「FGO プレイヤーの深淵を覗いてみた」 ゲ評鯖 035
編集前記
今週のゲーミング批評誌「ゲ評鯖」は、特別号として解剖企画「FGO プレイヤーの深淵を覗いてみた」のみの掲載でお送りします。
解剖企画はこれまで、ゲームではなくゲームのプレイヤーに焦点を当てた企画を続けてきました。「ほぼ女性ゲーマーの集い」だったり、「個人ゲーム制作者の集い」などですね。それは、デジタルゲームという文化の爛熟にともないプレイヤーの層や裾野、世代、あり方が多様化するなかで、私たちがプレイヤーとしての共通基盤を見失いながらそれぞれの界隈でゲームを語りがちなことに危惧があるからです。ときに近しい属性のプレイヤーを集め(「Z 世代の大学生ゲーマーの集い」)、ときにあえて異なる世代のプレイヤーたちを集める(「ドラクエ&FF 好きの集い」)ことで、さまざまなプレイヤーの見方や楽しみかた、価値観、偏執的な愛をお見せできたことはこのシリーズ企画のひとつの成果でしょう。
今回は「FGO プレイヤーの集い」です。
本企画は、Fate/Grand Order という日本が誇る運営型スマホゲー厶ではなく、それを長期間にわたり熱心に続けてきたプレイヤーの姿に興味をもったことからはじまりました。FGO がいかに凄いか、スマホゲームの歴史をいかに変えたかというたぐいの話は今後さまざまに書かれるでしょう。しかし、実際のプレイヤーたちが何に惹かれ、どのような遊びかたを好み、いかなる愛と憎しみを抱き、FGO という長寿タイトルに何を望んだのかを文字として共有することがまず大事だと私は考えます。もちろん、本企画の内容が FGO プレイヤーの全体を代表することはありませんが、そのいったんを垣間見させるものになっていれば幸いです。
FGO プレイヤーとそうではないゲームファンとのあわいで、彼ら彼女らの多様なゲーム体験の語りが交差してゆくことを祈ります。
解剖:FGO プレイヤーの深淵を覗いてみた
FGO プレイヤーのプロフィール
羊谷:というわけでね、今回は FGO プレイヤーとして 5 人のゲストをお招きしました。それではみまさん、自己紹介として、普段遊んでいるゲーム、好きな文芸作家、いちばん好きな型月作品、そしていちばんの「推し」サーヴァントをおねがいします。
きつ:きつねつきです。ゲームはもともと好きで、子どもの頃からテーブルトップの RPG やウォーゲームを遊んできましたが、最近は仕事の方で体力も精神力も使い果たしているので全然遊べていません。なので、今遊んでいるゲームは FGO だけですね。好きな文芸作家は、作家単位で好きになることがないのでちょっと思い浮かびませんでした。ただ、好きな作品でいうと、芥川龍之介の「地獄変」や坂口安吾の「白痴」、最近のものだと本条謙太郎の『汝、暗君を愛せよ』が好きです。好きな型月作品は PC 版の Fate/stay night ですね。作品のテーマとして、失敗をなかったことにしてやりなおすことを明確に否定しているのが好きです。推しのサーヴァントは、マジメで損をしやすい性格のエレシュキガルと人馬一体の赤兎馬ですね。よろしくお願いします。
てら:以前の解剖企画「ほぼ女性ゲーマーの集い」に参加したてらぴんです。私も仕事が忙しいので最近は Fallout 76 にログインすることしかできていません。もともとは RPG やシミュレーションものが好きで、昔は格闘ゲームの大会にも出たりしました。好きな文芸作家は、若い頃から格別に好きなのは坂口安吾と星新一です。推理小説やホラー小説では先日亡くなった鈴木光司さんや森博嗣さんもよく読みます。好きな型月作品はやっぱり PC 版の Fate/stay night で、付き合いがいちばん長いです。当時の感覚では、厨二病とふつうの人生の同居がすごくいいなとおもいました。あと、おまけのファンディスクの Fate/hollow ataraxia も好きです。好きなサーヴァントはいちばん遊んでいてストレスが少ないギルガメッシュです。あとは、初期の頃にお世話になった沖田総司やジャンヌ・オルタも重宝しています。
芙束:芙束(フツカ)です。ゲームは毎日色々なものをさわっているので全般的に好きですが、とくにということならフロム・ソフトウェアのものが好きですね。好きな文芸作家は舞城王太郎と桜庭一樹です。てらぴんさんが先程挙げた森博嗣もすごい好きですけど、まだ未読のシリーズがちらほらあるのでちょっと我慢しようかな、と(笑) いちばん好きな型月作品は月姫です。その理由はもう、ひとえに性癖ですね。もともと悲恋ものが好きですし、寿命差ものとか異種族ものもすごく好きなので……、アルクェイド・ルートのいちばん最後の夕陽のなかで別れを告げるシーンはほんとうに感動しました。好きなサーヴァントもやっぱりアルクェイド・ブリュンスタッドです。実は FGO で好きなキャラクターはあまりふえていなくて、オリジナルのものでいうならスカサハ師匠や河上彦斎やオルトリンデですが、そのあたりはもう顔が好きという感じですね。いわゆる「社長絵」が好きなのかもしれません。
青ノ:わたくし、青ノ颪と申します。ふだん遊んでいるゲームは FGO 一本でして、他のものにはなかなか手を出せていません。好きな文芸作家は詩人の萩原朔太郎です。いちばん好きな型月作品は月姫ですが、Fate/stay night にいちばん影響を受けました。とても青臭い話ですが、わたくしにとっては主人公の衛宮士郎が生きる指針になっています。彼にとって「他人を救うこと」は喜びではないものの、その行為じたいは美しく、全き善であり、それゆえになかば機械的に向かわざるをえないあり方に、歪でありながらも偽善を肯定する回路を自分のなかに作ってもらえました。衛宮士郎には、少年マンガ的な主人公造形を一度批判してそれを再度肯定するというねじれがあるので、当時としては結構斬新な造形でかつ TYPE-MOON らしいひねくれ方をしていたとおもいます。最後に、推しのサーヴァントはアビゲイル・ウィリアムズです。アビーは最強です、今日はこれだけを言いにきました。
エラ:今回はサポート枠のエラシカです。以前の解剖企画「アドベンチャー好きの集い」などに参加しました。ふだん遊んでいるゲームは、ジャンルとしては RPG とアドベンチャーとパズルに偏りがちで、最近はお片付けものがチルくて好きです。好きな文芸作家は、エンタメ寄りになりますが、小野不由美と西尾維新をこの場では挙げたいです。いちばん好きな型月作品は、選びきれないなとおもいつつも、自分の原体験としてはやっぱり PC 版の月姫ですね。当時の視点ではそれまでに感じたことのない世界観がとても鮮烈に映りました。推しのサーヴァントは……「新宿のアーチャー」ことモリアーティを挙げさせていただこうかな! モリアーティはコナン・ドイルの作品のなかでもたいして書き込みのないキャラクターですが、それが FGO のなかでああいうかたちで立ちあがってきて、しかも数学教授なのに感情を核とした企みをするというギャップが魅力的でした。あと、サーヴァントではありませんがロマニ・アーキマンも忘れられないですね。
きつ:ふとおもったんですが、みなさんの好きなサーヴァントと育てているサーヴァントは一致していますか? 僕は全然一致していないんですが、みなさんはどうなのかな、と。
芙束:私は基本的に一致していますが、戦力目的で育てているサーヴァントもいますね。でも、いちばんではないです。ちなみに私の戦力要員は Lv. 110 のバニヤンです。彼女は周回でカレイドスコープをもたせて置いておくうえでいちばん有用なサーヴァントなので。コストが低く、宝具演出も短く、画面タップ数も少ないと三拍子そろっています。
エラ:好きなサーヴァントでも宝具を重ねられるかどうかもまたちがいますよね。
きつ:そう、ガチャから出ないっていう(笑)
芙束:好かれている、嫌われているというのは実際にあります。
てら:私の宝具 5 のメリュジーヌはピックアップがきたときに引いたら 20 分で 5 枚揃えられたので「そうか、そんなに私のところに来たかったのか」と感じ入り、それから熱心に育てました。
一同:ええッ!
エラ:これは世の FGO プレイヤーがほぼ体験したことのない速度ですよ……。
芙束:私も 1 時間ちょっとが最速記録ですね。ちなみにそのときは Discord で友だちに画面を共有しながらでしたが、アルクェイドが来るたびに興奮して叫んでしまったのでさすがに呆れられました。はいはい、よかったね、と。でも、それ以降の年明けの福袋はアルクがはいっているときだけ、アルクがはいっている福袋しか引かないと決めているので、今はもうアルクの宝具レベルが 9 に到達しています。
てら:愛されていますね~。
芙束:私にはもうこれぐらいしかアルクに愛を示す方法がないんですよ。
一同:(爆笑)
羊谷:バケモンがおるって。
FGO プレイヤーの休止と再開
羊谷:では、プレイヤーの来歴としてみなさんはいつ何をきっかけにはじめましたか?
きつ:僕、マシュの入手日を確認してきました、2015 年 8 月 1 日でした。通算ログイン数は約 3980 日ですね。プレイしたきっかけはもともと Fate シリーズが好きだったので「なんだろう?」ぐらいの気持ちではじめてみました。
羊谷:えっ、1 年間ってたしか 365 日ですよね?
きつ:そうです。
羊谷:ほぼ 4000 日ということはサーヴィス開始から 11 年間毎日プレイを続けているということですか?
きつ:まあ、そうです。
芙束:しかもそれって運営開始日じゃないですか?
きつ:いや、初日は入れなかったんですよね。だからその次か、その次の次の日か。FGO の最初の数日間は接続が不安定だったので記憶がちょっと定かではないです。
羊谷:すごいプレイヤーが来たもんだ。では次の方、いきましょうか。
てら:私のマシュは 2015 年 8 月 20 日に入手していました。きつねつきさんが FGO をはじめるというから「ふ~ん、じゃあ、私もやってみようかな」とおもって初日にインストールしましたが、アプリを起動してもロード画面でフォウくんが走りまわっているだけだったので、一度運用が安定するのを待ってから入ったのがその日付になります。
芙束:みなさん、凄いなあ。私のマシュの加入日が 2016 年 2 月 28 日で、サーヴィス開始からだいたい半年遅れですかね。ただ、私も事前登録はしていましたが、当時はまだガラケーだったのでプレイできませんでしたし、みなさんが仰るように開始当初は評判もかなり悪かったので「スルーしようかな?」とおもっていました。ただ、友だちがはじめるといったので、スマホをはじめて入手できたのがその日付になります。ちなみに、このときがちょうど奈須きのこの『空の境界』とのコラボでして、両儀式を手に入れて喜んだはいいものの、式は Lv. 7 までしかあげられなかったので所持枠から消えてしまい、とてもかなしい想いをしました。FGO をはじめたきっかけもやっぱり型月が好きだったからですね。
羊谷:では、今日のメインゲストのなかでは芙束さんがいちばん「にわか」という認識で、だいじょうぶですか?
一同:(爆笑)
芙束:まあでも、通算ログイン日数は約 3640 日なので私も 10 年選手ではあります。10 年遊び続けているだけの「にわか」です。
羊谷:それはそれは失礼しました。青ノさんはどうですか?
青ノ:わたくしも事前登録組でして、友人から「おい、青ノ。なんか新しい TYPE-MOON 作品がはじまるらしいじゃん」といわれたのがきっかけですね。型月が、ソシャゲ……、だいじょうぶなのか?と不安を覚えつつも事前登録をしました。実際にはじめたのはたぶん、2015 年 8 月 3 日だったとおもいます。ボランティア活動から帰ってきて、インターネットが大荒れしているなかを数日遅れではじめたことをよく覚えています。
羊谷:きつねつきさんとおなじパターンですね。
青ノ:ええ、そうです。でも、わたくしは最初の暗黒の三日間を経験していないので温度感は違うとおもいます。『進撃の巨人』で喩えるなら、後発組のわたくしは憲兵団や駐屯兵団で、暗黒組のきつねつきさんたちこそ調査兵団です。
羊谷:面構えがちがう、と。
きつ:まあ、入りたいのにずっと入れなくて一日中ポチポチしていましたからね(笑)
芙束:今、初動組のどれくらいが残っているんでしょうね。ユーザーの母数もかなりふえましたし、当時の空気感を知っているひともだいぶ減ったんじゃないかな。
羊谷:急にしんみりとさせてくるじゃん。では、サポート枠のエラシカさん、おねがいします。
エラ:私はマシュの加入日だけはちょっとはやくて 2016 年 9 月 24 日で、ふたりめのキャラクターは 2017 年 1 月 2 日です。これだけでベテランプレイヤーのみなさんは「あっ」とおもわれたでしょうが、つまり私は第 1 部終章の盛り上がりを聞きつけてはいってきた組です。ちょうど 2016 年末に友人たちから「今 FGO が凄いんだよ!」とさまざまに猛プッシュされてあらためてプレイし、最初の 10 回召喚で宮本武蔵とアルジュナを二枚抜きするという好スタートを切ったのがきっかけですね。
一同:おお!
エラ:そのとき、Twitter にハッシュタグを付けて「これははじめた方がいいですかね?」とみんなにきいたら「いいからそのまま黙ってはじめなさい」と怒られてしまいました。それぐらい当時の第 1 部終章のお祭りムードは凄かった……。
芙束:うん、あのときは本当に凄かったね。
羊谷:では次の質問で、プレイを休止していた時期とその理由はなんですか、また、再開した時期とその理由も教えてもらえると嬉しいです、が……、みなさんにそもそも休止の時期はあったんですか?
きつ:うーん、メンテナンスと被ってしまったり忙しくてまる一日ログインできなかったりした日が複数回あったのが僕の休止ですね。だから、サーヴィス開始からフル日数はログインできませんでした。
羊谷:これだけはいわせてほしいのですが……、しかたない事情で連続ログインを落としてしまったことをふつうは「休止」にカウントしないですよね。FGO 好きのみなさんはちがうんですか?
一同:(爆笑)
芙束:さすがに言いませんよ!
羊谷:それは休止ではなく、たまたまその日疲れていたとか、忙しかったとか、具合が悪かったとかそういう話であって……。
芙束:まあでも、具合が悪いぐらいなら入りますよね?
てら:うん。
きつ:もちろんです。
羊谷:……きみたちが怖いよ、おれは。
一同:(爆笑)
てら:私の通算ログイン日数を今確認したら約 3600日だったので、ちょうど 1 年ほど中断していた時期があります。その理由はあまりにも周回が嫌すぎたからで、いったんキレて止めました。ちなみに最近はきつねつきさんに周回をやってもらっているので続いています(笑) 反対に、復帰のきっかけは、エルキドゥのピックアップがはじまるよときいたので引いてみたら、ポンッポンッポンッと 1 時間ぐらいで 5 枚をそろえられたので「じゃあ、育てるか」ともう一度プレイをはじめました。
きつ:は~い、僕が周回担当です!
芙束:凄すぎる。自分の周回ですら、もう……。いやマジで無理。
羊谷:芙束さんたちの休止期間と再開のきっかけはどうですか?
芙束:私も長期休止したことはないですね。日数計算すると半年ほどログインしていない日があったので、きつねつきさんのように 10 年間のなかでログインを逃してしまった日が「ちりつも」で積み重なったのかな、と。ただ、短い期間ですけど一度だけプレイを辞めた時期があります。それが 2016 年の 5 月ぐらいのことで、当時、スカサハ師匠がピックアップされていたのでがんばって引いたんですが全然出なかったんですね。それで、プライベートも忙しいし星 5 キャラも出てくれないしで FGO にログインするのを一回手放しました。ですが、その直後に「羅生門」イベントがはじまり、友だちから「今回はおもしろいよ」といわれて FGO にいそいそともどったという経験があります。たぶん、休止期間は 2 週間ぐらいだったかな。それが私の最長ですね。
青ノ:自分の大きな休止タイミングは 2016 年の第 1 部 5 章が配信されたあとですね。わたくしはそれぞれの特異点のなかで TYPE-MOON らしい伝奇バトルを壮大なスケール感で展開されることを FGO に期待していましたが、そうした世界の拡がりがみえないなかで、これまでに観てきたキャラクターたちがわちゃわちゃしながら「これが人類史でござい」という体で進むのに耐えれきれなくなっていました。そんな折に 5 章が配信され、ライオンの顔をしたエジソンが登場したことで「もういいや」と気持ちが冷めて一度止めましたね。もう FGO はいいから、月姫のリメイクと、成田良悟の Fate/strange Fake、三田誠の『ロード・エルメロイⅡ世の事件簿』を待ちつつ「きのこ、FGO はもう辞めろ!」と想いながら過ごしていました。
芙束:納得ですね。FGO はシナリオのクオリティがそんなによくないですし、とくに当時はファンが型月にもとめるものではなく、世間一般のふつうのソシャゲのシナリオが出てきている印象でした。
青ノ:もちろん、第 1 部 5 章か、そのあとの 6 章ぐらいが FGO のシナリオがもちなおした時期といわれてはいます。シナリオをしっかり読んでいるひとほど 5 章からの変化をとらえている節がありますね。ただ、わたくしの場合は、序章からの失望があまりにも深すぎて、期待しつつも読みながら失望し、また期待しつつも読みながら失望することに疲れてしまいました。
羊谷:なるほど。では、青ノさんの再開の話も聞きましょうか。
青ノ:そのあとの 6 章の評判がよかったので、2016 年の秋冬にはもう復帰していました。こちらの章では特異点の現地人をまじえたドラマも濃度高めにはじまり、これまでの Fate シリーズでめちゃくちゃ強いとされてきた円卓の騎士たちと敵として対峙することが、物語としても、ゲームとしてもしっかり演出されていて、ここでようやくギアを上げてきたなと感じました。そして、章のクライマックスでは、奈須きのこらしい瞬間最大風速度の感動の作りかたがバッチリとあって「TYPE-MOON がやっと帰ってきた!」と泣きながらプレイしていました。
羊谷:「神聖円卓領域 キャメロット」ですね。このあたりは好きなシナリオに関わる話でもあるのであとでもう一度振りかえりましょう。
エラ:では、最後に私から。FGO のイベントには参加制限があります。特定の進行度に達していないとイベントへの参加が開放されないという他のスマホゲームではあまりみない仕様ですが、私は FGO をはじめるのが少し遅かったせいでストーリーを進みきれないうちはイベントに参加できないことがありました。そんなときは、みんなが盛り上がっているなかで自分だけ参加できないので「つまんねぇや」とほったらかしにしてしまいがちでしたね。いちばんそれが胸に響いたのは坂本龍馬が配布された「ぐだぐだ竜馬危機一髪!」で、ほんとうに辛かったです。あとは、酒呑童子(キャスター)が配布された 2018 年のハロウィンイベントですね。「単体宝具のキャスターがほしかったのにストーリーが間に合っていない、ぐぬぬ」というときはスネてログインが途切れていました。あとはストーリーが肌にあわなくてほったらかしになることもありました。そのせいで、いまの通算ログイン日数は約 2800 日です。みなさんには遠くおよびません……。
FGO プレイヤーの遊びかた
羊谷:では次の質問で、みなさんは FGO でどういう遊びかたを重視して楽しんでいますか?
きつ:僕はシナリオを読むためにゲームをしていますね。あと、プレイの仕方としては、サーヴァントのうちだれかひとりを集中して育てるというより、サーヴァント全員をちまちまと育てています。なので、うちに来てくれた子はふつうのレベルマックスにして、スキルは全員レベル 6 以上、星 5 はスキルレベルを全員 10 にしています。ただ、僕の楽しみはおおよそシナリオを読むことなので、育てているなかでいちばん強いのはやっぱり周回性能の高いバーサーカーになっています。なので、フォーリナーが実装されたときはちょっとイラっとしました。
一同:(爆笑)
芙束:私はイベントで配布される貴重な品などは全部取りきるようにしています。イベントにフル参戦できるようになってから続けているので取り逃しはほとんどないんじゃないかな……。縛りプレイでいうと、メインシナリオでは令呪を使わないというスタイルを続けています。なので、全滅したら全滅を受け容れて、最初からまたやり直すというかたちで続けていますね。やっぱり、令呪を使い切ってしまったらサーヴァントに反逆される可能性がありますから、絶対命令権は手に残しておかないと、ね……、という高難度攻略とロールプレイを楽しんでいます。あと、ふつうの周回ではできるだけアルクェイドを入れて、アルクの顔をずっと眺められるようにしているぐらいですね。
きつ:愛だ……。
羊谷:こういうただひとりのサーヴァントを使い続けるというプレイスタイルの方は他にいますか?
青ノ:はい。わたくしの場合はそれがアビゲイル・ウィリアムズになります。すべての強敵や高難易度戦闘のいっさいを彼女で倒すことにより、アビゲイル・ウィリアムズが最強であると証明することがわたくしの生き甲斐です。羊谷さん、これは絶対に書いてくださいね。アビゲイル・ウィリアムズは最強なんです。
羊谷:お、おう……。その要望もふくめてちゃんと書きますが、他のみなさんとしてもアビゲイルというキャラクターは強いんですか?
芙束:いいえ。
きつ:いいえ。
てら:いいえ。
青ノ:アーハッハッハッ!!
芙束:フォリーナーというクラスがそもそも使いづらいので、アビゲイルは強くないのが FGO プレイヤーでの定説です。それに、世間的評価でいっても客観的評価でいっても、私のアルクの方が断然評価が高いですよ(笑)
てら:そこッ、張り合わない! 自分の好きなサーヴァントでクリアすることが大事なんだから!
青ノ:……わたくし、アルクェイドのことはいまだに許していませんからね……。
羊谷:なにがあったんですか?
青ノ:2024 年のクリスマスイベントのことです。その年のサンタコスの配布キャラクターはアビゲイルでしたが、実はその発表を知るまで FGO を休止していました。わたくしはあらためて文学の世界で物を書く人間として希望をとりもどすぞ、FGO にかまけている暇はないぞ、と。ただ、当時の文芸仲間のある女性の方から「おい、青ノ、局部の写真を撮って送れ、私のセフレになれ」と散々な DM の嵐の対応に追われていました。そのなかで発表された「アビゲイル・ウィリアムズ〔サンタ〕」の実装。わたくしは FGO を再開することを決めました。幸せでした。その幸福なる 12 月 25 日に何が起こったか、羊谷さん、想像できますか? サンタクロースのアルクェイド・ブリュンスタッドによる真クリスマスイベントがはじまりました。そして、インターネットでは「アビーは前座(ワラ」と散々嘲笑されました。わたくしはあなたたちのことを未来永劫許しませんよ。
羊谷:インターネットの闇が詰まった貴重な話をありがとうございます。ちなみにですが、青ノさんのその愛はいったいどこから来てるんですか?
青ノ:遡ること 2018 年の話になります。当時働いていた珈琲業界でも物書きの世界でも行き詰まりを感じていました。それなりのところまで登れはしましたが、頭打ちも同時に感じていたといいますか。力量の限界が両方でみえていた状態です。そのときに FGO の「禁忌降臨庭園 セイレム」が配信されました。わたくしは今まで自分が高尚だとおもうもの、本質的だとおもうものを突き詰める生き方をしてきましたが、それが突然虚しいものにおもえたんですね。だったら、今度は徹底的に低俗に生きてみようとおもい、低俗の極みとはなんだ、ロリコンだ、と。なので、某ファンサイトの掲示板でアビゲイル・ウィリアムズに愛を叫び続ける狂人になってみたんです。そして、やっているうちにこのキャラクターのことが本当に好きになり、アビーからライフハックとしての低俗性の回路を身に付けることで人生の危機を乗り越えられました。……ちなみに羊谷さんとは十数年来の友人なんですが、彼との交流がちょうど途絶えていた頃にわたくしはロリコンになっていたことになります。
一同:(爆笑)
羊谷:まあ、僕もその頃は人生初のデスクトップ PC で Overwatch をずっとプレイしていたのでおたがいに人生の転機を迎えていたのでしょう。では、気をとり直して、他のみなさんの FGO の遊びかたはいかがですか?
てら:私もきつねつきさんと一緒でシナリオを読むためにやっています。周回はかなり辛くて、途中まではがんばっていましたが、最近はもう挫折したので代わりにやってもらっています。育て方はあくまで自分の好きなサーヴァント中心ですね。なので、星 5 に宝具レベル 5 がそろっていても、お気に入りじゃなかったらレベル 90 で放置していたりします。ゲームとしてはほとんど楽しめなくて、唯一面白かったのが戦略シミュレーションっぽさのあった「聖杯戦線」ぐらいですね。低レアのサーヴァントが活躍できるのも良かったです。
エラ:私は物語を読むのとキャラクター愛がゆるく混じりあっているタイプで、パズルめいた戦闘も肌にあうのでわりと楽しくやっています。プレイスタイルのこだわりとしては物語の場面ごとに登場するサーヴァントで戦いたいという想いがあります。FGO はアプリゲームなので自分の手持ちのサーヴァントとストーリーに登場するサーヴァントが一致するとはかぎりませんが、たとえばストーリーのなかで「マスター、いくぞ!」と声をあげたサーヴァントはできるだけパーティーに入れたいんですよね。今だと、作中でその場にいることが明示されたキャラクターはサポートサーヴァントとしてちゃんと置いてあって、ほんとうにならんで戦えるようにするというこまやかな演出をしてくれていますが、私はそれをさらに自分でもやりたいタイプです。なので、クラス相性でブン殴ることを全部捨てて、今そのときその場にいたサーヴァントで戦わせることをしています。まあ、絶対無理ッ!となったときはバーサーカーのロウヒがすべてを薙ぎ倒すんですけどね。
一同:(爆笑)
芙束:全体バーサーカーの暴力だ……。てらぴんさんときつねつきさんに質問なんですが、シナリオを読むのが主な楽しみと仰っていましたが、イベントストーリーも全部読んでいるんですか?
てら:はい。
芙束:え、全部?
きつ:もちろんそうですが、えーと、質問の意味が……。
てら:逆に、芙束さんは全部読んでいないんですか?
一同:(爆笑)
芙束:あ、すみません。私はですね、イベントストーリーはクオリティが低いとある時点で見切りを付けたので全部スキップしています。もちろん、メインストーリーに関わるものはさすがに読みましたけどね。「ツングースカ・サンクチュアリ」とか。……あのイベスト、本当に面白くなかったな(小声)
きつ:わかります!「ツングースカ」は僕もイラっとしました。
芙束:ですよね。なので、私の好きなキャラクターに紐付いていたり、メインストーリ-に直接絡んだりしない期間限定のものはかれこれもう 5 年ぐらいは全部スキップしています。
きつ:僕はもう文字を読むのが大好きなので、面白いものでもおもしろくないものでも読んだあとに「面白かったな」「面白くなかったな」と考えるタイプですね。
芙束:気持ちはわかりますし、私も昔はそうでした。でも、FGO のイベストの打率が低すぎることに怒りを覚えて、「こんなのもう読んでられっか!」となってしまいました。あと、私は他の物語主導のスマホゲームも同時並行でプレイしていまして、そちらのストーリーも読むとなると純粋に時間が足りないんですよね。なので、イベストに関しては、読まなくても話に付いていけるものはもうはじめから読まないという判断を自分のなかで出しました。
きつ:自分の時間は有限ですからね。結局、ストーリーをスキップしても他の方から良い評判をきいたさいに振り返って読めますから、無駄な時間を可能なかぎりなくすという方針の上では良い考えかただとおもいます。ただ、僕の場合はもう、チラシでもなんでも文字があったらそれを読まないことに耐えられない性分なので。後悔することはもちろん多々ありますがそれでも僕は読みますね。
芙束:後悔することはやっぱりあるんですね?
きつ:あります(笑)
芙束:私だけではなくてよかったです、安心しました。
きつ:ただ、僕は眼のまえに出てきた文字は全部読みますが、文字を出すための努力はしないので、たとえばマイルームでのキャラクターボイスなどを自分から読んだり聴いたりはしませんね。
芙束:……でも、バレンタインイベントの周回はするんですよね?
きつ:あれはチョコレートを貰ったときに出てくるので。あと、文字を出すための努力はしないといっても周回は苦じゃないんです。好きではないですが、心を無にしてマシーンになれば周回できます。
羊谷:心頭滅却すれば火もまた涼し、と。
FGO プレイヤーとシナリオ
羊谷:では次の質問で、みなさんのお好きな章やイベントのストーリー、また、お嫌いな章やイベントのストーリーはなんですか?
きつ:いちばん好きなのは「絶対魔獣戦線 バビロニア」です。登場するキャラクターが、皆、生き生きと描かれていて、僕のなかでキャラクターと表現のあいだに違和感が少なかったので。あと、エレシュキガルが好きです。自分で「バカだなぁ」…と自覚しつつも、自らに与えられた義務を果たすキャラクターが好きですね。周囲の盛り上がりもふくめるとやっぱり第一部終章はすごく面白かったです。物語単体として観るとちょっとどうかなとおもうところもありましたが、嫌いなものはあまり記憶に残っていないというか、あまり記憶に留めないようにしているのでパッとは出てこないですね。ただ、FGO にかぎらず、僕がものすごく嫌いなロールプレイングゲームにおける演出がありまして……、それが、プレイヤーキャラクターを使って内緒話されるというものです。憎んでいるといってもいいぐらい。具体的には、プレイヤーが主人公視点で選択肢をえらんで物語を進めているのに、演出上、プレイヤーに内容を隠しておきたい場面だけ他のキャラクターと内緒話をされるのに結構苛立ってしまい、その演出が多用されると「こっちを無視するんだったらそもそもおれに操らせるんじゃねェ!」とおもっちゃいます。
芙束:プレイヤーとプレイヤーキャラクターでもっている情報が同じであってほしい、主人公との距離感に一貫性をもたせてほしいということですよね。わかります。
羊谷:いまいちピンとこないんですが、制作者視点でその演出になにか意味はあるんですか?
エラ:たとえば、大事な戦いでの「逆転の秘策」を隠している場合にそういう演出が入りがちですね。主人公もサーヴァントもその「秘策」に従って動いてはいるけども、読み手であるプレイヤーにもそれが発動した瞬間にはおどろいてほしいから非ゲーム的な演出としてそれを隠してしまう、と。でもゲームシナリオではプレイヤーとプレイヤーキャラクターの距離が近いから「その内緒話は意味わかんないだろ」というのがきつねつきさんの苛立ちだとおもいます。
羊谷:なるほど。他の方はどうですか?
てら:私がいちばん好きなのはきつねつきさんも挙げた「バビロニア」と、イベントの「深海電脳楽土 SE.RA.PH」ですね。次点でいうと「妖精円卓領域 アヴァロン・ル・フェ」です。いずれも奈須さん中心のシナリオですね。「バビロニア」は人間関係と 2 部につながる滅びの美学。ふだんは高みの見物を気どってやられるギルガメッシュが、滅びの過程で過労死するまで苦労しているのがめずらしくて楽しかったです。「SE.RA.PH」はひとりづつやられるホラー推理とみせかけて、奈須さんの乙女回路がヒロインふたりをとおして炸裂するのが胸キュンでした。アンケートの度に「途中参加者もプレイできるように SE.RA.PH を常設イベントにするのだ!」と訴えていました。あとはマンガ家の経験値さんによる歴史愛あふれる「ぐだぐだ」系でしょうか。第 2 部以降はあまり好きなものがなくて、嫌いというほどではないですが少し寂しい想いをしていますね。
芙束:私もみなさんとおなじで「バビロニア」も好きですが、なかだるみを感じた面もあったので、実はその前の「神聖円卓領域 キャメロット」の方が好きです。キャメロットのボスの獅子王は主人公たちと同じように人類を救済することを目的にしているんですが、その方法論で対立している。それまでの章では特異点の元凶を倒して修正するだけだったのですが、ここにきて「その正義は正しいものなのか?」という信念バトルがはじまるのが、物語が一気に大きくなった気がして楽しめました。あと 1 部の終章はリアタイしていて本当によく盛り上がりましたし、そこからの 2 部の序への繋ぎは、2016 年末にしかできないストーリーテリングとファンダムの熱量の高まりを感じられてよかったですね。あと、個人的な好みでは第 2 部 2 章の「無間氷焔世紀 ゲッテルデメルング」です。マシュと対比的におかれていたオフェリアが成長し、親として振舞うようになる流れはグッときましたね。
羊谷:「キャメロット」は先程挙げられた青ノさんの本格復帰のきっかけとなった章でしたね。青ノさんのいちばん好きなシナリオはなんですか?
青ノ:「禁忌降臨庭園 セイレム」と「カルデア・スリラーナイト」です。だって、アビゲイルがメインなんですよ?
羊谷:お、おう……。
青ノ:どちらもシナリオが面白かったのですが、やっぱりアビゲイルがめっちゃ良かったですね。前者は「罪と贖い」というアビーが抱えているテーマに対し、シャルル=アンリ・サンソンをとおして「死は明日への希望なり」というひとつの答えを提示した構造がよかったです。後者の夏イベントの方は……、星 5 の水着姿のメインヒロインがボスキャラとしてこちらを全力で容赦なく倒しにくるんですよ?「やった、TYPE-MOON だッ!アビーをちゃんとこちらを殺しにくるキャラクターとして書いてくれたッ!」と嬉しい気持ちになりました。
てら:「殺し愛」ですね。
羊谷:なるほど……。では、芙束さんと青ノさんの嫌いなシナリオはどうですか?
芙束:私は先程話したようにイベントストーリーはもうほとんど読んでいませんし、メインストーリーにも嫌いなものがいっぱいあります(笑) 第 1.5 部は嫌いで、最初の「悪性隔絶魔境 新宿」が少しよかったぐらいで他は覚えていないぐらいです。あと、青ノさんが仰っていたように第 1 部の最初の方もまだまだ手探りな感じで、4 章の「死界魔霧都市 ロンドン」と 5 章の「北米神話対戦 イ・プルリーバス・ウナム」でエンジンがかかってきて、その次の「キャメロット」でやっと本気を感じられるようになってきた記憶がありますね。
青ノ:わたくしは第 1.5 部の「アガルタの女」が嫌いです。あれだけ女性論を前面に打ちだしておきながら物語のオチがすごく男性中心主義的だったので「こいつらどこまでいってもエロゲ的女性像しかもっていないんだな、水瀬、どうなんだそのへん?!」とおもってしまいました。あのシナリオは今でも納得いってないですね。
きつ:あれには僕もだいぶイライラしました。
てら:ダメなポリコレのはしりみたいなシナリオでしたね。私も嫌いです。
青ノ:社会的な正しさに徹していたらまだよかったんですが……、実のところすごく男性中心主義的じゃないですか。あれはいただけない。
羊谷:なるほど。では、エラシカさんの好きなシナリオと嫌いなシナリオもおねがいします。
エラ:私は、そうですね……、自分の好きな章をあえてひとつに絞り込むと、第 2 部 3 章の「人智統合真国 シン」でおねがいします。私は読むのがこま切れになりがちなので、全体の流れというよりは自分のなかで記憶に残ったシーンでみちゃうんですが、始皇帝がいちばん最後に「殴って決める。殴り返すことも特別に赦す」と言い出したときに私のなかでは「勝ったなッ……!」という気持ちになりました(笑) このセリフにたどりつけたことで私のなかではとても良いものになり、永世帝国シンが好きになりましたね。嫌いな章は……、第 2 部 5 章の「神代巨神海洋 アトランティス」が好きだったのに「星間都市山脈 オリュンポス」が刺さらなかったことを根にもっている節があります。
一同:ああ~。
エラ:話の運びかたや演出の影響もあったとおもいますが、自分にとっての気持ちよさや納得感がないお話の進行で、シーンのインパクトもなくただ苦しいだけの体験でちょっと拍子抜けしてしまいましたね。それと、イベントストーリーでいうと、これは完全なる Dis として受けとってもらってかまわないんですが……、スーパーバニヤンが実装された「連続活劇神話 ミシシッピ・ミササイザーズ」だけは本当につまらなくて、イベントストーリーをはじめてスキップして無理やり最後まで走り切ったことが私の心の傷になっています。
一同:(爆笑)
羊谷:エラシカさんが何かをそこまで悪くいうのはめずらしいとおもいますが、具体的にそのシナリオの何が良くなかったんですか?
エラ:おもしろくないだけでなく、不快で、許せなかったんですよね。お話じたいはスーパーバニヤンとメアリー・アニングというふたりの女の子の意志や願いを軸にして進むのですが、あらゆるタイミングで決断のしかたが不愉快でした。自分のことしか考えないような「安い」不愉快さではなくて……、もう記憶から消してしまったんですが、なんだか気に入らない感じのしゃべり方と話運びの仕方をしていて。なので「コイツ、嫌い」という気持ちだけが残り、その結果、スーパーバニヤンが出る可能性のあるガチャはいっさい引かないというルールが生まれました。コイツがうちのカルデアに来ることはちょっと歓迎できないな、と。
きつ:嫌いなものを記憶から消してしまうのはよくわかりますね。他のひとにいわれてはじめて「ああ、そんな感じだったな~」という思い出が僕もうっすら蘇ってきました(笑)
芙束:でも、嫌いといえるほどマイナスに突き抜けるのはめずらしくないですか? 私はむしろ「面白くなかった」とか「良くなかった」みたいな、マイナス寄りのフラットで「読む価値なかったな」で終わることが多いので「嫌い」といえるほどマイナスに突き抜けた感情をもつことはあまりないですよ。
エラ:いやァ、不愉快でしたね~。物語では、このキャラクターの欠点はあとで解消されたりしっぺ返しを喰らったりするんだろうなという期待をもたせる描き方がありますよね。でも、そういうあとでひっくり返りそうな気配もしなかったので「もう飛ばすわ……、こいつらの解決をオレはみない!」となりました。ただ、これだけは伝えたいのですが、私は「ミシシッピ・ミササイザーズ」のシナリオがこんなにも受け容れられないことに当時真剣に悩みまして、ふだんはみない FGO スレのイベントの評判を読み漁り、私はそこまで異常じゃない、仲間はいるんだという後ろ盾を得てから切り捨てました。ごめんね、バニヤン。
FGO プレイヤーとコミュニティ
羊谷:では、みなさんは FGO をとおした他人との関わりにはどういうものがありましたか?
きつ:うーん、僕はわが家の周回担当としててらぴんさんのプレイを手伝っているぐらいですね。あと、昔、お昼に AP を消化するために職場で起動していたらうしろから「あ、FGO やっているんですね~。僕もやってるんですよ!」と声を掛けてくれたひとに、数年後「まだやってるんですか?!」と驚かれたことがあります。
エラ:私は逆に、友人とのコミュニケーションに FGO を使うことが多いです。FGO を遊んでいるひとだと、最近のプレイ状況やイベントの感想などから話にはいることがありますね。同人活動をしているひとも身近に多いので、今はだれとだれのカップリングがアツい!みたいな話がよく飛んできます。インパクトのある話でいうと、たまたま知りあったひとがオベロンにかなり狂わされていて、私が話の流れで「FGO やっているんだ~」といったら「オベロンはどうですか?!」と喰い気味に来られたことがあります。
一同:(爆笑)
エラ:こちらが FGO を知っていると認識した途端にその方の口がとても軽くなり、どうやらオベロンと藤丸立香(♀)のカップリング、通称「オベぐだ」と呼ばれるものの同人誌を描いていることを熱くぶち撒けられたことは忘れられない思い出ですね。そして、そんなことをいわれたので私も「オベぐだ」の小説を一本書いてプレゼントしたら「これで生きていけるわ」と返事がかえってきました。同人作家はいつでも新規の書き手に飢えてますから。
てら:FGO ファンの女性陣はそちらの方面が多いですよね。
エラ:はい、自分でキャラクターを書いて組みあわせるという。男性同士も、男性と女性もあります。
羊谷:FGO でのコミュニケーションでいうと、青ノさんもファンサイトを通じておなじ型月ファンとの繋がりを楽しまれているんですよね?
青ノ:はい。なにか高尚なことを議論するわけではないですが、その「好き」で繋がった愉しいだけの会話に救われてきましたし、今も救われています。わたくしの場合は珈琲と詩がそうでしたが、なにか自分の好きなものをひとりで追究して、ストイックに質を高めて……、という偏った生き方だけでは足りない、日常をほんのりと楽しく生きることの大切さをそのコミュニティからあたえてもらいました。
羊谷:なるほど。芙束さんはどうですか?
芙束:リアルで知りあったひとのなかでも、FGO や他の型月作品が好きという共通項をもって仲良くなったひととは付き合いが長く続きやすい印象です。やっぱり、ネタが定期的にアップデートされるので話の種にすごくいいんですよね。今回のイベントはどうだったとか、ガチャで低確率のだれだれを引けたよ、とか。あと、私は毎年かならず FGO フェスに参戦していまして、第 2 回や第 3 回の頃はまだ交通整理がされていなかったので朝早くいけばいくほどはやく入れるという状況でした。なので、私も友だちと深夜からならんでいたので、一緒にならんでいるとなりの FGO ガチ勢のひとたちと世間話をして仲良くなることがありました。ここ最後尾ですよね、とか、何時から来ているんですか、とか。当時はまだ「推し」という言葉もなかったので、どのサーヴァントが好きなんですか、とか。それがきっかけでゲーム内の ID を交換して今でもフレンド欄にいるひとたちがいますね。
羊谷:いい話ですね。
芙束:もちろん、個人的な付き合いが続いたわけではないですが、そうした一期一会の出会いはなかなか忘れられないので「〇〇さん、今でもログインしているんだ」とか「宝具 5 に上げてる~」とか、遠い親戚の近況報告みたいなものがゲーム越しに届いてくる楽しさが、初期の FGO フェスならではの出会いとコミュニケーションにはありました。さらに似たような話をすると、炎上しやすい話題ですがやっぱり「フレ厳選」ですね。
エラ:でたッ……!
芙束:FGO プレイヤーの一部にはフレンドを厳選するという文化があります。イベントなどでたくさん周回するひとにとってはフレンドが育成不足のサーヴァントをだしていると周回の邪魔になってしまうので、自分とおなじ周回目的のフレンドだけを集めてストレスをなくしたいんですよね。だから、たとえば「レベル〇〇以上のひと限定」といったかたちでフレンド募集しているひとが昔から X/Twitter にいたので、それがきっかけで FF 関係がまだ続いている方が私には結構います。そういうひとが最近は FGO をやっていなかったり、引退と復帰を繰り返していると少しかなしい気持ちになりますね。
エラ:FGO はサポートにもとめる要件がこまかいうえに、パーティー編成にひとりもいれないことが基本的にはできない仕様なんです。そして、プレイヤーがそのサポートサーヴァントも自分の戦術に組みこもうとすると、そこに合致しないフレンドのサーヴァントはできることなら表示すらされてほしくない……、だからフレンド厳選にたどりついちゃうんですよね。この戦術はスキルレベルがマックスじゃないと成り立たないだろうがよ~、なんでスキルレベル 8 で出してんだ、コイツ!ということが起きてしまう、と。
芙束:宝具 1 で出すな、宝具 2 で出せ、とか、レベル 100 にするのが最低限だとおもっているひとに 90 で出すと怒られる、とかですね。
エラ:第三再臨で出してくれないと話にならないとか。
芙束:そうね。
羊谷:おまえと FGO やるの、息苦しいよ……。
一同:(爆笑)
芙束:なので、炎上するんですよ! まあ、周回効率を優先したいひとは優先したいひと同士で集まっているからそれでいい、みたいなところはありますけどね。私もガチっていたときはちょっとだけ厳選していました。
てら:私もきつねつきも今「こわっ」とおもいながらきいています、ゆるいタイプなので。
きつ:概念礼装が凸ってさえいれば自分のサーヴァントだけで十分戦えるのでフレンドどうこうというのは考えたことがないですね。もちろん、たまにぼやーっとポチポチしているときに概念礼装が低いものがきて「チッ」とおもうことはありますけど。フレンドにそこまで期待していないといいますか。あと、今は未凸概念礼装のフレを表示しないフィルターが追加されたのでありがたいです。
エラ:まあ、突き詰めると、たとえば「スカスカ編成」のようにおなじサーヴァントを二枚挿したいという戦術もあるので、こればっかりはフレンドにちゃんと出してもらわないと成立しないんですよね。
芙束:「スカスカ編成」全盛期は自分のぶんのスカディすら引けなかったのでだいぶ苦労しました。でも、あのときはフレンドのだれもが「『スカスカ編成』ならいけます」しかいわなくなったので、逆に周回の速さを追い求めたりとか、推しを使い続けることを至上したりとか、周回効率だけではないいろいろなスタイルの FGO プレイヤーをみれたので良い経験になりました。
FGO プレイヤーの作品評価
羊谷:では次の質問で、みなさんの FGO の好きなところと嫌いなところはなんですか?
きつ:意外におもうかもしれませんが、実は僕は FGO に特別な思い入れがあるわけではないんですよね。周回がんばらなきゃ!と眼の色を変えているわけでもないですし。たまに面白い話があるので続けていたら気付けばながい年月が経っていた、といいますか。ただ、おもしろい話もおもしろくない話もありながら、自分がかわいいとおもえるキャラクターを 10 年以上使いながらおなじ物語を楽しめ続けられるゲームは他にないので、その継続性じたいに、FGO は凄いな、いいな、とおもっています。ただ、ノルマ消化はさすがにキツいので、FGO が終わっても終わらなくても他のソシャゲをやることはもうないですね(笑) 嫌いなところは素材集めです。僕の場合、目的をもってはじめるとキツくなるので、落ちたものを拾うのはいいけど「〇〇を 100 個集めろ」といわれると胸にくるものがあります。
てら:私の好きなところはやっぱりシナリオですね。もともとの遊びはじめた目的が奈須きのこさんのシナリオを読むことでしたし、先程エラシカさんから「シン」の話が出て、たしかに虚淵玄さんのお話もよかったなと思い出しました。あと、羽海野チカさんのような神がかった絵師さんを連れてきたり、絵とお話の両方でコラボレーションに意欲的なところもいいなとおもっています。あと、嫌いなところはやっぱり、周回をふくめてのゲーム性です。でも、ゲーム性をどうにかしろと言うつもりはいっさいなくて、シナリオ重視でこのまま突き進んでくださいという気持ちでいます。
エラ:私は FGO のテキストとしての物量の多さを愛していますね。たとえば、イベントのなかでは敵の名前が他のものに挿し代わることがあります。なんてことない騎士の姿のエネミーが「ストリートパフォーマー」だったり「非モテ警察」だったりするのはまだいいほうで、もっとわけがわからないフレーズが付くこともあります。「誤植・ネバー・ダイ」とか「台割は2度死ぬ」とか。そういう言葉のうえでの遊び心が自分にとってはリッチな物語体験に繋がっているのでありがたいです。サーヴァントの名前も「パリピ軍師」とかに平気で書き換えますし。そういうこまかい工夫はこれからも失わないでほしいなとおもいます。嫌いなところは、たぶん他のみなさんが挙げてくれるのでそれに任せますが、強いていうなら私のようなカジュアルゲーマーでももう少し遊びやすくしてくれたら嬉しいです。あと、冠位システムの話になりますが、私はサーヴァントをひらたく育てたいタイプなので、冠位という新システムが実装されたときに「あなたのなかの特別を決めてください」「いや、特別は決めたくないんだが?」という気持ちになりましたね。
きつ:たしかに。
エラ:あれは受け容れるのにだいぶ時間がかかりました。それまでは聖杯というレベル上限を超えさせるものもいっさい使わない縛りをしていましたから。もちろん、それはあくまで私のこだわりなので今は受け容れていますが、FGO はいろいろな遊び方を許容する作品だとおもっていただけに、だれか特別なサーヴァントを決めないとストーリーすら読ませてもらえないのは悔しかったですね。
きつ:いやあ、クラスあたりひとりは……、僕もキツいですもん。
エラ:足りないと感じたひとも、選べないとおもったひともいらっしゃいますよね。でも、先月からはじまった新章では 2 クラスでの冠位認定戦を終わらせることが開放条件になので、運営の方針としては「愛を偏らせなさい」といってきてはいますし、私は「そうじゃなくない?」と感じる側です。
芙束:冠位絡みでいうと、冠位の設定上の強さにたいして性能が追い付いていないので、ゲーム体験に不協和が生まれていますよね。すべてを破壊するぐらいの強さであってほしいです。
エラ:冠位サーヴァントはあれこれ育成しないとシステム的にそこまで届かないですしね。なんなら冠位になってからもやることがありますし。でも、その育成コストのわりにゲーム内での破壊力として反映されてこないので不満をもちやすいシステムになっているんじゃないかな、と。
芙束:そう、気持ちよくなれないんですよ。私は FGO をシナリオの設定とプレイヤー体験とのズレをどう修正するかを課題としてきたゲームだと考えています。それは、エラシカさんが先程仰ったようにストーリーに登場するキャラクターを戦闘時に選べるようにしたりといった工夫に繋がりますが、その課題をがんばって修正してきたのにひさしぶりに冠位システムというズレたものが出てきてガッカリしてしまいました。今でもその不均衡をどうにかする方法が何かあるんじゃないかなと考えています。
きつ:冠位サーヴァントをサポート宝具のサーヴァントにしたときの切なさというか、寂しさは、僕の胸のなかに凄く大きくあります。
芙束:わかりますね。
エラ:うん、わかる。
きつ:僕は、キャス狐をキャスターサーヴァントのグランドにしているんだけど……、周回でまわすにせよ何をするにせよ、この切なさよ、とおもいながらサポートに入れています。それでもキャス狐が好きだから使い続けるんですけどね。
芙束:私の友だちもキャス狐推しなんですが、血の涙を流しながらきのこを罵倒していました(笑)
羊谷:僕も、ゲーム的な強い弱いよりも、フィクション的な好き嫌いを優先するタイプのゲーマーなので、気持ちは想像できますね。青ノさんの FGO の好きなところとはどうですか?
青ノ:奈須きのこが、自分は商業的に成功した男であるにも関わらず、それを支えるこの世界の資本主義や消費社会というシステムに根っこからの憎悪をもっていて、FGO でもそれを垣間見せてくれるところが好きですね。それこそ先程話題に出たオベロンというキャラクターがその象徴ですが、第 2 部 6 章「アヴァロン・ル・フェ」で奈須きのこがオベロンを登場させて消費社会への悪意をシナリオ全体からぶつけたとき、わたくしはあまりに嬉しくて嬉しくて、真夜中にも関わらず大笑いしてしまったことを今でも覚えています。やった、奈須きのこが魅せてくれたッ!やったァ!と。
羊谷:そのオベロンというキャラクターは FGO でも屈指の人気サーヴァントのひとりなんですよね?
てら:はい。ひとことでいうと、女性ウケをめちゃくちゃ狙いにいき、女性人気が実際にとても高いサーヴァントです。
羊谷:なるほど。消費社会、とくに物語を「消費」する社会へのアンチテーゼとして描かれているのはわかりますが、僕にとって FGO は、たとえば、女性サーヴァントの 7、8 割が霊基再臨によるイラスト変更で肌の露出をふやしたりグラビアポーズをとらせたりするような、特定のユーザー層の趣味嗜好にたいして「えげつない」刺しかたをするゲームなんですよね。もちろんそれは基本プレイ無料のソシャゲとしてはふつうなんでしょうが、プロダクトの大枠としては消費社会に全力で乗りつつも、そこに一抹の「悪意」の毒を盛ることをどう評価すべきかは難しいものを感じます。まあ、このあたりは大きな話なので、後篇でも再度話しあいましょう。では最後に、芙束さんの FGO の好きなところ、嫌いなところはなんですか?
芙束:私の FGO が好きなところはもちろんストーリーの面白さもありますが……、いちばんは、型月のファンをふやしてくれたこと、FGO の功績はこれに尽きるんじゃないかな、と。
一同:ああ~。
芙束:やっぱり、ソシャゲという媒体以外で TYPE-MOON というブランドがここまで大きくなることはなかったでしょうし、その結果として、月姫のリメイクや格闘ゲームの MELTY BLOOD: TYPE LUMINA に繋がったので FGO には感謝しています。あと、奈須きのこは「こういうのをやりたいんだよね!」と構想をぶちあげるわりに実現までいかないことがよくありますが、FGO の場合には、第 2 部終了まで 9 年かかりましたけど、それでもきちんと物語の終わりをみせてくれたことは今のところ良いところなのかな、と。とくに第 1 部は日本のゲームの歴史に残るんじゃないかとおもうぐらい好きで、具体的には現実の時間とリンクしている演出をとても高く評価しています。その反面 FGO の嫌いなところは、やはり、終わらないことですね。
羊谷:え、それはつまり、FGO にサ終してほしいということですか?
芙束:はい。一刻もはやく終わってほしいです。これはちょうど第 2 部が結末を迎えたばかりなのもありまして、凄く時間はかかったものの物語としてはきれいに締められたので、ゲームもそこで締めてほしかったです。もちろん、商業的にそれが難しいのはわかりつつも、他のスマホゲームや MMO のようにいつまでも終わらせられないゲームになってしまっていることは FGO のストーリーと合致していないとおもうんですよね。だから私は、きのこのやりたいことってこの終わらせられないものなの?本当にこれをやり続けたいの?という想いでいます。
FGO プレイヤーの望むもの
羊谷:先程の「終わる」「終わらない」の話に続けて、正味な話、みなさんは FGO に飽きていますか?
一同:……。
きつ:僕は面倒だなとおもいつつも飽きてはいないですね。
てら:私は飽きているかどうかでいうと、最初から好きなシナリオ以外はとっくに飽きているので……、今更といいますか、最近にはじまった話ではない、という感じです。
芙束:つまり、ずっと飽きている、と?
てら:そうともいえる(笑)
羊谷:僕にはどうしてもわからないんですが、ずっと飽きているのになぜプレイを続けるんですか?
てら:好きなシナリオがたまに出てくるからです。
エラ:たまに、ね。
きつ:本当にたまに、ですよね。
芙束:たまーに、ね。
羊谷:満場一致じゃねえか!
芙束:数年に一回とかじゃないかな~。
羊谷:そのたった一回のためにみなさんは毎日励んでいるんですか?
てら:そんな、私たちを正気に返らせるような発言はやめましょうよ!
エラ:まあでも、たまにその「アタリ」のシナリオが出てくるだけでどれくらい我々にはありがたいかという話ですよね、これは。全体としては「おいおい」とおもうところが多くても、ある一瞬華やかで「クッソ、超面白いな、こいつ」とおもえたらすべてが報われたように感じるので……、私なんかは続けられちゃいますね。FGO にはそういう瞬間が間違いなくありました。清少納言、面白過ぎたもんな~。
てら:いわゆる、当たり続けるものでも外れ続けるものでもなく、外れ続けるがたまに大当たりがあるものがいちばん中毒性があるという話ですよね。
芙束:FGO はキャラガチャだけじゃなくて、シナリオガチャでもっている節はあります。
エラ:シナリオガチャは本当にあるとおもいますよ。FGO からは一部の界隈が信じられないくらいざわつくシナリオが時々飛び出すんですよね。この前の新選組のイベントでは藤堂平助の扱いをめぐって盛大にファンをたぎらせていました。とくに通称「ぐだぐだ」といわれるシリーズでは、日本の幕末や新選組などのファンのあいだで大フィーバーを巻き起こしてきた実績が FGO にはあるんですよね。坂本龍馬と岡本以蔵の組みあわせや、高杉晋作が登場したときなどはほんとうに凄かったです。そして、そういうひとたちにとってはそんなキャラクターが一度登場したら向こう 5 年は飯を喰っていけるので……、当たり外れのある「ガチャ」とはいえ、5 年も楽しめる魅力的なキャラクターが 5 年にひとり飛び出したらそれはもう間断なく供給されているのと同義ですからね。
芙束:FGO はそういう特定の界隈をざわつかせることを散発的に続けているのが凄いですよね。オベロンや徐福の盛り上がりも激しかったな……。
エラ:型月の来歴からして、FGO は同人文化と比較的仲が良いといいますか、おおらかで、親和性が高い風土があることも大きく影響していそうだなとおもっています。
てら:あと、FGO はキャラクターごとに差はあれど、女性ファンにも男性ファンにも両方訴求できているのが凄いところですよね。
一同:たしかに。
羊谷:では最後の質問で、みなさんはこれからの FGO に何を望みますか?
芙束:私はやはりサ終ですね。先程話したシナリオガチャに外れすぎたのでもうとっくに飽きていますし、最初からずっと飽き続けてもいますが、私にはサ終以外でこのゲームを止めるという選択肢がないので……、一刻もはやいサ終でこのゲームから私を解放してくれることを望みます。
羊谷:・・シテ・・コロ・・シテ・・。
一同:(爆笑)
芙束:あと、サ終を望むもうひとつの理由がありまして。別のスマホゲーム、SINoALICE とメギド 72 の終わりがすごくキレイだったんです。SINoALICE は収益分岐点を割るまえにサ終するために物語を終わらせ、メギドは 12 章でメインストーリーが完結したためサ終しました。私は、物語の終わりとサ終がうまく結び付いた後片付けのきれいなスマホゲームに出会うという幸運な経験をしてきたので、理想が高くなっているといいますか、FGO にもそのきれいな幕引きができるんじゃないかと期待してしまっています。ぐだぐだと続けて、ぐだぐだになりながら、ぐだぐだとサ終していくのではなく、ちゃんときれいに有終の美を飾ってほしい、と。FGO にはそれがきっとできるはずだ、と。
きつ:物語としての終わりとゲームとしての終わりをキレイにあわせることはすごく難しいとおもいますが、でも FGO にはやってほしいですよね。人気があるからとずるずる続けて、人気がなくなってきたところでサーヴィス終了なのは尻切れトンボな感じがして凄く切ないものがあります。もちろん、売れているという商業にたいして、それが売れている状態で止めることはなかなかできないとおもいますが、それを格好良くできたら素晴らしいよね、とはおもいますね。
エラ:マンガでもよくいわれますよね、連載が長く延びすぎることの弊害は。でも、ゲームは関わっているひとの数が段違いなのでより難しいとはおもいますが。
羊谷:なるほど。他の方はどうですか?
きつ:僕は、予想を裏切るような未来に繋がる話の展開をしてほしいですね。今、お話としては第 2 部終章できちんと終わっていて、時系列を少し遡ったところの外界とは隔絶した場所でちいさなお話をしている状態なんですよね。たとえるなら、劇場版のドラえもん、みたいな。だから、単発イベントを繰り返すだけではなく、話の本筋を先に進めるような物語の展開を期待しています。
てら:私はきつねつきさんとは逆で、あの本編の終わりかたでは SF 的にこれ以上はもう続けられないんじゃないかなとおもいます。だから、これからはもうファンディスク的なストーリーでいいかな、と。Fate/stay night にたいする Fate/hollow ataraxia とか。FGO でいうと、Fate/EXTRA CCC に対する「SE.RA.PH」のような、TYPE-MOON の世界を拡げながらそれ単品でしっかり読める良質のお話を出してもらえれば、とおもいます。本編の終わりかたが好きだというわけではないですが、これ以上続けるなら外伝方式が良いのではないでしょうか。やっぱり本編の終わりかたが「次の章……、どうするの?!」というものだったので。でも、希望をもっているわけではないですが、今後本編を続けるとしたらどういうものが出てくるのか興味はあります。
エラ:私もかなり近いですね。とくに自分の希望や期待があるわけではないですが、これからどうするんだろうな、と後方腕組み見守り態勢にはいっています(笑) やっぱり、ゲームのシナリオとしてこれだけの長さや物量や存在感になっているものはほとんど類例がないので、さて、どうしてくれるんだろうな、と。そこから何が出てきても「おっ、そうするんだ~!」と観察者的に楽しめるので、私にいえるのは「早よ見せて」、これだけです。
きつ:そうですね。僕自身ではもう、あの本編の終わりをこれからどう続けられるのかまったく思い付かないんですよ。だからそれを良い意味で裏切ってほしいですよね。
芙束:私もそれはよくわかるんですが、かといって、いい意味で裏切られるヴィジョンも思い浮かばないので、晩節を汚さないでほしいなという気持ちの方が強いです。
てら:それもよくわかります(笑) 私自身も第 2 部が終わったときに、奈須さんはもう FGO から手を引いていいんじゃないかな、とおもいましたもん。
羊谷:なるほど。FGO と 10 年以上走り続けたみなさんのなかで四者四様の熱い想いがあることはよく伝わりました。では最後に、青ノさんのこれからの FGO に望むことはなんでしょう。
青ノ:フォーリナー章です。理由は……、もう言わなくてもわかりますね?
羊谷:あ、はい。失礼しました。
青ノ:アビゲイル・ウィリアムズは最強です。これだけを覚えて帰ってください。
一同:(爆笑)
羊谷:はい、というわけでね、今回は「FGO プレイヤーの深淵を覗いてみた」と題して古参マスターたちの体験や見方に迫りました。もちろん、途中参入組にも独特の見方があるでしょうし、同人活動をされている方々にもユニークな体験と楽しみかたがあるはずです。本記事が呼び水となり、FGO プレイヤーの多種多様な語りが界隈の外に溢れていくといいですね。次回の解剖企画は、今日とおなじメンバーで「型月ファンとして FGO をどうみるか(仮)」をお送りします。一ヶ月後にまた会いましょう。それでは、また。
追記 1
メインゲストとして参加された芙束さんが、今号の公開にあわせて補完的な文章を書いてくださいました。芙束さんがそれでもなぜ FGO を神ゲーと呼んではばからないか、興味ある方はどうぞ。
追記 2
メインゲストとして参加されたエラシカさんが、今号の公開にあわせて補完的な文章を書いてくださいました。エラシカさん視点での楽屋話や、FGO の特質性、それでもなお批判的発言をした背景などに興味がある方はどうぞ。



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