私は、被害者が加害者を恐れ、安心して声を上げられない社会が、犯罪を繰り返させ、次の被害者を生む大きな要因になっていると思っています。
自らに対する被害にとどまらず、社会にも影響が及ぶのであれば、立ち向かうという選択には大きな社会的意義があります。
でも、それぞれに人生があり、さまざまな事情があります。社会が、声を上げた人に対する障壁を十分に取り除けていない現状では、被害者に闘うことを強いることはできません。
だからこそ、今は闘えなくても、いつか「闘おう」と決意した時に、安心して声を上げられる社会であってほしいと願っています。
そのためにも、告訴期間の延長をはじめ、被害者が十分に心を癒やし、必要な準備を整えた上で法的手段を選択できる制度へ見直していくべきだと考えています。
名誉毀損は、時に人を死に追いやるほど深刻な言葉の暴力です。しかし、名誉毀損罪は親告罪であり、告訴できる期間は「犯人を知った日から6か月」と定められています。
そのため私は、加害者側による被害者やご遺族への執拗な攻撃には、この期間が過ぎることで刑事告訴を断念させる、取り下げさせる効果を狙っている面もあるのではないかと考えています。
しかし、この6か月という期間はあまりにも短すぎます。被害者本人やご遺族は、加害者が残した数多くの誹謗中傷の証拠と向き合い、証拠整理や動画の文字起こしを行い、弁護士への相談・依頼、告訴状の作成・提出など、多くの準備を進めなければなりません。精神的負担が極めて大きい時期に、これらを短期間で行うことは容易ではありません。
さらに、相手が匿名アカウントであれば発信者情報開示請求が必要になる場合もあり、その分さらに時間を要します。警察も、被害申告だけで刑事告訴を受理することは少なく、十分な証拠を整えたり、場合によっては民事訴訟の結果を持参したりすることが求められるなど、被害者側の負担は非常に重いのが現状です。
もちろん、捜査機関の人的・時間的リソースに限りがあることは理解しています。それでも、このような状況のまま加害者を野放しにしている現状は改善されるべきだと思います。
故・岩井清隆さんは、ご自身で丁寧に証拠を整理し、加害者の氏名や住所まで特定した資料を持参して警察へ相談していました。しかし、それでも遺書には、捜査機関から「木で鼻を括ったような対応をされた」と記されています。
被害者がここまで準備を重ねても十分な対応を受けられず、告訴期間だけが6か月という短期間で過ぎてしまう現行制度は見直されるべきです。
被害者が安心して声を上げられ、法的手段を選択できる社会を実現するためにも、告訴期間の延長をはじめとする制度改革を早期に進めるべきだと考えます。
*一部ポストを再掲しました