当てを行わない。あるいは、決定権は再割り当てしても、それに合わせて業務推進のケイデンスを変更しない。

その瞬間には、それぞれのズレは小さなことに思える。しかし、実行段階に入ると、それは雪だるま式に膨れ上がっていく。

なぜチームは見落としてしまうのか

表面的な合意は、表向きはすべてが機能しているように見えるため、検知するのが難しい。誰もがプロフェッショナルとして振る舞い、会議は合意のうなずきで終わり、計画書が作成される。衝突など起きていない。

その代償は後になって、予期せぬ形で現れる。取り組みが停滞し、優先順位が不可解なほどブレ始める。部下たちはリーダーが「本当は何を言いたかったのか」を互いに探り合うようになる。最終的に経営チームは、すでに決まったと思っていた事項を再び決定し直す羽目になる。

ここで大半のリーダーシップチームは、さらなるコミュニケーションを求めようとする。もう一度オフサイトミーティングを企画し、戦略資料を書き直し、新たな社内メモを送る。しかし、そのどれもが根本的な問題の解決にはならない。そもそも構築されていなかった構造を、コミュニケーションの量で補うことはできないのである。

局面を変えるために必要なこと

経営チームを合意からアライメントへと移行させるには、3つの転換が必要である。

1. 摩擦を表面化させる:真のアライメントを実現するには、最も困難なトレードオフをあえて議論のテーブルに乗せ、公の場で解決する必要がある。計画段階の対話において一切の摩擦が生じない場合、アライメントが取れているというのは単なる思い込みにすぎない。

2. 会議ではなく「階層」を検証する:実行段階で問題が生じたとき、会議の対話を振り返るだけではいけない。4つの階層を順に確認するのだ。実際、どのアライメントが崩れたのか。戦略的意図か。トレードオフか。決定権か。あるいは業務推進のケイデンスか。表面的な症状ではなく、破綻している階層そのものを修復する。

3. アライメントを継続的なメンテナンス習慣にする:アライメントは劣化するものだ。市場は変化し、優先順位は揺らぎ、人々は都合よく解釈し直す。アライメントを長期的に維持できる経営チームは、それを「通過したマイルストーン」ではなく、最低でも四半期に1回など、定期的に検証すべきメンテナンス項目として捉えている。

経営者として正しい問いを立てる

私が共に仕事をする最も優秀なリーダーたちは、「私たちはアライメントが取れているか?」と問うのをやめ、「どの段階になれば、アライメントが取れていないことに気づくか?」と問い始める。

この2つ目の問いは、より難易度が高い。アライメントは誰にも気づかれずに崩壊し得るという前提に立っているからだ。それは、何かが破綻する前に、自ら検証を行うという習慣を生み出す。

表面的な合意が高くつくのは、それが何の警告もなしに進行するからにほかならない。成功確率を高めるチームは、アライメントを一過性の会話の勝利として捉えるのではなく、設計され、階層化され、継続的にメンテナンスされる「構造(アーキテクチャ)」として扱っている。

forbes.com 原文

2026年8月号発売中

最新号の購入はこちらから

2026年8月号発売中

最新号の購入はこちらから

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

| あなたにおすすめの記事

人気記事