理論的に練習に取り組み、リーグ通算13本塁打を記録
大きな期待を背負って名門・早稲田大学に入学した蛭間選手でしたが、1年生のシーズンでは1本の本塁打も放つことができませんでした。
打撃技術だけでなく、フィジカル面にも課題があると分析した蛭間選手は、ここから筋力トレーニングや体幹トレーニングに猛烈に励みます。肉体的に一回りも二回りもレベルアップを遂げた蛭間選手は、2年春から3シーズン連続で3本塁打を記録し、一躍、大学球界を代表するスラッガーへと成長を遂げました。3年秋には大学日本代表候補にも選出され、合宿でも安打を連発します。当時の打撃を見ると、フィジカルの強さや打球のスピードは明らかに周囲の選手たちの中でも抜けており、『即戦力の野手になれる』という予感を抱くほどでした。
3年目の冬に取材を行いました。蛭間選手は技術的な課題に対して非常に具体的に、かつ論理的に取り組む選手でした。蛭間選手自身、決して何でも器用にこなせる天才タイプではないからこそ、より一つひとつの練習に対して人一倍丁寧に向き合っている姿が印象的でした。そして、ラストシーズンに向けての決意も語ってくれました。
「ラストシーズンでは個人としては三冠王を目標に掲げているので、それを達成できるようにチームを引っ張っていきたいです」
三冠王という高い目標を掲げて臨んだラストシーズンでしたが、4年春は打率.279、2本塁打、4打点、4年秋は打率.222、1本塁打、4打点と、本来の実力からすれば大きく成績を伸ばすことができずに大学でのシーズンを終える形となりました。
それでも埼玉西武ライオンズは、蛭間選手が秘めているポテンシャルの高さとスケール感を最大限に評価し、ドラフト会議の前に異例となる「1位指名」を公表したのです。
どん底でも努力を重ね、今季は二軍で快打を重ね、一軍で猛打賞
こうして大きな期待を背負って西武に入団した蛭間選手でしたが、プロの壁は厚く、1年目は56試合で2本塁打、2年目は63試合で1本塁打にとどまりました。そして昨年(2025年)は、初めて一軍で無安打に終わるという、本人にとっても屈辱の1年を味わうこととなったのです。
まさにプロとしての正念場を迎えた今シーズン、蛭間選手は二軍で52試合に出場し、打率.304、3本塁打、20打点、OPS.783という、ファームでは完全に頭一つ抜けた別格の打撃成績を残し続けました。そして7月2日、負傷離脱した長谷川信哉外野手(敦賀気比)に代わって待望の一軍昇格を果たすと、翌3日のオリックス戦の8回表、見事に同点となる適時二塁打を放ってみせたのです。
この値千金の一打には、一軍復帰を待ち望んでいた多くの西武ファンが歓喜に沸きました。
蛭間選手は、どんなに苦しい状況に立たされても決して腐ることなく、地道に努力を積み重ねて二軍で圧倒的な結果を出してきました。高校時代からトレーナーの助言をはじめ、多くの人の理論を素直に吸収できる能力を持った選手です。その真摯な姿勢が、今まさに一軍の舞台で結実していると言えます。
レギュラーシーズンは半分を消化しましたが、ここから巻き返し、取り返せる時間はまだまだ十分に残されています。どん底から這い上がった蛭間選手が、ここからさらに調子を上げ、2023年、24年の成績を大きく上回るキャリアハイの数字を残してくれることを心から期待しています。
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