PlayStationが将来的に物理ディスク販売を終了し、ダウンロード販売へ移行するというニュースが大きな話題になっています。
SNSでは
「中古対策だ!」
「ゲーム文化が終わる」
「時代の流れだから仕方ない」
など、さまざまな意見が飛び交っています。
前回、DLオンリー市場が与える小売店への影響について記事を書きましたので、今回は少し視点を変えて、現在のパッケージ市場は実際にどうなっているのかを数字から見てみたいと思います。
あえて「PS5にとって条件の良い週」を見てみる
「今週はPS5ソフトが少なかったから比較にならない。」
そんな意見もあると思います。
そこで今回は、あえてPS5にとって比較的条件の良かった先週(6月22日~6月28日集計)のファミ通ランキングを集計してみました。
この週は、
- 冒険家エリオットの千年物語(PS5版)
- 007 ファースト・ライト
- EA SPORTS UFC 6
と、PS5の新作・注目タイトルが3本ランクインしていました。
つまり、「たまたまPSソフトが少ない週」ではなく、PS5としては比較的追い風だった週と言えるでしょう。
PS5ソフトが占める割合は約12.3%
ランキング30位について、
販売本数 × メーカー希望小売価格(税抜)
で計算したところ、市場規模は約11億880万円となりました。
なお、ゲーム屋である私の目から見て、このランキング30位以内に入っているソフトで値崩れ(ワゴン価格)しているタイトルは、ほぼありません。
つまり今回の金額換算は、「安く売っているから売れた」という数字ではなく、現在のパッケージ市場のおおよその実売規模を把握する目安として見ても、大きく外れてはいないと考えています。
この中で、PS5タイトル3本の売上を合計すると、
約1億3641万円。
ランキング30位全体に占める割合は、
約12.3%
という結果でした。
もちろん、ここにはダウンロード版は含まれていません。
それでもパッケージ市場という視点で見ると、およそ9割近くをSwitch・Switch 2向けタイトルが占めていることになります。
消化率を見ると、さらに興味深い
今回、もう一つ気になったのが「消化率」です。
PS5タイトルは3本とも60~80%と高い消化率でした。
一方で、SwitchやSwitch 2のタイトルを見ると40~60%程度のものも多く見られます。
一見すると、
「PS5ソフトの方がよく売れている」
ようにも見えます。
しかし、小売店の視点では少し違った見方になります。
消化率が高い背景には、ユーザーからの予約状況や過去の販売実績を踏まえ、小売店が売れ残りリスクを避けるため、発注をかなり慎重にしていることもあるでしょう。
実際、現在はPSソフトの発注を以前より絞っている店舗も少なくありません。
そのため、「売れたから消化率が高い」というよりも、「売れ残りを避けるため流通量自体を抑えている結果、高い消化率になりやすい」という側面もあります。
一方で、SwitchやSwitch 2は予約数や定番需要が読みやすく、小売店も比較的強気に発注できます。
つまり、この消化率の違いは、現在の小売店がそれぞれの市場をどう見ているかを映し出している数字とも言えるでしょう。
決算を見ると、また違う景色が見える
一方で、ソニーのゲーム事業は決算を見る限り好調です。
つまり、PlayStation市場そのものが縮小しているという話ではありません。
現在のPlayStationは、パッケージ販売よりもダウンロード販売を中心に利益を生み出すビジネスモデルへ移行しています。
パッケージ市場では存在感が小さくなっても、デジタル販売で十分な利益を確保できるのであれば、メーカーとして物理ディスクを維持する理由は以前より小さくなります。
今回ランキングを金額換算してみて感じたのは、
「物理ディスク終了」というニュースは突然の決断ではなく、市場構造の変化が積み重なった結果だったのではないか。
ということです。
パッケージ市場ではSwitch・Switch 2が圧倒的な存在感を示す一方、PlayStationはデジタル販売を中心としたビジネスへ移行し、決算では好調を維持しています。
そう考えると、物理ディスクからデジタルへ舵を切る判断は、現在の市場環境を踏まえれば自然な流れだったのかもしれません。
最後に
私はゲームショップを営んでいます。
だからこそ、物理メディアには強い思い入れがありますし、できることならパッケージ文化は残ってほしいと思っています。
しかし、小売店から見える販売状況、ランキングの数字、現場の発注実態、そして各社の決算。
それらを総合して考えると、現在のPlayStationがデジタル中心へ舵を切る理由も理解できます。
寂しい気持ちはあります。
ですが今回、実際に数字を追ってみたことで、「なぜこの判断に至ったのか」という背景が、以前より少し見えてきた気がしました。
これからもゲーム市場は変化していくでしょう。
だからこそ感情だけではなく、実際の販売データにも目を向けながら、業界の動きを見守っていきたいと思います。