◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」
プロ野球担当になってから、「もし私が野球選手だったら」と想像することが増えた。その立場になって考えてみると、感情の機微が少し理解できるような気がしている。試合に負けた日は、選手たちは複雑な思いを抱えているはず。言葉選びはいつも以上に慎重。だからこそ、どんな時でも取材に真摯(しんし)に向き合ってくれる選手を尊敬している。
中野拓夢内野手(30)はまさに“神対応”という言葉が似合う。阪神では、試合後は歩きながら取材を受けることがほとんどだが、中野は必ず立ち止まる。「自分も結果が出ない日が続くと、答えたくないなって思うことももちろんある。でも、何かを聞きたいから来てくれているので、答えられる範囲でしっかり答えようという意思はある」。マスコミの気持ちも理解しようとしてくれる、懐の深さを感じた。
また、印象的だったのは、ドラフト1位の立石正広内野手(22)が4打席連続三振に倒れた、6月16日の西武戦(甲子園)。9回2死一塁で空振り三振に終わり、ベンチに戻る際、涙を流した。直後の取材は一言も話さない状況も想定していたが「技術も足りないですし、もったいない打席も多い。技術で解決するしかないので、練習します」ときっぱり。泣いたことを悟らせない凜(りん)としたたたずまいに、必ず壁を乗り越えられると確信した。
プレースタイルが異なるように、取材対応も十人十色。野球理論や食事のこだわり、家族やチームメートとのエピソード…。何を取材しても新しい発見がある。「プロ野球選手は面白い」と実感させてもらっている日々だ。(阪神担当・藤田 芽生)
◆藤田 芽生(ふじた・めい) 2025年入社。26年から阪神担当。試合のお供はジャスミンティー。