「何がやりたいのか分からない」竹中平蔵氏が語る高市内閣の評価 「給付付き税額控除はその場しのぎ」いま不可欠なのは“社会保障制度の改革議論”と指摘
税額控除の導入は、国民民主党が主張した所得控除の引き上げとは別次元の制度改革の議論です。効果的な再配分の方法として、諸外国では所得控除から税額控除へとシフトする潮流がある。 ところが、件の国民会議は本質的な改革についての議論を避け、さらにその先の社会保障改革は全くの手付かずのままでここに至っている。 しかし、年間4兆円を超える減税や給付の財源はもちろんのこと、防衛費増額や成長投資でもさらにお金が必要になるのは間違いないのです。 だとすれば、一般会計の3分の1を占める社会保障費にメスを入れ、富裕層への年金支給の見直しや支給開始年齢の70歳への引き上げといった制度改革の議論は不可欠なはずです。 岸田政権や石破政権も、減税や給付といったその場しのぎに終始していましたが、現下の高市政権ではもう悠長なことは言っていられません。 というのも、円安には歯止めがかからなくなり、原油高騰も長引きそうです。交易条件の悪化に鑑みれば、残念ながら国民は生活水準の転換を甘受しなければならない状況にある。ところが政府は、ガソリン価格を170円以下に抑える補助金も、止めることなく支出を続けています。 1973年の第一次石油危機の時、危機感を共有した日本人はビルの廊下の電気を消したりエレベーターを止めたり、協力し合って節約に努め、そこから技術革新もあって世界一の省エネ大国になったではないですか。 同じような状況になりつつある今、補助を続けているのは世界で日本と韓国だけ。しかも韓国は節約も同時に呼びかけているから、悲しいかな、日本のみが「安心してガソリンを使って」という逆メッセージを送っています。政府が本気で経済を強くしたいなら、節約や制度改革を訴えるべきでしょう。 * * * 関連記事では歴代政権の中枢を知る竹中平蔵氏が高市政権の「敵なき一強」の弱点と求心力を高めるためにいま何をなすべきかを論じている。 ▼▼▼関連記事▼▼▼ 【詳しくは…】竹中平蔵氏・緊急インタビュー“高市一強の弱点” 「何がやりたいのか分からない」「深まらない政策議論」「支持率頼みで層が薄いチーム」 【プロフィール】 竹中平蔵(たけなか・へいぞう)/1951年、和歌山県生まれ。一橋大学卒業後、73年に日本開発銀行入行。1981年に退職後ハーバード大学客員准教授などを経て2001年、小泉内閣の経済財政政策担当大臣に就任。その後、金融担当大臣、郵政民営化担当大臣などを歴任し、2006年に政界を引退。現在は慶應義塾大学で名誉教授を務める。 広野真嗣(ひろの・しんじ)/ノンフィクション作家。2017年に『消された信仰』(小学館)で第24回小学館ノンフィクション大賞受賞。近著に『奔流 コロナ「専門家」はなぜ消されたのか』(講談社)。 ※週刊ポスト2026年7月17日号