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とある部長のObsidian

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まえがき

カンリーのプロダクトマネジメント部の部長をしている越智(X:@ochi__san)です。

AIが日常の当たり前になってから久しいですが、私ももれなく日々の業務にどうAIを取り込み、いかに生産性高くふるまい続けられるかを考えています。今回は実務というよりはその周辺にあるタスクやふりかえりに焦点をあて、どのようにAIを使っているかをご紹介します。

はじめに

弊社CTO小出が重い腰を上げX(@koid_thinks)を開始し、さらに個人ブログを立ち上げました。なんということでしょう。

記念すべき1回目の投稿でObsidianに触れていたため、私もObsidian × Claude(Code)について触れてみたいと思います。目新しい話ではなく日常の使い方の紹介なので、情報収集にはならないかもしれませんが……。

目的は「第二の脳」を育てること

メモを取ることがゴールではありません。欲しいのは、自分の思考を貯めて育て、必要なときに引き出せる「第二の脳」 です。

日々勝手に育っていく脳は、壁打ち相手になり、意思決定の参考になり、チームメンバーにも使ってもらえます。

しかもただ答えるだけではなく、私の判断の癖や言葉づかいを取り込み、まるで私自身が返しているかのようにふるまう——この「私のレンズ」が、よくあるObsidian活用術との分かれ道です。

Vaultは5つのフォルダに分けるだけ

構造は最小限です。役割で分けているだけです。面倒ですし。

  • inbox/自分が触るのはここだけ。MTGメモ・思いつき・タスク、何でも放り込む
  • ideas/:未整形の思考。仮説や走り書き
  • sources/:整形済みの原本。記事・書籍メモなど
  • wiki/:AIが育てるページ群
  • projects/:プロジェクト単位の仕様・議事録・意思決定ログ

自分が手を入れるのは inbox/ だけで、残りの4つはすべてAIが整理・育成する領域です。とくに sources/(人間の資産)と wiki/(AIの領域)の境界を決めておくと、安心して任せられます。

言い換えると、書きなぐる「フロー」の置き場を inbox/ の1箇所に固定し、それを残す「ストック」化はAIに委ねている、という分担です。行き先を考えずに書けるから、書くハードルが下がる。それだけの話です。

育て方:朝「おはよう」と書くだけ

朝イチ、ClaudeCodeに「おはよう」と入力すると、決めた手順が自動で走ります。

  1. 勤怠打刻(freee連携)
  2. 前日までのデイリーノートを整理
  3. 今日のカレンダー予定を取得
  4. Gmailの未読チェック(広告・セミナーは除外)
  5. 今日のデイリーノートを作成

この一連の流れはスキルで定義しています。

inbox/ に入っているのは、日付ごとのデイリーノートだけです。前日までのデイリーノートは、整理のタイミングでAIが中身を仕分けし、ideas/wiki/ へ自動で振り分けてくれます。

日中は、その日のデイリーノートにひたすら書き殴るだけです。分類も整形もしません。整理はAIがやるので、書くハードルが下がります。

何を溜め込んでいるか

中身に制限はなく、日々の断片をとにかくその日のデイリーノートに落とします。

  • 思いついたメモ、読んだ記事、気になったXのリンク
  • ふと浮かんだフレーズやキーワード
  • メンバーとの1on1の議事録

とくに1on1の議事録は、ためるだけでは終わりません。メンバーの目標設定と対比させ、「いま、目標に対してどこにいるか」を把握する材料にします。前回からの差分を追い、気持ちの変化や成長を観察ログとして残していきます。

繋がる:AIが勝手に「面」にする


点→線→面の成長イメージ (Obsidianのグラフビュー)
溜め込んだ断片は、放っておけばただの点です。第二の脳になるのは、点と点がリンクで繋がってネットワークになった瞬間からです。

Claude Codeに渡しているルールはシンプルで、「新しいページには関連ページへのリンクを張る」 の一点です。整理のたびに、AIが関連するメモ同士を繋いでくれます。点が線になり、線が面になり、脳に育っていきます。

もちろん、AIが張るリンクが的外れなこともあります。気づいたら直す程度で、完璧は目指しません。多少ノイズが混ざっても、繋がりの総量が増えるほうが効いてきます。

使い方:育った脳を、私のレンズで引き出す

繋がった脳は、単なる検索エンジンではありません。この「私のレンズ」が効いてくるのは、たとえばこんな場面です。

  • 壁打ちの相手をしてもらうとき
  • 意思決定に迷って相談するとき
  • メンバーとの1on1から、目標に対する現在地を分析するとき

どの場面でも、「越智ならこう考える、こう返す」という視点が下敷きになります。ゼロから調べるのではなく、蓄積された私の思考を通して答えが返ってくる感覚です。点だったやり取りが、私という一貫した線の上に乗っていきます。

ただし、AIはあくまで私のレンズで下書きや視点を返すだけです。最終的な意思決定は、必ず私自身(人間)が下す——ここは徹底しています。

週次で思考を棚卸しする

レンズを日々使うのとは別に、週次でまとめて振り返らせています。

  • EMERGING THESIS:この2週間で形になりつつある主張
  • CONTRADICTIONS:過去と最近の発言の食い違い
  • KNOWLEDGE GAPS:判断を誤るリスクのある知識の空白
  • ONE ACTION:来週すぐ取るべき1手

自分では気づかない繋がりや矛盾を、AIが指摘してくれます。過去の主張と現在の主張の一貫性を担保します。

成果物も、そのまま投げ込む

Claude Codeとの壁打ちや、一緒に作った文章も、そのまま資産にします。やることは雑で、「これ、Obsidianに投げといて」と一言指示するだけ。あとはAIが中身を見て、projects/sources/ の適切な場所に整理して保存してくれます。

たとえばこの記事も、Claude Codeと壁打ちしながら書き、そのまま projects/ に置きました。使った結果が、また次の材料として溜まっていく。育てて、使って、その成果物をまた育てる。この循環が回り出すと、脳は放っておいても太っていきます。

応用:定型作業はスキルに、思考は持ち歩く

同じ仕組みの延長で、こんなことも任せています。

  • 定型作業のスキル化:会議の議事録づくり・議題追加、メンバーとの対話ログの更新など、繰り返す手順は"スキル"として登録し、呼び出すだけで走らせる
  • セッションの持ち歩き:移動中に携帯のClaudeで考えた続きを、オフィスのClaude Codeでそのまま再開する

第二の脳は、机の前にいるときだけのものではありません。

書く・確認する・決めるは人間、整理・整形はAI。この役割分担で落ち着きました。

まとめ

Obsidian × Claude Codeの運用は、「第二の脳を育てて、使う」に尽きます。

  • 溜める:メモ・記事・Xのリンク・1on1議事録を、とにかくその日のデイリーノートへ
  • 育てる:朝「おはよう」で前日を集約し、AIが勝手にリンクで繋いで面にする
  • 使う:私のレンズを通して、壁打ち・相談・意思決定に、私のようにふるまう
  • 循環させる:壁打ちや作った成果物も「投げといて」で保存し、また材料にする

整理コストが消えると書く量が増え、脳が育ち、引き出せる幅が広がります。

そして育てば育つほど、この脳は「私の頭の中」を再現可能なかたちで外に出していきます。個人の暗黙知が、いつかチーム(組織)で引き出せるシステムになる。その入り口でもあります。

記録が「思考の資産」に変わっていく感覚を、ぜひ味わってみてください。

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