バットを置くルーティン後に勝ち越し打 名城大付・大橋蓮選手
(8日、第108回全国高校野球選手権愛知大会2回戦 名城大付2―7名古屋) 曇り空の隙間から差した日が、グラウンドをやわらかく照らした。味方が同点適時打を放った直後の四回1死満塁。名城大付の大橋蓮選手(3年)は、バッターボックスに入ると白い手袋をはめた左手で、金色のバットを縦、横に置いた。「良い緊張だ」 【写真】名城大付―名古屋 名城大付・大橋蓮選手の打席でのルーティン=2026年7月8日、小牧市民、堀内未希撮影 足の向きは、バッターボックスのラインと垂直。いつもと同じスタンス位置を再現するために行うルーティンで冷静になれた。8球目、外角高めの直球をたたいた。打球は大きく弧を描き、右翼への犠飛に。三塁走者が生還し、勝ち越しの1点が入った。スタンドとベンチが沸いた。 直後の裏の守備。捕手の大橋選手が投手へ送球した隙に、三塁走者が本塁へ突入した。頭から滑り込み、セーフ。1点をもぎとられ、同点にされた。「一瞬の隙に、流れをもっていかれた」。七、八回には連打を浴びて、涙をのんだ。 けがの多い3年間だった。腰のけがには3度苦しんだ。2年生からベンチ入りした経験から、主将を任された。「いつも落ち着いていて、信頼できる」と渡辺修一監督。 大橋選手の心に常にあるのは「名城の野球」だ。安打を打つことだけがすべてじゃない。自分の欲を出さず、目の前の1点を取りに行く野球だという。この日の犠飛もまさにそうだった。 「自分の役割は果たせたかな」。笑顔の目は、赤らんでいた。(堀内未希)
朝日新聞社