佐藤二朗のX
──本来なら、番組側が2人の間に入らなければいけなかった。
「それは必要だったと思います。私も過去に、連続ドラマで男性に無理やり言い寄る上司役を演じることがあったんですよ。役とはいえ、傍若無人に演じるのが本当に辛くて、凄くナイーブになってしまい、ノイローゼになってしまいました。
でも、その時は演出の方が相談にのってくれて、3回くらい喫茶店で親身になって話を聞いてくれたんです。それで、なんとかやり切ることができた。
このドラマとはまた別に、主婦買春がテーマのドラマの話もありました。その時は泣いてプロデューサーに『嫌です』と言ったら、作家の方に『プロとしてありえない』と言われ役を降ろされました(笑)。面白おかしく書かないでくださいよ。
だから『これを断ったらプロじゃない』と言われたら、私もプロじゃなかったのかもしれない。泣いたこともありましたよ」
──時代も変わりつつある。
「今まで(業界に)女性側に立つ人がいなかった。泣き寝入りしてきた若い女優さんもいたと思います。これまで問題が公になることが少なすぎたと思います。佐藤二朗のことは好きだし、バッシングをするつもりもないですけど、橋本愛ちゃんがバッシングされるのは耐えられないです。
女性はどうしても受け身にならざるを得ないし、男性はドライに考えているかもしれませんが、女性の立場で弁護してくれる人が少ない。女性も現場で何か疑問があるなら、それを言っていい時代になったと思います。何かトラウマがあるなら役者をやってはいけない、それは絶対に違うと思います。もちろん、佐藤二朗も単にそういう意味で言った訳じゃないでしょうけどね。
でも、2人には、自分を追い込まないでほしい。こういうことがあっても、佐藤二朗はNHK出演の変更はなかったし、映画もやっていくと思います。自分は女性だから、橋本愛ちゃんのことが心配です」
記者にそう真摯に語ってくれた渡辺。当事者の2人、そして業界の人々は、大女優の思いをどのように聞くだろうか。
(了。前編から読む)