人工知能(AI)の開発を進めるため、企業が個人データを集めやすくする改正個人情報保護法が参院本会議で可決・成立しました。野党は「個人の権利が守られない」と反対しましたが、政府は修正に応じませんでした。Q&A形式で読めて役に立つ「サクッとニュース」、今回は「改正個人情報保護法とAI開発」を解説します。
Q 改正個人情報保護法ってどんなものなの?
A 新たな法律では、病歴や犯罪歴などの「要配慮個人情報」も、一定の条件のもとであれば、本人の同意なしで企業に提供できる特例が設けられました。
Q 要配慮個人情報は他にどんなものがあるの?
A 病歴や犯罪歴に加え、思想や信仰、人種や障害、健康診断結果などが含まれます。
Q 本人の同意がいらないのはどんなときなの?
A AI開発など統計情報の作成に限り、個人データを企業に提供する際の本人同意が特例として不要になります。
Q どんな心配があるのかな?
A 病院などが持つ非公開情報も名前や住所つきで事業者に渡る恐れがあります。生データが企業に渡ると、情報が漏れたり悪用されたりするリスクがあります。国会審議では、統計情報であってもAIを使った「プロファイリング」に利用されることへの懸念もあがりました。
Q 「プロファイリング」ってなんだっけ。
A 個人情報や過去の行動を分析して、今後の行動などを予測することです。ネット広告などにも使われています。病歴といった機微な情報などをAIが突き合わせることで、特定の属性の人々と病気や犯罪傾向などを結びつけることも容易になり、差別につながりかねません。
Q どんな人たちがこの法律に賛成したの?
A 自民党・日本維新の会、国民民主党、チームみらいなどが賛成し、立憲民主党や公明党、共産党などは反対しました。
Q 野党はどんな修正を求めたの?
A 野党は「ビッグデータを集めようとする事業者の要望を優先し、個人の権利利益保護を著しく後退させる」と批判し、病歴などを仮名化・匿名化してから提供するよう求めましたが、政府は応じませんでした。
Q 今後はどうなるのかな。
A 特例を適用する際には「本人の権利利益を害しないことが明らか」な場合などの条件がつきますが、具体的な内容は、国会審議を経ずに個人情報保護委員会が策定する規則やガイドラインに委ねられます。野党はこの点にも懸念を示していました。