物流危機で業界に迫られるトラック運転手の時短 「ボックス便」で荷役の効率化に期待

大型トラックで埋め尽くされた東名高速上りの中井パーキングエリア=神奈川県中井町(相川直輝撮影)

物流業界がトラック運転手の作業時間短縮を迫られている。今年4月、人手不足の改善に向けた労働環境の整備に向け、運転手の長時間労働を抑制する計画の作成が事業者に義務づけられたからだ。こうした状況の中、「物流の効率化」を後押しする、ボックス単位による輸配送手法(ボックスチャーター便)が注目されている。

効率化計画の策定が義務付け

2024年4月、トラック運転手の時間外労働を年間960時間に制限する残業規制が導入された。荷物を運びきれなくなる物流危機「2024年問題」が懸念された。事業者の努力もあって物流機能は維持されたものの、運転手の労働環境の整備は依然として課題となっている。

このため政府は26年4月、一定規模以上の荷主、運送業者、倉庫業者に対し「物流効率化計画」の策定と実施状況報告を義務づけた。配送拠点で順番を待つ「荷待ち」や、荷物を積み降ろす「荷役(にやく)」の時間を短縮し、トラック運転手の負担軽減につなげることを目指す。

計画策定を求められるのは、荷主では扱う荷物の年間総重量が9万トン以上、倉庫業者では保管量70万トン以上、運送業者では保有するトラック150台以上が対象だ。荷主だけで約3千社と推計されている。

トラック物流に黄信号

物流業界がトラック運転手の労働環境整備を迫られる背景には、人手不足による物流停滞への懸念がある。

政府のまとめでは、トラック運転手の就業者数は1995年の98万人をピークに減少しており、2020年には2割減の77万9千人まで落ち込んだ。人手不足は今後さらに進み、30年度には物流業界全体で21万人超が不足する見込みだ。同年度には輸送能力が34.1%(9.4億トン)足りなくなるという試算もある(全日本トラック協会調べ)。

一方で、宅配便の取扱個数は10年連続で過去最多を更新し、24年度に50億個を超えた(国土交通省調べ)。ネット通販の拡大が主な要因で、需要は伸び続けるとみられている。

一定単位にまとめて輸送

「JITBOXチャーター便」(ボックスチャーター提供)

物流効率化計画では、トラック運転手の荷待ち、荷役時間の短縮が求められる。効果的な取り組みとして期待されるのが荷物をパレットやボックスなど一定の単位にまとめて輸送する手法だ。

ヤマトグループや西濃運輸、NXグループなど国内物流企業14グループ47社が加盟する日本最大級の共同輸配送基盤「JITBOXチャーター便」は、高さ200センチ、幅、奥行き110センチのキャスター付き鉄製ボックス(最大積載重量500キロ)に荷物を詰めて輸送している。

ボックスのまま運べるため、複数ある中継地ごとに1.5時間ほどかかる手作業の「バラ積み・バラ降ろし」の工程が排除でき、荷役作業を時短できる。

運営を担うボックスチャーター(東京都千代田区)は将来的な物流課題を見越して2002年に設立され、06年にこの手法を導入した。物流危機の懸念が高まるとともに製造業、倉庫業などで導入が広がり、「25年の年間販売本数(ボックス1つで1本)は111.6万本と過去5年で1.2倍に増加した」(同社)という。

荷役時間の削減に加え「ボックス輸送にすることで荷物同士の干渉を物理的に排除でき、混載や積付(つみつけ、配置)不良も避けられ、過剰な梱包作業が不要となる」(利用メーカー)といったメリットも指摘されている。(千葉真)

長距離トラックの中継拠点整備を国が支援

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