VRChatで初心者狩りに手コキされた
僕は病的な人見知りだ。コミュ障だとか対人恐怖症だとか言われる事さえある。初対面の人間と話すと声が震えてきやがるし、何を言えばいいか分からない。天気の話でもしろってか?「最近は雲ばっかしで星が見えなくて困るね~。蠍座とか見るのが好きなんだよ、ヒルっぽい形だから~」って?誰がそんな話に興味あんだよ。どうせロマンチックな不審者だと思われるのが関の山だろ。
そして僕はまともに話せないことにコンプレックスがある。考えてみなよ、人見知りなんて幼稚園生の坊やなんかに使う言葉だぜ?二十幾つかの成人男性に使うようなワードじゃない。それが恥ずかしくてたまんない、顔が赤くなり過ぎてアンタレスになりそうだ。普通の成人男性は一体どんなまともな会話をしてるんだよ、はやく教えてくれ。
そんな話を知り合いにしたら、「パブリックで他の人と話してトレーニングしよう」と提案された。話さなけりゃ話せるようにならない、筋は通っているように見える。それが本当なら、話せない人間は永遠に話せないままなのだろうと思ったが、コンプレックスをどうにかしたかった僕は提案に乗ることにした。
提案者と集まってパブリックに行く。声をかけようとしても、まるで辺りが真空になったみたいに、空気を声帯に送れない。話しかけられても、声が震えないように返答するので精一杯で内容が入ってこないし、そうなれば当然話は続かない。自分が不審人物だと自覚して帰ってくる。そういう事を週一で繰り返すようになった。
事が起こったのはチュートリアルワールドだった。
その日も他の日と同じようにうまく行っていないかった。こちらに話しかけてくれた人とも話せずに逃げ出し、同行者が露骨に電波な女性に絡まれているのを見て怖気づき、自分のことを面白いと思っていそうな視界ジャックの荒らしにも遭遇した。同行者は「元気なさそうだけど大丈夫?嫌になったならもうやめようか?」と聞いてきたが断った。だってマジでイルな気分なんだぜ?こんなとんでもねぇ事は現実じゃ味わえないね。メタバース超サイコー。
そんなこんなで疲れて壁にもたれかかって居たら、ゴキゲンなこまどアバターの無言勢が寄ってきた。同行者が挨拶して、僕もそれからワンテンポ遅れて「こんにちは」と挨拶する。なかなか素敵な改変で趣味が良いと思っていたら、その子が僕を撫でて来た。ほう、これが無で文化と言うヤツか。キモい文化だとか言ってるのも居たが、それほどのことかね?V感とやらがしっかりあるわけじゃないが、バツグンな眺めでなかなか悪くないじゃないか。そう思ったので、よく嘘くさいと言われるのだがお礼を言った。「素晴らしい体験をさせていただきました、ありがとうございます」
しばらく撫でられた後に、その子が急に動き出したからついて行くとインバイトの0/2のポータルがあった。これが噂のプラベか、状況から見るにきっと僕が誘われているのだろう。ここまで良くしてくれた人を裏切ることは出来ないな。急に居なくなって同行者には悪い気もするけど僕が一対一でちゃんと話せたって報告したらきっと喜んでくれるだろうし、後で説明すればいいか、ついて行っちゃお~。
ポータルの先はベッドと窓と観葉植物だけがあるシンプルな個室だった。僕は花が好きだったので観葉植物を見て、スイフヨウとかペチュニアの季節だな~と思っていたら、その子に手招きされた。どうやらベッドのコライダーをオンにしてほしいらしい。その時は完全に緑色のペチュニアの事を考えていて、この状況が何を意味するのか見当もつかなかった。言われるがままにコライダーをオンにする。そしてまた手招きされた。向かい合う位置に行っても手招きされる。体が覆いかぶさっても手招きされる。嫌な予感がした。これ以上近づいたらキスになるんじゃないか。いかにも童貞みたいな事を考えるが、結局は顔に顔を近づけた。
しばらくそのままにしていたら、立つようにペンで指示された。一体さっきからこの人は何がしたいんだ?僕をラジコンみたいに動かしてそれで一体何の得があるんだろう。まあ何か厚意で何かをしてくれているのかも知れないし、無下にするのも悪いな~。姿勢を変えながらそういう事を考える。
その子は僕のアバターの脚の付け根の前辺りで、輪っかを作った手を前後に動かしていた。ああ、畜生。こういう意図かよ。僕は手コキされていることと、自分が完全なマヌケだということの両方に気がついた。"ただし棲み分けはおこなうこと"ってわけね。散々聞いたよな、初心者狩りみたいな奴がプラベに連れ込んで淫らなことをするって話。どうして今まで忘れてたんだろう。いくらみてくれが良いからってなんで僕が人間の女にメタバースで手コキなんかされなきゃいけないんだよ。せっかくのVRChatなんだから動物っ子じゃないと意味ないってのに。
僕がずっと黙ってたからか、そいつはヘッタクソな字で空中に書く
「なにもかんじない?」
クソが。感じるのは驚きと怒りと哀れみだ。でもこいつだって恐らく善意でやってる部分が0%ってことはないだろうし、否定したら哀れ過ぎる。一応合わせてやるか。
「ああ、V感がちゃんとあるわけじゃないんですよ~」
「てでしてみて」
は?こいつは"て"を一言の中で何回書けるか挑戦してやがるのか?だいたい僕は一度たりとも手でオナニーしたことなんて無いんだよ。しかも今朝抜いてきてるしよ。今更そういう気分でもねぇよ。
「申し訳ないんですが、僕は手でオナニーをする習慣がないんですよ。貴方は手でオナニーする事が多いんですか?」
「ふつうはてなんじゃない?」
普通だと?先進技術を頭に乗っけてオナサポする状況は普通なのかよ畜生。是が非でもVRChatでエロいことしたいのかよ?こいつ質問には答えねぇしよ。
「ふだんどうやってしてるの?」
「床オナと言われているやつですね、でも本当に床ですると痛いのでマットレスであったり、ぬいぐるみに擦り付けたりしますね」
なんで僕だけがこんなに色々開示してるんだよ。不公平だろ。んで若干引くなよ、お前が聞いたんだろ。僕だってちょっと変わってることぐらい知ってる。もこもこのひつじちゃんとかふわふわのうさぎちゃんが好きなんだからしょうがないだろクソが。
「じゃあわたしにおおいかぶさってゆかでして」
何言ってやがる?誰もが布団の上でVRChatやってるわけじゃないんだぜ?ガチの床の上で床オナなんてしようもんならイチモツ引きちぎれちまうよ。こいつはシリアルキラーなのかよ。
「申し上げにくいんですが、今は周りにマットレスもぬいぐるみも無くて。フローリングの上ですると痛いので無理ですね」
親指を立ててこっちに拳を突き出すな。なにがサムズアップだよ。ただでさえ床オナは射精不全につながるなんて言われてるのに、板材にポコチンなんか擦り付けたらEDになっちまう。出来るわけ無いだろ反出生主義者が。おっ、またペンを取ったぞ、次はケツの穴からどんなクソが出てくるんだ?
「いどうしていいよ」
ついに諦めたかよ、てか"何もしないなら帰れ"かよ?結局エロいことしたいだけじゃねぇか。僕はこんな誰かも知らない奴に手コキされたって嬉しくないってのに。
「おおきにどーてー」
童貞?悪態をつきたいのは僕だろ、ふざけんな。まあ良いや、これでおさらばできるんだし、最後まで怒らずに居た僕は偉い。
「そういうことなら、移動しますね。ではまた」
移動のロード中にさっきの出来事を反芻する。お前には同情するぜ。ただチュートリアルワールドのうぶな坊やを食ってお姉さん面しながらオマンコきもちくなりたかっただけだよな?可哀想に。ただな、僕は別にお前にチンポコをしごいてもらっても嬉しいことなんて一つも無いんだよ。お前がムルルとかの動物っ子なら話は別だがな……ってあれ?よく考えればムルルってパブリックアバターだし、ムルルになってもらえばよかったんじゃないか?
あのプラベに居たのがもしもムルルだったら、どんなに素晴らしかったことだろうか。小動物の早い鼓動、ふわふわの尻尾、あばら骨を覆う薄い毛皮。僕の陰茎をカレスするものがあの短い手足なら……。
僕が一言「ムルルにしてくれませんか?」と聞けばあり得たかも知れない。僕は本当にマヌケだ。どうしてこんな事も思いつかなかったんだろう。そうすればあの子も満足したし、僕も動物っ子とえっちなことが出来たかも知れない。どうしてこんな簡単な正解を思いつけなかったんだろう。逃した魚はどれほど大きいんだ。もうこんな事は二度と無いかも知れないけど、もしプラベに連れて行かれたら合言葉は「ムルルにしてくれませんか?」だ。学習した。次は失敗しない。
っていうつまらない話だ。大した教訓はない。それでも面白い記事にするために一手間加えて、読者を想定して結論を書くならこうだ。
初心者狩りは実在する。僕はそれに遭遇した。もし0/2と表示されたポータルが開かれた場合、何かしらの事は覚悟しておいたほうが良い。それでも行く場合は希望する容姿を伝えた方が良い、なぜなら予後が悪すぎるからだ。僕はプラムのマンコがガバガバを超えて洞窟になっていて、中で遭難して壁の肉をナイフで削って食べて飢えを凌ぐ夢を見ることになった。流石にこんな経験をするのは僕だけで十分だ。


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