天の御舎(みあらか)を造りて…。古事記は、地上世界で国造りした大国主命(オオクニヌシノミコト)が天照大御神(アマテラスオオミカミ)の子孫に国譲りする代わりに天空にそびえる神殿を求め、それに応じて出雲国に神殿が造られたと書く。これが出雲大社(島根県)の起源とされる ▼平成12年、その出雲大社境内から平安時代の本殿を支えた巨大な柱が出土した。直径1・35メートルの巨木3本を束ね1本の柱として全体の直径は3メートル。平安期の出雲大社については「高さ十六丈(約48メートル)」「東大寺大仏殿より高い」と記した文献が残り、柱の規模が空にそびえる木造建築の存在を裏付けた ▼現在、世界一の木造建築といえば、高さ最大約20メートル、1周約2キロに上る大阪・関西万博の大屋根リングだろう。閉幕後に一部をカットして保存する方針という。後世に柱などの部分から規模を推し量るのではなく、壮大さを実感できる残し方を実現してほしい。