旧裳掛小・中が資料展示室に 既存の資料室HPも新設 邑久光明園

北村浩貴
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 ハンセン病の回復者が暮らす国立療養所「邑久光明園」(岡山県瀬戸内市)にある国の登録有形文化財「旧裳掛小・中学校第三分校」が今月、資料展示室としてリニューアルオープンした。既存の資料展示室も開館日を年中無休(年末年始除く)に拡大し、ホームページ(https://www.okukomyoen.com別ウインドウで開きます)も新設。基礎的な知識を学ぶだけでなく、入所者の絵画や写真といった作品などを通じ、当時の暮らしや生活をより深く考える場として、態勢を整えた。

 旧裳掛小・中は2010年から資料展示室として使われた。しかし、前身の「外島保養院」を含めた邑久光明園の歩みや、入所者の生活用具などが置かれた社会交流会館資料展示室が16年、敷地内の別の場所に完成。それ以降は事実上の休館状態だった。

 旧校舎は木造平屋建て。国の強制隔離政策のもと、療養所の子どもたちが通う「光明学園」として1939年に開校した。戦中、最も多い時期には71人の児童・生徒が学んだ。47年に裳掛小・中学校第三分校となったが、小学校は59年、中学は62年に閉校。その後、畳工場などを経て資料展示室として活用された。2019年には、園内の4施設と合わせて国の登録有形文化財(建造物)となった。

 リニューアル後の旧校舎講堂と教室には、当時の学校の様子を伝える写真パネルや、児童らの作文を展示した。邑久光明園のキムラ・タダシ学芸員は「子どもたちも収容され、療養所で暮らしたことを考えるきっかけにしてもらえれば」と話す。

 別の教室(ギャラリー)では、特別企画として入所者の故小林文雄さん(1911~2007)の写真展を8月末まで開く。建物内には、1951年に建てられた夫婦舎の一室(4畳半)を再現した居室もある。夫婦舎ができるまで夫婦1組に対して個室がなく、プライバシーが守られなかったという。

 社会交流会館資料展示室と旧裳掛小・中(事前予約制、0869・25・1575)は、いずれも午前10時~午後4時。入場無料。問い合わせは邑久光明園(0869・25・0011)へ。

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 故小林文雄さんの写真展は、邑久光明園内の暮らしや風景を記録したモノクロ写真10点が並ぶ。残されていたフィルムから、改めてプリントしたものだ。

 小林さんは1949年、24歳の妻と2歳7カ月の娘を郷里に残して入所した。入所者にモデルになってもらった作品「望郷」は、崖の上から海を眺める男性の姿を写している。70年代前半に撮影されたという。

 「園に入っても二人のことばかり思い、毎日、海の彼方(かなた)を眺めて涙にくれました」。小林さんは入所当時の心情を、写真集「九十三歳の回顧録 邑久光明園の日々」(皓星社)に残している。

 「望郷」に写る看板には「危険 近寄るな」の文字が見える。キムラ・タダシ学芸員は「隠喩として、自らがそういう存在と示しているようだ」と指摘。「一部の写真には演出を加えることで、ハンセン病療養所の真実に迫ろうとした作家だったのでは」と話している。

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この記事を書いた人
北村浩貴
岡山総局
専門・関心分野
地方行政、地方政治、文化財、民俗学、スポーツ