ロシアの燃料危機、ほぼ全土に広がる ウクライナのドローン攻撃が激しさ増すなか
狭まるロシアの選択肢
ロシアにはこの危機に対処する手段がまだ残されている。しかし専門家らはCNNに対し、その選択肢は狭まりつつあると語る。
プーチン氏は、政府が取り組んでいる措置を列挙した。製油所の計画保守期間の短縮から、軽油輸出禁止の検討、輸入拡大などだ。ロイター通信は1日、情報筋2人の話として、ロシアがインドからガソリンの購入を始めたと報じた。国際的な制裁下でインドの精製業者がロシア産原油を世界市場に流すというこれまでの常套(じょうとう)手段を考えれば、これは皮肉な展開だ。
ロシアは供給を増やすため、品質の低いガソリンを流通させることも検討している可能性がある。ロシア経済紙コメルサントが先月29日に報じた。ただし、この措置は利用する側にリスクが伴う。「新車は質の悪いガソリンを好まない」とアナリストのコリアンドル氏は言う。「だからどこからどう見ても、代償を払うのは国民だ」
パニック買いの影響を考えると、メッセージも極めて重要だ。政府が供給を安定させ、国民を落ち着かせることができれば、不足は恐れていたほど深刻ではないと人々が認識し、購入量を減らす「正常化」が起きる可能性がある。ドイツ国際安全保障問題研究所のシニアアソシエート、ヤニス・クルーゲ氏はそう述べた。
ロシアのノバク副首相は先月、ロシア市場には軽油もガソリンも「十分に供給されている」と主張した。
しかしウクライナの攻撃が今のペースで続けば、その正常化は実現しない可能性がある。そして燃料不足によるインフレ進行と消費低迷という経済リスクは、これ以上ないほど悪いタイミングで訪れている。
イランと米イスラエルの戦争の最初の数カ月で急騰した原油価格は現在下落しつつあり、ロシアが輸出で得る利益の増加によって拡大する財政赤字を埋める機会は閉じつつある。ロシア経済はすでに停滞しており、その一方で国防支出は増え続けている。
ロシア中央銀行は先月の政策金利決定会合で、高止まりする金利の引き下げ幅をわずか0.25%にとどめた。インフレ圧力が再び高まっている一因には「自動車燃料生産の一時的な縮小」を挙げた。
それでもプーチン氏は、ウクライナのドンバス地方と「ノボロシア」の両方に対する最大限の主張を繰り返した。ノボロシアは、同氏がウクライナのザポリージャ州とヘルソン州を指して使う言葉だ。コリアンドル氏は、短期的に最もありうる結果は軍事的なエスカレーションだとみる。
「ウクライナ側からすれば、エスカレートすることには大いに意味がある。戦略が機能しているからだ。一方のロシア側も早くエスカレートすればするほど、早く問題を解決できるかもしれない。なぜなら資金は底をつきつつあり、国民の忍耐もおそらく尽きつつあるからだ」