<PETER LANDERS/2026年7月2日>
【シンガポール】米国の大学の牛歩のように遅い対応と比べると、中国の大学の決定は事実上の即決処分とも言える極めて迅速なものだった。
5月12日、動画ブロガーの耿洪偉(ゲン・ホンウェイ)氏は、上海大学の科学者たちが学術誌「ネイチャー・ナノテクノロジー」でデータを捏造(ねつぞう)したと主張した。大学は同日、調査の開始を発表した。1カ月後、不正行為が確認されたとして、博士研究員1人を解雇し、大学のトランスレーショナル医学研究所の所長を更迭したと明らかにした。
中国トップクラスの研究者と権威ある科学誌を巻き込んだ事案が相次いだことにより、耿氏は中国で有名人となり、国内の医科学分野で最も影響力のある人物となったとも言える。33歳の大学院中退者である耿氏は、わずか5分間の動画1本で、学術界のスターのキャリアを断つことができる。
「彼ら(大学)がこれほど迅速に動いた主な理由は、私が生み出せる世論の反発の規模が圧倒的だからだ」と耿氏はインタビューで語った。「大学側は単純に待つ余裕がなかった」
同氏の最新の動画は6月21日に公開され、世界最高峰の科学誌の一つである「ネイチャー」に掲載された2025年の論文を批判した。論文の著者の一部が所属する大学はすぐに調査開始を発表し、ネイチャーも先週、内臓に薬剤を到達させる医療用パッチの可能性を記述したその論文を調査中だと明らかにした。論文の著者らは調査に協力していると述べ、それ以上のコメントは控えた。
中国の大学はかつては最先端の医学研究において後進的な存在とみなされていたが、今や世界屈指の影響力を持つに至り、 中国で開発された医薬品 が米国の家庭の薬箱に常備されるケースも増えている。それだけに、トップクラスの研究者による不正が横行しているという耿氏の告発は、単なる内輪の問題にとどまらない。
中国の政府系…
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