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<社会人野球>ヤマハ、都市対抗予選敗退の失意から再出発 大本主将「成長に必要な負けだったと言えるように」

アットエス

8年ぶりに社会人野球・都市対抗本大会出場を逃したヤマハ(浜松市)が6月30日、全体練習を再開した。昨秋、日本選手権を制した歓喜から一転、失意のどん底に突き落とされたチームが再び、全国の頂点を目指して一歩を踏み出した。

日本一から一転

「この戦力がそろっていながら(東京)ドームに行けない年が来るなんて思っていなかった」
エース佐藤廉投手は予選敗退から2週間を過ぎても気持ちの整理が付かなかった。
「去年、日本一になっているチーム。予選で負けたからって、今までのことが全部駄目なのかと言われたらそうじゃないと思うけれど、いろいろ考えてしまって」

重ねた話し合い

東海地区2次予選第6代表トーナメント2回戦で敗れ、予選敗退が決まったのが6月13日。チームは敗退後の1週間を休養に充て、6月22日から自主練習をスタートした。その間、徹底的に敗因と向き合い、話し合いを重ねたという。

「原因は一つじゃない」

大本拓海主将(掛川西高出)は「負けた原因は一つじゃない。何があったのか、しっかり時間を掛けて、お互いが納得するまで意見を出し合った。なかなか受け入れられる結果ではなかったけれど、立ち止まって、チームの現状を見つめ直して、もう一度、同じ方向を向いてスタートしようというところまで来た」と話す。

勝ちながら変わる

昨秋、日本選手権を9年ぶりに制覇した。
育成と強化がかみ合い、ルーキーの躍動もあって、チームは上昇の軌道に乗ったかに見えた。ところが、順調過ぎたことが裏目に出た。
申原直樹監督は「勝ち続けるためにはチーム力は毎年上がっていかないといけないけれど、メンバーは去年とほぼ変わっていない。うまくいっている時に変えるのは難しいが、勝ちながら、いい方向に変えていくことが必要だった」と悔やんだ。

「理想を求め過ぎた」

今季のチームは春先からどこか、かみ合っていなかった。
申原監督就任2年目までのJABA大会は6大会全てで決勝トーナメントに進出。優勝3回、準優勝2回と圧巻の成績を残した。
3年目の今季は静岡大会で4強入りしたものの、長野、東北大会はいずれもリーグ戦敗退。過去をさかのぼると、今季の成績が突出して悪いわけではない。ただ、その前の2年間が良すぎたために「いつもと違う、という雰囲気はあった」と申原監督。「去年のチームと比べてしまい、去年の理想を追い求めすぎてしまった」と自省する。「佐藤(廉投手)依存」から抜け出せず、中軸打者に「やってくれるだろう」と頼りすぎた。「これだ、という感触が持てないまま、予選に入ってしまった」

負の連鎖断ち切れず

東邦ガスとの初戦に2―3で競り負け、第3代表決定戦に回ったものの、ホンダ鈴鹿との2回戦を制して、大きな山を越えたかに見えた。ところが3回戦で東海理化に逆転負けを喫すると、勝負どころで粘りきれなくなった。

「やることなすこと裏目に」

「シンプルに去年は打っていた。いいところで長打が出て、スイングで圧を掛けて四球も取れた。個々が役割を自覚しながら打線として機能し、ピッチャーと野手がお互いに助け合ってきた」と大本主将。好循環ができていた。
今季の予選は、状態が上がらない野手が多い中、申原監督は打順の組み替えなどで対処したが「入れ替えたら変えたところにチャンスが来る。やることなすこと裏目に出てしまった」と負の連鎖を断ち切れなかった。

打撃不振、投手に重圧

打撃不調を受けて、投手の心理的負担は重くなった。

佐藤廉投手は「そもそも自分は完璧に抑えるタイプじゃない。ピンチをつくっても粘り強く投げられるのが長所。ただ、点差がある中での完投なら気持ちの余裕が持てるけれど、競った試合での完投は難しい。それを毎回やれと言われたら厳しいものがある」と、過酷なマウンドで疲労も蓄積していった。昨季は先発2番手でエースを支えた2年目右腕、梅田健太郎投手の不在も響いた。

どんな状況でも勝つ

昨季、公式戦で無傷の10勝を挙げ、最多勝利投手賞に輝いた佐藤廉投手。各チームが徹底して研究し、対策を講じてきた。
「相手打線には二通りのパターンがあって、一つは球種に関係なくストライクゾーンのボールを全部振りに来る、二つ目は見逃し三振OKで低めを徹底して振らない。一つ目のケースではタイミングがずれても芯あたりに当たったらヒットになるので、ランナーを背負う回が多くなった。(打線不調で)2、3点取られたら負けてしまう雰囲気があったので、1点に抑えないと、と(気持ちの)余裕はあまりなかった」

それでも言い訳にはしない。
「調子が悪いから予選落とした、で終わったらいけないと思っている。悪いなりに何かできたんじゃないかっていう思いが強くて、それが悔しいし情けない。どんな状況でも、かみ合ってなくても勝てるチームを、日本選手権予選までに作り上げていかないといけないと思う」

日本選手権連覇へ

主力選手の多くが、都市対抗本大会に出場する東海地区6チームに補強選手として加わることが予想され、8月初旬から約1カ月間、チームはまとまって活動することができない。都市対抗本大会終了から約2週間後には、連覇が懸かる日本選手権の東海地区最終予選が始まる。

大本主将は「(チーム全員で活動できる)7月が勝負。いい1カ月を過ごしていきたい。この(予選での)負けがチームの成長にとって必要な負けだったと言えるようにする」と、覚悟を口にした。
(編集局ニュースセンター・結城啓子)

【取材後記】
取材中、佐藤廉投手の表情が和らいだのが、予選で活躍した後輩左腕の話題でした。ヤマハには5人の左投手がいます。左腕同士とても仲がいいそうです。毎月、食事会を開いたり、そろいのTシャツをつくったり。「左ピッチャーって自分もそうですが変わってるんですよね。しかも同じタイプの〝変人〟がいないので面白いですよ。沢山(優介、掛川西高出)は、僕が教えたスライダーで手応えをつかんでるようですし、(佐藤)大善も良くなっているので頑張ってほしいですね」と話していました。

再スタートを切ったヤマハ投手陣。前に進む意欲と笑顔を取り戻しつつあるようです

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