(改訂版)全オリジナル・アルバム+α From ワースト To ベスト (第16回)マドンナ その1 20-11位
どうも。
これはfromワーストTоベストで、2018年8月(僕がnoteをはじめたのが2019年1月なので、以前のプラットフォームということになります)にマドンナをとりあげたときの改訂版です。あの当時にまだ世に出ていなかった2枚のアルバムを加えたものです。あと、8年も時間が経過していることもあり、多少順位も変えてあります。
では、基本、文章はいじらず、主に【追記】という形で書いていきたいと思います。なお、これ、早いタイミングで有料にしますので読むなら速攻で!
では、いきます。
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では、お待たせしました。今週のマドンナ・60歳記念ウィークによる、アルバムFromワーストToベスト。
今回はですね、マドンナですから、普通にオリジナル・アルバムだけやっても面白くないので、「オリジナル・アルバムじゃないけど、収録曲の関係ですごく大事な意味を持つアルバムになっている」ようなものも何枚か足して、その上で順位を選んでいます。なので、18枚ピックアップしてます。今回はそのうちの18位から11位を選んでいます。
【追記】このあとに2枚出ているので、20位から11位となります。
では、行きましょう!
20.MDNA(2012 US#1,UK#1)
ワーストは2012年発表のアルバム「MDNA」ですね。これは、いろんなマドンナのベスト・アルバム企画で必ずと言っていいほどワーストに選ばれている作品ですけど、僕も異議なしですね。これ、何が悪いかって、マドンナが「老い」を怖がりすぎて、必要以上に若い人たちにすり寄ったのが痛々しいアルバムだから。別に彼女がやる必要のなかったEDMに挑戦して、それまでの作品にあった「エレクトロ・ポップの女王」の品格を損なってしまった。中でも一番いただけなかったのは先行シングルになった「Give Me All Your Luvin」ですね。申し訳ないけど、あのチアリーディングは寒かったです。
彼女って、これまでに「目論んだことが失敗に終わった」という、いわゆる「失敗作」の類ならあったんですけど、このアルバムはその要素もある上に、収録曲そのもののクオリティが悪かった意味で、僕の中ではこれ、彼女がキャリア上、唯一出した「駄作」だと思っています。
19.Who's That Girl?(1987 US#7 UK#4)
ワースト2はこれですね。80sの彼女の主演映画のサントラ。80sに彼女が発表したアルバムは関連作も含め、どれもレベル高かったんですけど、これは時間のない中、無理矢理こしらえたか、「True Blue」のセッションでの余り曲みたいな弱い曲で構成されていますね。他の参加アーティストも、歴史上に名を残していない「誰、それ?」な人が集まっているのも、このアルバムの弱さを物語ってます。
で、これ、今聞くと、とてもダサいんです。なんなんだろうな。タイトル曲でも「Qien Es Esta Nina」と「あの娘は誰?」のスペイン語訳がサビで歌われるんですけど、全編がラテン・ダンス・アレンジなんですよ。その頃、そんなにラテン・ポップ流行ってたってことなのかな?マイアミ・サウンド・マシーン以外に思い出さないんですけど、あれがすごく時代を感じさせます。
18.Rebel Heart(2015 US#2 UK#2)
これが目下のところの最新作(2018年当時は)ですね。これの前作「MDNA」より持ち直してはいて、これより前の2000sの彼女の雰囲気があるものだったり、ダンスホールっぽいことにもトライしてたりと、それなりの努力は感じられるアルバムではあるんですが、ダサいEDMアレンジを残してたり、「もう、いい年して、おやめなさい!」と言いたくなる「Bitch!」というフレーズを連発したり。前作で悪かったところが所々顔をのぞかせるのが残念なところです。
ただ、彼女、最近(2018年当時)のインタビューで「新作はポルトガル移住の影響が出たものになる」「最近の音楽は似たようなものばかり」などと言っているので、期待してるんですけどね。まあ、彼女自身がその「似たようなもの」にトライしようとしてたわけですが(笑)、この「ちょっと、姐さん!」とツッコミ入れやすいところもマドンナの愛らしいところでもあるわけです。
17.Erotica(1992 US#2 UK#2)
これはある時期まで、一番嫌いな彼女のアルバムでしたね。92年頃というと、マドンナの音楽シーンにおける影響力、オピニオン・リーダーとしての存在感がピークに達していた頃ですが、その期待に答えようとして過激に過激に生きすぎた結果、写真集「Sex」共々、行きすぎてかえって自分を見失ってしまったアルバムでしたね。
そして、このアルバムも、今聞くと、ものすごく古いんですよね。あの時期、ハウスのブームだったんですけど、これが出た1年後にはブームがすっかり去ってしまっていたし、マドンナ自身も飽きちゃったのか、さっさとやめちゃいましたけどね。このアルバムで全編に渡って起用したシェップ・ペティボーンって人のアレンジも安っぽいし、その後も名前、全く聞かないし、「なんで彼女はこの人を選んだんだろう」という人選でしたね。
ただ、それでも、アルバムの冒頭の「Deeper And Deeper」は「これぞマドンナ!」とでもいうべきマドンナ・メロが炸裂した名曲だし、アルバム後半では浮いてしまっているバラードの「Rain」。この2曲に関しては、このアルバムに置くのがもったいないくらいの素晴らしい曲でしたけどね。
【追記】そのあと、LGBT界隈を中心に、このアルバムを再評価しよう
とする流れがありまして、その影響でRate Your Musicなどでの点数が押し上げられるような事態が生まれています。
しかしながら、僕はそれでもこのアルバムの評価を上げる気はありません。それは、そうした再評価が「当時、何故酷評されたか」、それが「早すぎた」ならともかく、「このアルバムが出た頃にはハウスのムーブメントが終わりかけていた」という、決してかっこよくない理由だったのにその点が無視されていること、さらに、どんなに盛り上げる人がいたところで、本作のストリーミング、ライブでの演奏頻度が共に歴代作の中で下位にあることを考えても、再評価するにはまだ弱いという判斷を下しています。
16.American Life(2003 US#1 UK#1)
これは出た時はすごく好きだったんですよね。「おおっ、マドンナ。ブッシュ批判だ、カッコいい!」みたいな感じで。サウンドの方も、彼女と非常に相性のいいミルウェイズによる鋭角的なエレクトロ路線で。だから、リリース当初、「なんでこんなに叩かれるんだろう」と思ったものです。
ただ、今回聴き直してみて、その理由も理解できましたね。一つは、彼女がこの頃、当時の夫のガイ・リッチーとイギリスに住んでいたことですね。僕自身もブラジルに住んでみてわかったことですけど、いざ、違う国に移住って形とってしまうと、以前住んでた国の悪口とかって言いにくくなるものなんですよ。僕だって「もう、住んでもいないのに、状況もしっかり把握できなくなってるのに批判ってしにくいな」という心情や配慮がどうしても生まれるものなんですね。そこのところを彼女は一線超えちゃったのかな、という感じはしました。
あと、ちょっと歌の内容がダウナー過ぎるんですよね。彼女は暗いメロディの曲は似合うんですけど、それでもメッセージそのものはすごく前向きな人です。ところが、このアルバムでは、なんか「疲れた」というのが前に出過ぎて、ポジティヴなエネルギーが聞かれないんですよね。実際、あの当時、「引退か?」なんて言う人もいたくらいですからね。ちょっと、内を向く方向性で行きすぎたかな、という感じですね。
15.Madame X (2019 US#1 UK#1)
そして、前回のランキングを付けた際にはまだリリースされていなかった2019年の「MadameX」がここに入ります。このアルバムはマドンナがポルトガルに移住し、そこでの体験からインスピレーションを得たものです。たしかにマルーマをフィーチャーした「メデジン」でレゲトンにトライしたのは、世界的なレゲトン・ブームが20年代に入って本格化したことを考えると早くはあったんですけど、その他が、マドンナとそこまで相性が良いとは
思えないディプロであったり、ミーゴスのクエイヴォやレイ・シュリマーのスウェイ・リーなどの器用はただ単に当時のトラップの流行りに乗ったとしか思えない浅さを感じさせました。さらに、移住した地で社会批判を行うなどのスタンスも「アメリカン・ライフ」の際にさんざん批判されたはずなのにそれを繰り返しもし。この前の2作よりは音楽的には先に進んだ感じはありますが、それでも物足りないですね。せっかく2000年代マドンナ・サウンドの立役者ミルウェイズが参加してるのだから、彼と「らしい」作品を作ってほしかったですね。
14.Hard Candy(2008 US#1 UK#1)
11位は2008年作の「Hard Candy」です。これ、出た当時は好きじゃなかったんですよ。それまでミルウェイズと組んで、「マドンナ・エレクトロ3分作」を高い水準で作り上げてきたのに、「何で今更、あの当時、もう誰でも起用してたティンバランドとファレル・ウィリアムズなの?そこいらのセレブとそれじゃ変わらないじゃん?」と思いましてね。で、今も先行シングルになった「4 Minutes」とか、日本でラジオ・オンエアされてた「Miles Away」とかは今もあまり好きじゃないです。
ただ、このアルバム、ファレルがことのほか冴えてたんですよね。中でも「Give It To Me」は出色の出来でしたね。マーヴィン・ゲイの「Got To Give It Up」をサンプリング(本人否定してるけど、誰の耳にも明らか、笑)した、その当時の彼の新しい展開でしたね。彼、この直前までスランプで、ソロの第1弾なんて大失敗作だったんですけど、ここから持ち直して、この数年後には「Give It To Me」を流用したロビン・シックの「Blurred Lines」を大ヒットさせ、その後に「Happy」でしょ。マドンナが彼をスランプから立ち直らせた、と後から振り返って言えるんじゃないかな。
あと、それだけじゃなく「Heartbeat」もすごくいい曲。ファレルはマドンナとの相性、すごく良かったんだと思います。あまり既存の有名プロデューサーと相性うまくいかない時が多いマドンナですが、彼とならむしろこの先もやっていいと思いましたね。
【追記】前回は10位でした。これは僕の評価が下がったわけではなく、むしろ他に評価をあげたい作品が出てきた、ということです。まあ、冷静に見たらティンバランドとの曲はノー・ケミストリーだったりしてつまんないですからね。
13.Bedtime Stories(1994 US#3 UK#2)
当時、すごくヒットしたアルバムではあるんですけど、マドンナ・ファンの間でも評価が真っ二つに割れるアルバムです。
これ、聴感上はすごくよくできたアルバムです。あの当時の、イギリスのトリップホップ系のプロデューサーに、アメリカのR&Bの精鋭たち。彼らを生かした、「トップ・モードのアーバン・アルバム」という感じでしたね。実際、ベイビーフェイスの書いたバラード「Take A Bow」はアメリカでかなり長いこと1位にもなりましたしね。
ただ、マドンナにこれは求めないんですよねえ。彼女って別に「売れっ子プロデューサーを多用して、ダンス・ミュージックとしての最先端を作る」というタイプでは決してありません。マドンナというのはあくまで、他で売れていようがいまいが、彼女自身との相性がいいプロデューサーを選んで、独自の彼女らしさを出して勝負するタイプのアーティスト。それを考えると、このアルバムは、そこいらのセレブ・ディーヴァ系のアルバムみたいな作りになってて、そこのところがどうしても好きになれないんですよね。
まあ、その理由には、彼女が「Erotica」と、その後のツアーの「ガーリー・ショウ」で、全霊尽くした割に結果が出なくて疲弊して、次の方向を見失っていたことが大きいんですけどね。その意味でこれは、次の方向を模索するためのリハビリ・アルバムでもあったわけです。よって方向性が定まってしまえば、必然的にこういうアルバムは作らなくもなります。ただ、現在もライブで歌われる「Human Nature」みたいな、飛び抜けて優れた曲もありますけどね。
12.I'm Breathless(1990 US#2 UK#2)
12位は映画「ディック・トレイシー」のサントラ。「ブレスレス」というのは、この映画でのマドンナの役名です。相手役はウォーレン・ベイテイでした。
この映画、公開当時、酷評されたし、このサントラ自身もマドンナの正規のオリジナル・アルバムとは位置付けが違うので、それで後年あまり振り返られないアルバムなんですけど、これ、今聞くと、意外と面白いんですよ。映画の舞台が1920年代とあって、その当時を思わせるニュー・オーリンズ・ジャズとかヴォードビルとかの音楽要素をその当時のダンス・ミュージックと上手い具合に混ぜていたりね。もちろん、企画ものであるがゆえ、こういう路線は一時的なものではあったんですけど、今でもたまに「Hanky Panky」とかをライブでやっているのを聞くと、案外この遊びが大切だったような気もしています。
あと、文句なしなのは主題歌の「Vogue」 ですね。これ、僕はマドンナの数少ないハウスでの成功曲(及び前述のシェップ・ペティボーンの)だと思っているんですけど、1920〜30年代のハリウッドやファッション界が後年でも語られるようなカルチャーを築いたように、今は私がそれを継承する、という、彼女の決意表明みたいなメッセージがすごくカッコいい。当時、ノリに乗っていたマドンナが頂点で放ったマニフェスト的な1曲でしたね。
【追記】もし、このアルバムのタイミングで「Erotica」が作られていたらすごくジャスト・タイミングなアルバムになっていただろうとは思います。ストーン・ローゼズが「Fools Goldのシングルのときにアルバムを出していたら」みたいなことはよく言われますが、
11.Something To Remember(1995 US#6 UK#3 )
これは、その「Bedtime Stories」が出た1年後に出した、バラード・ベストですが、このアルバムは案外重要です。というのは、「バラード・ベスト」というのは形式上のものであり、実際は、ここに収められた新曲群を届けるのが目的に違いなかったから。ここで彼女は、マーヴィン・ゲイの「I Want You」のカバーをビヨークのプロデュースで当時売れっ子だったトリップホップのネリー・フーパーに依頼しますが、これなんか聞いてると、「ああ、Bedtimes Storiesで模索したものの、彼女の中での答えが見つかり出してきたかな」と思えるものです。
あと「You See」「One More Chance」、自身のセルフカバーの「Love Don't Live Here Anymore 」の曲調、アレンジを聞いてみても、前作よりは的が絞れた感じになっていますね。もっともこれはその当時に気がついていたことではなく、その後の彼女の展開から判断して、「ああ、あれは結局、そういう意味になっちゃったんだな」と思えたことなんですけどね。
あと、マドンナというのはマイナー調のメロディの曲が本当によく似合いますね。その意味でコンピレーションとしても、結構ツボなんです。あと。コレクタ−的にもサントラ曲だった「This Used To Be My Playground」とか「I'll Remember」が入っているのでオイシイです。
【追記】この「ネリー・フーパー風味」というのは、この後のマドンナにもつながっていく重要なエレメントだとの見方で再評価ポイントができ、逆転で順位をあげています。


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