「元女性で男性戸籍」話題のセクシー女優が語った半生。「女性に戻った」のではなく「私になった」
今は男女とかではなく「私」
――男性性、女性性が行ったり来たりする感覚はあるのですか? 雄乃:今も当時も、それはないですね。自分の肉体を男性に近づけようとしたとき、自分の胸や女性器に対してすごい嫌悪感を持ったんですけど、可愛いを受け入れてからは美を追求したり、気持ちよくなるためやお金を稼ぐためにも女装をしました。これを他者から見たら、行ったり来たりしているように見えるかもしれませんが、私としては性表現(社会的性)は変えても心の性と言われるものは、あまり変わってないんです。今は男女とかではなく「私」として自認しているんです。 ――性行為のときは女性の身体として、女性器が感じるんですか? 雄乃:女性器は感じます。元々女性器なので、女性器が男性器を求めるのは生理現象としてしょうがないっていう発想になったんです。それに、性自認と性的指向は別件の話なので、私がゲイであろうとレズであろうと、私の性自認の前提には関係がない話ですね。 ――混乱しますね。 雄乃:前提として、性自認と性的指向は別。別というのが、もうこの界隈の前提となっています。 ――混乱してきたので、再び整理すると性自認は男性ですよね? 雄乃:はい、高校生と大学生の男性として生活してたときはそうでした。 ――でも、性的思考は男性でも女性でもなくて、女性器を使うんですか? 雄乃:女性器が自分の体にあることは、もちろん重々承知しています。でも、そのことに嫌悪感を抱き続けていても、自分が苦しいだけですし、生きづらさも変わりません。だったら、どうすれば自分が少しでも楽に生きられるのか、そう考えるようになったんです。だから、女性器があることを積極的に受け入れたいわけではないけど、ずっと苦しみ続けるよりは、その現実を自覚したうえで、変えられるものは変えて、変えられないものはそのまま受け止める。そういう考え方になっていったんですね。
女子トイレ、男子トイレ。当事者として経験した日常
――なるほど。私は男だから、男の視点だと女性が好きなんです。雄乃さんも心が男だから、女性を好きにならないわけではないということですか? 雄乃:女性のことも好きになりますよ、私は性的対象のゾーンがすごく広いので、私のことを好きになってくれて、フィーリングや相性が合えばいいんじゃないかと思っているタイプなんです。 ――恋愛に関して性差はそんなに重要な括りではないのですね。こういう話をすると、どうしても性行為や恋愛の話にいっちゃいますよね。岡崎京子さんの『リバーズ・エッジ』って読んだことありますか? 雄乃:読んだことがある気がします。 ――『リバーズ・エッジ』にゲイの男子高校生が出てくるのですが、同級生の女の子が彼に興味を持って、下半身のことばかり質問するシーンがあるんです。そのゲイの男の子が性的な質問ばかりされるので、その女の子にして「失礼だよ、ゲイだからといって、すぐに性の話を持ち出すのは」って言い返すんです。なので、私もその方向にいきがちだから、すごく反省しています。 雄乃:いえいえ、全然大丈夫ですよ。私の生き方は性的欲求とすごく結びついているところがあるので。それと性自認は別物だな、と思いながら割り切って生きてきたという話なんです。 ――子どもの頃に、トランスジェンダー的なところで苦しんだことはありますか? 雄乃:それよりも、家庭環境の問題が大きかったです。 ――逆に、得したことなどはありますか? 雄乃:別にないですね。親戚の結婚式などに呼ばれて行ったとき、ショートカットの男子みたいな格好だったので「トイレが違うよ」と注意されたりしましたし、別に得はしていないです。 ――そのトイレはどうしていますか? 雄乃:現在は普通に女子トイレを使っています。学ランを着ていた頃は男子トイレだったかな。それか、当時から男女どちらも入れるトイレがあった気がします。 ――共用のトイレですか。 雄乃:あった気がします。看護大学に進学したときは、カミングアウトせずに入学したので、男子更衣室と男子トイレを使わせていただいていました。