認知症などで判断能力が十分でない人に代わって資産管理や契約の判断などをする「成年後見制度」。後見人の権限が大きく権利侵害のおそれがあるとして、今国会では制度を大幅に見直す改正民法が成立した。しかし、意思表示が難しい人の医療の決定を誰が担うのか、という「死角」は残されたままだ。
横浜市に住む宮川絵美子さん(56)の母、美匂子(みわこ)さん(享年87)は今年3月に亡くなるまで4年9カ月、行政の権限で家族から隔離され、施設や病院を転々としていた。
この間、母がいる施設や病院とやりとりしていたのは、行政の申し立てによって後見人についた弁護士だ。
後見人は、本人に代わって入院手続きや治療費の支払いなどはできる半面、手術や検査の同意、延命治療の選択といった「医療同意」の代理権は認められていない。
ところが、絵美子さんの情報開示請求により、母が入院していた横浜市内4カ所の病院から開示された約600枚に及ぶカルテや看護記録を調べると、その中に、後見人が母の名前を代筆したり、自らサインしたりした医療同意に関する書類が確認できただけで13枚、残っていた。
認知症などで本人の意思表示が難しく、後見人がついたケースで、手術や延命治療などの「医療同意」をどうするのか。病院などにルールが浸透せず、法律上「グレー」な運用が現場に広がっています。絵美子さんのインタビュー動画とともに、現行制度に潜む「死角」を記事後半で深掘りします。
カルテなどによると、母は2…
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