エボラ死者600人に迫るコンゴ 給与未払いで医療従事者がスト
ブニア、コンゴ民主共和国、7月10日 (AP) ー エボラ出血熱の感染拡大の中心地となっているコンゴ民主共和国東部の医療従事者らが、手当の支給遅延に抗議して業務を放棄している。当局が「対応が追いつかない速さで拡大し続けている」と警告するなか、流行の阻止に向けた取り組みへの深刻な影響が懸念される。 今回の流行で最も深刻な被害を受けている東部イトゥリ州では、複数の医療専門家や最前線の従事者がAP通信の取材に対し、5月15日の流行宣言以来、賃金やボーナスが一切支払われていないと明かした。また、限られた装備での労働を強いられているほか、当局や対応チームから不当な扱いを受けているとも訴えている。 イトゥリ州の州都ブニアの疫学監視委員会メンバーであるビエンシ・カノ医師は、「エボラ出血熱の流行が宣言されて以来、私たちは労働に対する支払いを求め続けてきた」と語る。 政府の最新データによると、これまでの累積感染者数は1708人、うち死者は580人に達している。保健当局は、今回の流行は最初の1カ月間として過去最悪の規模だと指摘する。ストライキが始まった時期は、今回の流行の原因である「ブンディブギョウイルス」の治療に向けた臨床試験(治験)の登録が開始されるタイミングとも重なった。 世界保健機関(WHO)のコンゴ駐在代表アン・アンシア医師は7日、人口の移動や治安悪化が引き金となりウイルスは拡大し続けており、一部の治療センターは満床に近い状態だと述べた。 前出のカノ医師は、手当の未払いが「私たちや家族を重大な社会経済的困窮に陥れ、生活環境を著しく脅かしている」と訴える。 最前線の従事者らは先週末、国および州当局に対して24時間以内に賃金が支払われなければストライキに突入するという公式の警告書を提出した。7日までに一部の従事者はすでに業務を停止しているが、公式なストライキ宣言は出されていない。 不満を募らせる従事者には、医療職だけでなく、安全・セキュリティチーム、地域社会への啓発活動を行う担当者、エボラで死亡した患者の埋葬に携わるスタッフなども含まれる。 コンゴ政府は今回の事態に関するコメントの要請にすぐには応じなかった。しかし、イトゥリ州の当局者は、労働者側と面会し、懸念事項への対応を進めていると述べた。 コンゴ国立公衆衛生研究所のインシデントマネージャー、アキリマリ・ピエール氏はAP通信に対し、「ブニア空港が閉鎖されていることが対応の実施、特に資金流動の側面に支障をきたしている。これが支払い遅延の一因になっている可能性がある」と釈明した。 6日には、一部の労働者がルワンパラ・エボラ治療センターの外で抗議デモを行い、タイヤに火を放った。これにより周辺は一時パニックとなったが、警察が出動して秩序を取り戻した。 医療従事者はこのほかにも、怒った住民からの襲撃や、ウイルス自体の存在に対する懐疑論など、多くの困難に直面している。 地域調査員のベン・バクレ医師は5月下旬、ジュグテリトリーのトゥトゥ村で確定患者の接触者追跡を行っていた際、怒った若者の集団に襲われ、同僚とともに命からがら逃げ延びた。 「私たちは自費で交通費を払って現場に向かっている。報われると信じていたが、給与が支払われないため、今はすべてがうまくいっていない。このような扱いを受ける筋合いはない」とバクレ医師は憤る。 さらに、声を詰まらせながら次のように付け加えた。「仕事を辞めざるを得ないかもしれない。私たちはリスクを冒している。無駄死にする危険がある。政府はこの流行を長引かせたいのではないかとさえ思える」 先月、今回の流行の「ホットスポット」とされる採掘町モングバリュを訪問した際、コンゴのロジェ・カンバ保健相は対応チームに対し、労働環境の改善を最優先すると約束していた。 カンバ保健相は当時、「対応にあたるすべての医師、看護師、スタッフは完全にサポートされる。そのための資金はある」と断言していた。 しかし、最前線の従事者らが直面する現実は異なる。 ルワンパラ保健ゾーンの疫学者であり地域調査員でもあるジスラン・マネバ医師は、「この病気がいかに危険であるかを住民に理解してもらうため、私たちはできる限りのことをしている。命を救うためにここへ来たのに、このような仕打ちを受けている。私たちは昼夜を問わず、無給で働いている」と語った。 一方、一部の労働者によるストライキは、流行阻止の措置によってすでに経済的打撃を受けているイトゥリ州の住民の間にも不安を広げている。 (日本語翻訳・編集 アフロ)