🇫🇷ブランドディレクターが1週間練り歩いて感じた、パリのリアルなメンズファッション事情
6/25~7/1の1週間、ちょうどファッションウィーク中ということもあり、パリのお洒落エリアをしっかり練り歩いてきました。
今回パリを歩き回って一番驚いたのは、実はファッションの多様性やショップの豊富さは、日本のほうが圧倒的に上だったということ。
我々日本人が持つ“パリ=ファッションの最先端”というイメージとは裏腹に、現地で感じたのは「選択肢の少なさ」でした。
"HIGH"と"LOW"しかない
パリでは、中間価格帯のメンズ服が本当に見当たりません。
日本でいうところの平均3万〜5万円ラインのショップはほとんどなく、存在するのはハイエンドなブランドの旗艦店か、ZARAやCOSのようなファストファッションの二極化。
セレクトショップも両手で数えるほどしかなく、しかも多くはデザイナーズブランドに寄ったセレクトがほとんど。
古着屋に関しても、デザイナーズアーカイブ系を揃える店か、日本でいう西海岸的な格安古着屋さんの2択。
ここ2,3年、日本で増えている「お店ごとのスタイル」を打ち出すようなセレクト古着屋はほぼ見かけませんでした。
デザイナーズアーカイブ系のお店も、一部日本に入っていないコレクションやアイテムピースはあるものの、ラインナップとしては都心のセカストやRAGTAGなどのリユースショップの物量少ないverみたいな感じ。
(ちなみに取り扱いの2~3割くらいはギャルソンやアンダーカバーなどの日本ブランドでした)
商品数・ジャンル・価格帯の広さ、どれを取っても日本の方が遥かに多様。特に古着に関しては、日本のバリエーションとクオリティはめちゃくちゃ高いんだなと思います。
メンズアパレルにおいては、選択肢の豊かさという意味で日本は世界でも稀有な環境だと改めて感じました。
ヨーロッパのファッションは「ステータス思考」
ファッションの着こなしに関しても、パリの人々は意外と保守的。 アヴァンギャルドなモード系、ストリート系、アルチザン系など、それぞれのジャンルごとの“王道スタイル”に沿って着こなしている人が多い印象を受けました。
「ジャンルを横断して自分なりにミックスする」みたいなスタイルは意外に少なく、個性よりもそのジャンルに対する“理解度”や“所属感”を大切にしているような雰囲気です。
思ったよりも少ないです
これは仮説ですが、ヨーロッパのメンズファッションは「ステータス」に重きを置いているのかもしれません。評価されているブランドを着て、その系統のスタイルを身にまとうことで、コミュニティの一員であることを示す──そんな感覚があるように感じました。
だからこそ、「誰とも被らない自分だけのスタイル」を追求している人は意外と少ない。そう考えると、むしろ日本のほうがファッション的にはよっぽど“個性的”なのかもしれません。
ヨーロッパにミドルレンジなブランドや古着屋が少ないのも、こうしたステータス思考と関係があるのではと思ったりもします。
それでも行く価値のある場所
じゃあ、日本の方がバリエーションが多いならパリに行く意味ないの?と思うかもしれません。でも、そんなことは全くありません。
なぜなら、L'ECLAIREUR (レクレルール)という唯一無二のセレクトショップが存在するから。
このショップは、パリ市内に3店舗を構えるセレクトショップの始祖的存在。
各店舗で微妙にテイストは違うものの、共通しているのはそのラインナップの濃さ。モード、アヴァンギャルド、アルチザンなど、ファッションの深い領域を集約したような構成になっています。
マルジェラやジルサンダー、コムデギャルソン、The Rowに始まり、ARCHIVIO J.M. Ribot (アルキビオ J.M. リボット)、Ziggy Chen、MASNADAなど、日本でもあまり見かけないブランドがずらり。
洋服の価格は10万円〜と高額帯中心ですが、だからこその世界観の作り込み。内装も美術館のようで、まるで“領域展開”の中に足を踏み入れたような感覚でした。
ちなみに、パリの有名どころで言えばBroken ArmやDover Street Marketもありますが、日本の百貨店や高感度なセレクトショップに近く、独創性という意味ではレクレルールの方が一枚上手かなと感じました。
(日本に入ってないPRADAとかは置いてるのでお好きな方には良いかも)
世界最高峰のセレクトショップで最高の体験
この旅の締めくくりとして、ずっと気になっていたレクレルール本店に行き、アルキビオJ.Mリボットのパンツを試着しました。
日本では散々お高いお店に足を運んでいるのに、久々に店員さんに声をかける時は緊張しました(笑)。
対応してくれたのは若い男性スタッフ。
黄色のボーダーTにクロップドデニムというY2K的なスタイルながら、パンキッシュな小物使いやタトゥーでモードにもバランスが取れたスタイリングで活かした青年だ。
サイズ感やら着こなしのアレンジやら、拙い英語とグーグル翻訳での会話だったが、凄く爽やかに対応してもらえたので、心の中で購入は決定。
ただせっかく世界最高峰のセレクトショップに来たので、色々提案を受けてみたいと思い、「君から見て僕に似合う服があれば提案して欲しい」と伝えてみた。
そしたらもうめっちゃ色々持ってくれた。
多分20着くらいは見繕ってくれたと思う。
これとこれならどっちが好きか?このスタイルだったらこのアウターが似合うと思う、などなど次から次へと提案を繰り出してくれて久々に店頭体験でワクワクした。(楽しすぎて写真撮るのも忘れてた)
しかも後から気づいたが、持ってきてくれた洋服の4割くらいはウィメンズ展開の洋服だった。男性へのスタイリング提案であんなに自然にウィメンズアイテムを繰り出せるって凄い提案力。。。
最終的にはお目当てのパンツにはこのシルクシャツが合うよねとなったが、シャツ単体でも13万円と流石に高額。(ちなみに買おうとしているパンツは約21万円💦)
パンツはアルキビオ。
秋冬の事業出費も考慮して、今回はパンツだけを購入することに決めた。
押し売り感も一切なく、こちらが求めた時にしっかり向き合ってくれるスタンスにも好感。売上ノルマのためではなく、“提案すること”に価値を感じて接客しているようで、ショップスタッフとしての原点を改めて思い出しました。
トラブル発生
いざお会計しようとクレジットカードを切ると、まさかのエラーが出て使えない。限度額や海外利用制限なども問題ないはずなのに何度やってもダメ。
日本のサポートセンターも7時間の時差で営業時間外と繋がらずにマジで焦る。
結局ホテルにあるもう一枚の予備のカードで明日決済することに。
おわりに
パリ=ファッションの最先端、というイメージは決して間違っていません。ただし、それは「一部」に限った話。
全体で見れば、日本の方がショップの数も、スタイルの多様性も遥かに豊か。僕らが思っている以上に、日本のファッション環境って凄いんだと実感しました。
そして是非パリに足へ運んだ際には、レクレルールへ行ってみて欲しい。
たとえ何も買わずとも、店内の空気感を味わうだけで刺激になるはずです。
このnoteが、パリを夢見る人にとって現地のリアルな参考になり、日本のファッションの魅力を再発見するきっかけになれば嬉しいです。


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