ヨドバシでiPhoneが10%高くなった理由──これは“値上げ”ではなく、免税対策ではないか
ヨドバシカメラで、SIMフリーiPhoneの価格が10%高くなっている。
このニュースだけを見ると、単純に「iPhoneが値上げされた」と受け止めたくなる。
しかし、今回の動きは普通の値上げとは少し違う。
なぜなら、上がり方があまりにもきれいに10%だからだ。
例として、iPhone 17e 256GBは99,800円から109,780円、iPhone 17 Pro 256GBは179,800円から197,780円になっている。
この数字を見れば、かなり見えてくるものがある。
99,800円に10%を乗せると、109,780円。
179,800円に10%を乗せると、197,780円。
つまり、今回の価格変更は、円安や部材高騰による曖昧な値上げというより、消費税10%分をそのまま上に乗せたような価格設定に見える。
これは国内客向けの値上げなのか
表面上は、国内の一般ユーザーにとって値上げである。
Apple Storeで買う価格より、ヨドバシのSIMフリーiPhoneが10%高く見える。
普通に考えれば、国内ユーザーは「なぜヨドバシで買うと高いのか」と感じる。
しかし、ここで重要なのは、ヨドバシが免税販売に対応している量販店であるという点だ。
Apple Storeは、すでに日本国内で非居住者向けの消費税免税販売を終了している。Apple Storeは2022年6月21日から、外国人旅行者など非居住者に対する消費税免税購入対応を終了したと報じられている。
つまり、外国人旅行者が日本でiPhoneを買いたい場合、Apple Storeでは免税で買えない。
その一方で、家電量販店では免税販売が残っている場合がある。
ここに、価格差が生まれる。
Apple Storeが免税をやめた背景
Apple Storeが免税販売をやめた背景には、転売問題があったと見られている。
2022年には、Apple Japanが外国人旅行者へのiPhoneなどの大量販売について、本来は消費税免税の対象ではない取引まで免税扱いにしていたとして、約130億円の追徴課税を受けたと報じられている。
免税制度は、旅行者が日本で使う、あるいは国外へ持ち出して個人で使うための制度であって、転売目的の大量購入を安くするための制度ではない。
ところがiPhoneは、転売に向きすぎている。
小さい。
高い。
軽い。
世界中で需要がある。
型番管理がしやすい。
未開封品なら価値が落ちにくい。
これは、転売目的の購入者から見ると非常に扱いやすい商品である。
だからAppleは、リスクを抱えてまで免税販売を続けるより、制度ごと閉じたのだと思う。
Appleらしい判断である。
売れるから続けるのではなく、面倒なリスクが大きいなら、売上を捨てても仕組みを閉じる。
ヨドバシの10%値上げは、免税後価格をApple価格に揃えるためではないか
今回のヨドバシの価格変更で面白いのは、値上げ後の価格から免税分を引くと、元の価格に戻ることだ。
たとえば、109,780円の商品を免税で買うと、税抜き相当は99,800円になる。
197,780円の商品を免税で買うと、税抜き相当は179,800円になる。
つまり、外国人旅行者が免税で購入しても、Apple Storeの通常価格とほぼ同じになる。
これが今回の本質ではないかと思う。
国内客には10%高く見える。
しかし、免税購入者にとっては、免税後でもApple Store価格と同じくらいになる。
言い換えるなら、これは単純な値上げではなく、免税で安く買える抜け道をふさぐ価格調整に見える。
もちろん、ヨドバシが公式に「免税対策です」と説明しているわけではない。
だから断定はできない。
しかし、10%という数字があまりにも消費税率と一致している。
さらに、Apple Storeが免税販売をやめている。
過去にはApple Japanの追徴課税問題もあった。
この流れを考えると、今回の価格変更はかなり合理的に見える。
2026年11月から免税制度は変わる
もうひとつ大きいのが、免税制度そのものの変更である。
国税庁は、令和8年、つまり2026年11月1日から免税制度をリファンド方式へ移行すると案内している。
現在の制度では、条件を満たせば店頭で消費税を引いた価格で販売できる。
しかしリファンド方式では、購入時はいったん税込で販売し、出国時に税関で国外持ち出しが確認された後に、消費税相当額を返金する仕組みに変わる。観光庁の免税店サイトでも、2026年11月1日の販売から、持ち出し確認後に消費税相当額を返金する方式へ移行すると説明されている。
これは、免税制度の大きな転換である。
店頭でいきなり安く買える仕組みから、
本当に国外へ持ち出したことを確認してから返金する仕組みへ変わる。
この制度変更が始まれば、転売目的の不正利用はかなりやりにくくなる。
しかし、それまでは現行制度が残る。
だから量販店側としては、2026年11月までの間、自衛的な対策を取る必要がある。
そのひとつが、今回のような「免税後でも安くなりすぎない価格設定」なのではないか。
国内ユーザーにとっては、かなり微妙な話
問題は、国内ユーザーである。
国内ユーザーは免税を使えない。
そのため、ヨドバシで10%高くなったiPhoneをそのまま買うことになる。
ポイント還元があるとしても、価格比較はかなりシビアに見たほうがいい。
Apple Storeの価格、ヨドバシの販売価格、ポイント還元、在庫、保証、支払い方法。
これらを全部見て、ようやく判断できる。
ただ、シンプルに言えば、今回のように本体価格がApple Storeより10%高いなら、普通の国内ユーザーはApple Storeで買うほうが分かりやすい。
特にApple製品は、公式価格が基準になりやすい。
iPhoneは値引き商品というより、価格の透明性が強い商品である。
そこに10%の差が出ると、かなり目立つ。
これは「転売しやすい商品」の宿命でもある
今回の件は、iPhoneだけの話ではない。
高額で、世界中で需要があり、持ち運びやすく、再販売しやすい商品は、制度の抜け道に使われやすい。
カメラ。
レンズ。
ゲーム機。
高級時計。
そしてiPhone。
こうした商品は、観光消費と転売需要の境界線が曖昧になりやすい。
本来、免税制度はインバウンド消費を促進するための制度である。
しかし、あまりにも転売しやすい商品が絡むと、制度の善意が歪む。
Apple Storeが免税販売をやめたのも、ヨドバシが10%上乗せのような価格にしたと見られるのも、同じ問題の延長線上にある。
ヨドバシのiPhone10%値上げは、免税制度の歪みが表に出たもの
今回のヨドバシのiPhone価格変更は、単なる値上げではないと思う。
もちろん公式発表がない以上、断定はできない。
しかし、10%という数字、Apple Storeの免税終了、過去の追徴課税、2026年11月からのリファンド方式移行を並べると、かなり見え方ははっきりする。
これは、国内ユーザー向けの値上げというより、
免税で買ったときに安くなりすぎないようにするための価格調整ではないか。
iPhoneは、もはやスマホであると同時に、世界共通の換金性を持つ商品でもある。
だからこそ、普通の商品と同じようには売れない。
制度、税金、転売、インバウンド、在庫管理。
そのすべてが絡んでくる。
今回のヨドバシの10%値上げは、iPhoneという商品が持つ特殊性をかなり分かりやすく示している。
安く売れば売れる。
しかし、安く売ると転売される。
免税にすれば喜ばれる。
しかし、免税にすると制度リスクが出る。
その結果、店側は価格で調整するしかなくなる。
今回の値上げは、iPhoneが高くなったというより、
iPhoneを“免税で安く買える商品”として扱う時代が終わりつつあるという話なのかもしれない。
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