「防災庁」設置法が成立 政府、大規模災害への備え強化
防災対策の司令塔となる「防災庁」の設置法が13日、参院本会議で可決、成立した。防災計画の立案や災害時の対応を政府全体で切れ目なく担う体制をつくる。大規模災害への備えを強化する。
政府は11月の発足をめざす。内閣府防災担当を格上げし、内閣直属の復興庁やデジタル庁と同格の組織にする。専任の閣僚を置き、関係省庁に防災対応を促す「勧告権」を持たせる。
副大臣と政務官も配置する。災害発生時には政務三役が現地で対応を指揮することも想定する。
防災相は勧告権に基づき、各省庁に防災や減災に必要なインフラの整備や技術投資を求める。各省庁は防災庁の提案を尊重しなければならない。
これまで政府の防災対策は各府省がそれぞれ担ってきた。防災庁は政府全体を調整し、災害時の初動や事前の備えを強める。
内部の部局として「総合政策」「災害事態対処」「防災計画」「地域防災」の4部門を置く。定員は現在の内閣府防災担当の1.6倍にあたる352人に増やす。
防災庁で特に力を入れるのが「事前防災」だ。地震や豪雨などの自然災害が頻発したり激しくなったりしている。平時から被害を抑える取り組みを進める。
日常と災害時を切り分けず、普段使うものや仕組みを災害時にも役立てる「フェーズフリー」の考え方を広げる。
防災技術の開発に力を入れる。人工知能(AI)やロボットの活用を念頭に、官民が重視すべき研究テーマを詰める。
防災技術の研究や人材育成を担う「防災大学校(仮)」を設置できるようにする。政府や自治体の職員だけでなく、民間も含めて専門家を育てる。
南海トラフ地震など海溝型の巨大地震に備えるため、地方機関の「防災局」を設ける。設置場所は2カ所を想定する。防災局と自治体、国の出先機関が平時から連携し、災害時に迅速に対応できるようにする。
復興庁との統合は現時点では想定していない。高市早苗首相は国会答弁で「復興庁は東日本大震災からの復興のためにつくられた組織で、2つの組織は任務が明確に分かれている」と説明している。
防災庁の設置は石破茂前政権が準備を始め、高市政権が引き継いだ。首相が本会議や委員会の質疑に出席する今国会の「重要広範議案」の一つに位置づけていた。
木原稔官房長官は13日の記者会見で、防災庁設置法の成立を受け「産官学民の総力を挙げた防災体制の抜本的強化を実現していく」と述べた。
防災庁について「日本の防災全体を俯瞰(ふかん)的に捉え、徹底した事前防災と、発災時から復旧復興までの一貫した災害対応の司令塔となる」と強調した。