先輩たちの生々しい失敗談に、転機の乗り越え方、転び方、失敗を最高の糧にするヒントを学ぶ連載。今回は、27歳で楽天グループで電子書籍事業のリーダーに抜てきされ、マネジメントに挫折したという田中はる奈さんの下編です。アジア事業を任されて着実に成果を上げる一方で、自分を見つめ直し、途上国支援で注目されるスタートアップ、五常・アンド・カンパニーに転職。人にもミッションにも恵まれた理想の職場でしたが、ある日突然、会社に行けなくなってしまいます。田中さんが経験した失敗とは?

(上)コンサル3年でクビ→楽天・三木谷社長から抜てきも「お前は土管」
(下)楽天→途上国支援ベンチャー「会社に行けず、泣いて自分を責めた」 ←今回はココ

シンガポールで出産、7日後に社長ミーティングに参加

 楽天ブックスKobo事業のリーダーを経て、30代で以前から希望していたアジア事業を統括する楽天アジアに配属された田中さん。念願の海外での仕事はやりがいもあり、充実していた。シンガポール駐在時に結婚し、長女の出産後、すぐに職場復帰。なんと産後7日目にはZoomで三木谷浩史社長が出席するインドプロジェクトの会議に参加していた。

「妊娠が分かったときは、翌日からインド出張だったんです。でも、妊娠したと言うと行かせてもらえないと思って。会社には黙って出張し、妊婦健診は現地で受けました」と田中はる奈さん(39歳)。現在は途上国を支援する五常・アンド・カンパニー経営企画部長を務める
「妊娠が分かったときは、翌日からインド出張だったんです。でも、妊娠したと言うと行かせてもらえないと思って。会社には黙って出張し、妊婦健診は現地で受けました」と田中はる奈さん(39歳)。現在は途上国を支援する五常・アンド・カンパニー経営企画部長を務める

 出産から半年後には、シンガポールに住む夫に子どもを託して台湾に単身赴任。月~金曜は台湾でバリバリ働き、週末にシンガポールにとんぼ返りして家族と過ごすという過密なスケジュールをこなした。

30代はどう生きるか?自分と向き合った

 台湾では20代での失敗を生かし、現地のマネジャーと連携して、部員のモチベーションを上げ、楽しく売り上げを追求する環境づくりに徹することができた。マネジメントの経験を積む一方で、少しずつ気持ちに変化が。「1人目を産んだときは、自分の居場所がなくなるのが怖くて、すぐに職場復帰したんです。でも、子どもと過ごす生活の楽しさが徐々に自分に浸透して、『人生には仕事以外にも大事なものがあるかもしれない』と、価値観が変容していきました

 「20代は生きるのに精いっぱいでひたすら働いてきた。では30代はどう生きるか。たまたま受けたコーチングで、自分と向き合ったとき、『途上国支援やソーシャルな事業をやりたい』という気持ちが再び浮かんできました。誰かに人生をドライブされるのではなく、自分で自分の人生をドライブしよう、と。自分のキャリアに対する考え方が大きく変わっていきました」

次のページ

20代の失敗で体に染み込んだこと

この記事は会員登録(無料)で続きをご覧いただけます