高市早苗総理をめぐり、取材対応の少なさがメディアや国会で議論になっている。記者会見や、移動中など会見場以外で行う「囲み会見」「ぶら下がり会見」が歴代総理と比べて少ないと指摘されている。
また、とある会見では、公務を理由に「質問は代表1社」に限定する意向を示したことも。国会では「なぜマスコミとの対話を避けるのか」と、野党議員から質問が飛んだ。SNSでは活発に発信するなか、高市氏の対応をどう見るか。『ABEMA Prime』では、自民党の広報担当も交えて議論した。
■ぶら下がり取材、対応数は歴代総理よりも減
歴代総理による「ぶら下がり取材」の対応はどうか。就任から5カ月間の対応回数(共同通信)を見ると、高市氏は34回、石破茂氏57回、岸田文雄氏90回、菅義偉氏50回となっていた。
歴代総理の「ぶら下がり」への姿勢はどうか。朝日新聞によると、小泉純一郎氏が「1日2回」のぶら下がり取材を開始。菅直人氏は東日本大震災への対応を理由に中止した。その後、野田佳彦氏が「落ち着いてしっかり話を聞いていただき、説明できることが望ましい」(2011年10月17日)と発言し、以降は要請によって随時行われるようになった。
自民党の広報本部長代理である、滝波宏文参院議員は「小泉純一郎元総理が、ぶら下がりを多用して、“ワンフレーズポリティクス”の時代に変わった。SNSがはやり始めているなか、高市総理は『女性初』だけでなく、新しいメディア対応を作っているのではと期待している」と語る。
高市総理の特徴として「永田町の世界では、夜は政財界の支援者と飲むのが普通だが、あまり飲まないと言われている。代わりに勉強時間に費やして、外交の場に全力投球する。『日本が国難にある中で、アメリカなどとの関係性で成果を出しているなら、それでいい』と感じる人がいるなら、別に飲まなくてもいい。オールドメディアないし“クラシックメディア”のやり方ではなく、SNSでの対話が基準になっても、その形が当たるなら良いのではないか」という。
元NHK政治部記者で政治ジャーナリストの岩田明子氏は「森内閣の“総理番”だったが、当時は『1日2回』の制限もなく、総理が公邸に入るまで話し続ける時代。やぼな質問をすると、総理にも他社の記者にも怒られた。小泉内閣で飯島勲秘書官が“カメラあり”と“カメラなし”を設定し、取材機会は減ったが、テレビ的には喜ばれ、人気が上がった」と振り返る。
そのうえで「高市氏は会見回数が少ない。官邸幹部にも『X発信もやるとして、ベースになる会見も増やした方が双方にとっていい』と考えている人は割と多いが、あまり言えない状態だ」とした。
たかまつなな氏は、「回数が少なくても、真摯(しんし)に向き合っていればいいが、高市氏がそう見られているか。国会の場で答えていれば、批判を受けないかもしれないが、週刊誌報道などに真摯に答えている印象がない。SNSでも疑惑をキッチリと説明すれば、そこまで批判は起きないだろうが、逃げている印象を持たざるを得ない。ただ、メディアももう少し強気に出て欲しい」と考える。
ライターのヨッピー氏は、「そもそもマスメディアが国民と対話していないのに、国民の代表づらするのは嫌だ。“知る権利”が守られていれば、マスメディア経由でもSNSでも、国民としてはどちらでもいい。『情報発信が足りない』『国民の疑問に答えていない』なら分かるが、『ぶら下がりに答えてくれない』と怒るのは違う」と語る。
コラムニストの小原ブラス氏は「ある程度、政治にエンタメ性がないと退屈。囲んで質問する様子が好きだが、最近は記者からおもしろい質問が飛んでいない。エンタメ性を出そうとすると、『一部が切り取られて、違う内容がメディアに流される』と腹が立つのだろうが、高市氏のようにSNSが得意な人ほど、言い返してほしい」と話す。
■高市総理、SNS発信は石破前総理の2倍
総理就任から約7カ月のX投稿回数を比較すると、高市氏は約480回(1日平均約2.3投稿)、石破氏は約260回(約1.2投稿)だった。
加えて、総理動向を発信するアカウントが本格運用を開始した。内閣広報官の公式Xは、5月にアカウント開設し、フォロワー数は12.8万人。総理の動向を写真や動画で独自発信し、日韓首脳会談後には両首脳のメガネ交換写真が閲覧数1100万超となった。一方で、リプライ欄は閉鎖され、意見は官邸HPへ案内されることから、「一方通行」との指摘も出ている。
滝波氏は「日本は国会での質問時間が長い。会社なら年1回の株主総会のみだが、国民の代表である国会の場では200日以上も、質問に対して答えている。トランプ大統領がアメリカの上下院で質疑する日数とはまったく異なる」と説明する。
また、党内の雰囲気は「24時間365日のリソースをどう投入するかは、総理のキャラクター次第。高市氏が今までとは違う時間の使い方をしていることに、『あれ?』と思う人がいたとしても、支持を得て仕事ができていることは認めている」と明かす。
では今後、マスメディアとの対話は、今後どうするべきなのか。岩田氏は「過去の印象操作を反省すべき所は反省し、記者の質を上げる。働き方改革や、予算面で移動手段がない中ではあるが、取材を深くする。Xで一方的に発信するだけでなく、国民が『そうだったのか』と思える検証などを行えるよう、実力を付けることが大事だ」との考えを示した。 (『ABEMA Prime』より)