強すぎる「こだわり」
大貴さんだけでなく、周囲を辟易させたのが、Aさんの“こだわり”だった。
「たとえば田辺さんを田中さんと読み間違えるみたいなミスって、誰にでもありますよね。相手がそういうミスをした時、Aさんは『田辺さんです!』と話の腰を折ってまで指摘してしまう。自分のミスは認めないけれど、他人には厳しいんですよね」
そんなAさんの口癖は「change the world」だった。
「Aさんは、発達障害者の自分こそが世界を変えると思っていて、会社に対して『昼寝の時間を認めてほしい、シリコンバレーでは当たり前のことだ』など、たくさんのことを要求していました。実際、シリコンバレーでは、会社に仮眠室やジムがあるところも珍しくないそうです。
でも、そういう配慮が認められるのは、会社に貢献する人材を確保するため、もしくは優秀な人材のパフォーマンスをさらに上げるためではないでしょうか。会社で仕事をする以上、誰しも一定の成果を出さなければならないと思います。
少なくとも私にはAさんが成果をあげているようには見えないどころか、自分の失敗を失敗とも思ってないようでした。最終的なチェックはもちろん私がしますが、私はまずAさんに自分の仕事を覚えてほしかった。しかし、Aさんはそちらにはあまり興味を持たず、change the worldの名の下に会社に“合理的配慮”を求めるのには熱心でした」