首都圏に唯一立地する日本原子力発電東海第2原発(茨城県東海村)が東日本大震災で運転停止してから15年以上となった。東京電力柏崎刈羽原発(新潟)が1月、再稼働したことで〝次の候補〟として注目を集めるが、地元の手続きや安全対策工事は停滞しており、再稼働への道筋は見えない。

 再稼働には、重大事故に備え、実効性を伴う避難計画の策定が必要となる。国の指針で、原発から30キロ圏内を抱える14市町村が策定するが、うち水戸市やひたちなか市、城里町など5市町で未策定となっている。

 30キロ圏内には、国内の原発で最多となる約92万人が居住。5市町はこれまで近隣5県と広域避難の調整をしてきたが、新型コロナウイルスの影響で茨城県が避難所で確保すべき1人当たりの面積を「2平方メートル以上」から「3平方メートル以上」に改め、再調整が求められる事態に。県とも連携するものの、計約7万2千人の避難先が決まっていない。関係者は「まだ数年必要」と長期化を示唆する。

 避難計画が策定されても、県と東海村に加え、水戸など周辺5市の計7自治体の同意が必要だ。東電福島第1原発事故を受け、2012年に東海村の呼びかけで6市村による「原子力所在地域首長懇談会」が発足。18年には、どこか1自治体でも反対すれば再稼働できないとのルールを含む安全協定を、原電と構成自治体が締結した。

 東海村の山田修村長は昨年6月、個人のスタンスとして再稼働容認方針を表明。ただ議会の決議は得ておらず、同意対象の5市長も「避難計画策定が最優先事項」などとして再稼働への姿勢を明らかにしていない。大井川和彦知事も7月3日の定例会見で「避難計画策定を大前提とした上で、さまざまな意見を踏まえて判断する」と従来の見解を強調した。

 地元手続きとは別に、再稼働に必要な安全対策工事も遅れている。防潮堤の基礎部分の内側を補強する計画だったが、国の原子力規制委員会から安全性が担保できるのかなどと指摘を受け、計画を変更したことで完了のめどは立たないままだ。

 水戸と日立両市では、来春の統一地方選に合わせて市長選が実施される見込みだが、ある県関係者は「工事や避難計画の道筋が見えない以上、争点になることは考えにくい」とし、議論は高まらないとの見方を示した。 (配信・共同)