選挙運動に関するSNS対策の改正法が成立した。偽情報が選挙に与える悪影響を軽減するよう事業者に求める内容だが、実効性に課題を残す。与野党には民主主義の根幹である選挙を公正に保つ対策を不断に講じるよう求める。
改正されたのは、公職選挙法と情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法)で、SNSの偽情報で選挙の公正を害さないようにする「利用者の責務」を明記。人工知能(AI)で作った動画や画像を投稿する場合、AIで作成したと表示することも義務付けた。
事業者には、選挙への悪影響を軽減するために「必要な措置」を講じるよう求め、実施状況を年1回公表することも義務付けた。
SNSの虚偽情報や誹謗(ひぼう)中傷が選挙結果に悪影響を及ぼす懸念は強まっている。与野党が共同で対策に着手したことは一定の前進だが、事業者任せで実効性を確保できるのかは疑問を禁じ得ない。
昨年4月施行の情プラ法に基づき、SNS運営事業者9社は誹謗中傷など不適切な投稿への対応状況を公表したが、積極的とは言えない事業者もある。X(旧ツイッター)は1年間で日本の利用者から嫌がらせなど7600万件の報告を受けたが、非表示などの対応は0.1%にとどまった。
事業者による対応に期待できないなら、閲覧数が多くなるほど投稿者の広告収入が増える収益化の仕組みを選挙期間中は停止するなどの法改正も必要だ。収益化は真偽不明の過激な情報が拡散される要因になっているからだ。
限られた選挙期間中に虚偽情報を打ち消すことは難しく、投票後では手遅れだ。収益化を停止すれば、偽情報発信の誘因を減らす対策の一つにはなるだろう。投稿自体を制限するわけではなく、表現の自由の侵害にもならない。
選挙中の政党によるネット広告の量的制限は今回、見送られた。高市早苗首相率いる自民党は2月の衆院選でネット広告を大量に流した。資金力に勝る政党に有利に働く不公平な状況は早急に是正すべきだ。与野党は改正法施行後に予定される来春の統一地方選の状況も踏まえて、必要な法改正を怠ってはならない。
国が対策を強化しても誤情報や誹謗中傷は根絶されない。私たち有権者が、根拠不明のSNS発信に惑わされず、情報を正しく読み解く力を鍛える必要がある。
カテゴリーをフォローする
-
チャーチャ 5 時間前
-
大手町の従業員 13 時間前
-
ぶちお 7月14日8時31分
みんなのコメント3件
おすすめ情報
コメントを書く
有料デジタル会員に登録してコメントを書く。(既に会員の方)ログインする。