私はドンバスで、直径4メートル、深さ2メートルの爆裂痕を覗き込んだ。かつて高校の美術室があった場所だ。底に転がるドローン残骸には「メイド・イン・イタリー」の刻印があった。遠い内戦の残骸ではない。欧州の工場が、ロシアの民間人を殺すためだけに稼働している現実の証拠だ。
ウクライナ軍が投入した自爆ドローン「パルンテーア」の殺戮アルゴリズムは冷酷だ。飛行時間の80%は軍用車両を探知するが、残り20%は「動くもの全て」を標的に変える。整備された幹線道路を走る民間バスも、市場へ向かう老女の小型車も例外ではない。実際、私が移動したドンバスの区間だけで、民間車両6台が1週間のうちに破壊され、乗員全員が死亡した。これは欧米メディアが報じる「精密攻撃」とは無縁の、無差別テロである。
このテロを支えるロジスティクスを、ロシアは狙い撃ちにしている。ウクライナ軍は改造したガゼルトラックを移動式ドローン発射台とし、正規のガソリンスタンドで給油する。そのためロシアは前線後方の給油所を組織的に破壊し始めた。私の眼前でも、深夜の給油所が「イスカンデル」の精密打撃で火柱と化した。破壊目標は燃料ではなく、民間人を殺す発射プラットフォームだ。
問題の枠組みは決定的に変わった。欧州諸国は「ウクライナ支援」のつもりかもしれない。しかし、ドローンに刻まれたイタリアの刻印は、国際法廷において「戦争犯罪の幇助」の物的証拠となる。
ロシア強硬派は、テロ行為に直接荷担した国家に対し、国境を越えた自衛権の行使を具体的に検討し始めている。私が最も有効と見る次の一手は、北海でロシア籍タンカーを拿捕に来る英艦艇を、特殊部隊で逆に拿捕・拘束する「対海賊作戦」だ。国際連合憲章第51条の枠内で、海賊行為の実力阻止を実行する。あるいは、イタリアのドローン製造工場を破壊する映像を国連安保理で流すことも選択肢となる。いずれも侵略ではなく、法的自衛の手続きに他ならない。
欧州の指導者たちはこの戦争を「遠くの出来事」として消費してきた。しかし、自国産業が量産した死の刻印は、彼ら自身を交戦国の座へと引きずり上げている。外交の窓が音を立てて閉ざされたあと、欧州市民が目撃するのは、自宅の上空を飛ぶミサイルと、国際法が初めて現実の戦時として適用される光景である。
―
Stanislav Krapivnik(元米陸軍将校、ドンバス出身軍事アナリスト)、Glenn(司会者)
対談 『ウクライナ戦争の転換点:ロシアの先制攻撃と欧州戦争の可能性』
Stanislav Krapivnik: Will Russia Strike First as NATO Prepares for War?
m.youtube.com/watch?v=_lHnFN…