新卒デザイナーが未経験からエンジニア領域への越境を決意した話
こんにちは、二宮 啓(ニノミヤ サトシ)です。
昨年9月末に、新卒デザイナーとして入社した CyberAgent を退職しました。その後、先輩や同期、後輩に近況報告をする機会があまりなく、「最近何をしているの?」と聞かれることが増えたため、この記事を書いてみることにしました。
この記事では、僕のこれまでの経験や学び、そして今後の挑戦について、以下の6章に分けてお話しします。
ITの世界に惹かれたきっかけ
小学校の頃、家に帰るとテレビにはロボコンが映っていて、ロボット同士が戦う姿に夢中になりました。気づけば食い入るように見ていたのを覚えています。さらに幸運なことに、実家から歩いて行ける距離に東工大(現在の東京科学大学)があったため、文化祭で実際のロボットを見に行くこともありました。この頃から自然と理科系の分野に興味を持つようになりました。
一方で、家ではゲームやバラエティ番組をあまり良しとされておらず、小学校時代はほとんどそういった娯楽に触れることなく過ごしていました。この状況を象徴するエピソードがあります。小学校3年生のクリスマスの朝、ツリーの下に四角い箱を見つけた僕は、「これはゲームだ!やった!」と期待に胸を膨らませながら包装を破りました。しかし、中に入っていたのは電動鉛筆削り機。子どもながらに大いに落胆したのを今でも覚えています。
そんな僕でしたが、パソコンを触ることは許されていたため、自然とパソコンに親しむようになりました。パソコンで文字を打つ必要に迫られたことで、ブラインドタッチも自然と身に付きました。YouTubeでゲーム実況を見たり、「おもしろフラッシュムービーズ」のサイトを見たり、「すずぬーとさん」のフラッシュゲームをプレイしたり、「棒レンジャー」というフラッシュゲームに熱中したりして、小学校卒業の頃にはパソコンを扱うことに全く抵抗がなくなっていました。
その後中学校に入学して部活動選びではコンピュータ部に入りました。ここで初めて Processing というプログラミング言語に触れ、簡単なメディアアート作品を1年間作り続けました。しかし、その後新しいパソコンが家にやってきたことをきっかけに、 Minecraft にハマり、その後は League of Legends に夢中になりました。同時期には ニコニコ動画 にもどっぷり浸かり、中学2年生から中学3年生の夏までは、学校に通う時間以外は引きこもりのような生活を送っていました。その結果、コンピュータ部も自然と幽霊部員になってしまいました。
そんな僕の生活が大きく変わるきっかけとなったのが、中学3年生の夏休みに参加した Life is Tech! Camp でした。このキャンプは、春夏冬休みの期間にプログラミング、デジタルアートを学べる短期集中型のプログラムです。塾のようなものを想像して参加しましたが、そこには想像を超える楽しい空間が広がっていて、パソコンを使ったものづくりの無限の可能性を感じることができました。この経験をきっかけに、通塾型の Life is Tech! School にも参加するようになりました。
最終的には、高校2年生最後の文化祭で、文化祭案内アプリの制作や景品のクリアファイルデザインなどに携わるまでになりました。このように紆余曲折を経ながらも、パソコンを使ったものづくりが自然と生活の一部になり、ITの世界にのめり込んでいったのです。
新卒でCyberAgentのデザイナーを選んだ理由
大学1年生の頃、僕はダンスサークルに所属し、サークルのイベント用にポスターやチケットをデザインしていました。これがデザインに本格的に関わり始めたきっかけです。そして、大学2年生になると同時に Life is Tech! の大学生メンターとしてインターンを始めました。中高生にパソコンを使ったものづくりを教える一方で、大学生メンター向けの技術向上プログラムを通じて、自分でもアプリやWebサイトを制作しました。
就活を始めた頃、僕は エンジニア職 と デザイナー職 のどちらでキャリアを築くべきかで迷い続けていました。
デザイナーとしては、大学2年生の終わりから休学期間を含め約3年ほど働いていたため、同世代のデザイナーと十分に戦える自信がありました。一方で、「新卒という特別なチャンスを使うのであれば、以前から興味を持っていたエンジニア職に挑戦するのもありではないか?」とも考えていました。趣味程度にプログラミングをしており、個人で簡単なアプリやWebサイトを作った経験もあったためです。
結果的に、大学3年生の終わり頃にエンジニア職での就活を行い、未経験枠ながらも上場企業のエンジニアとして内定をいただくことができました。この内定により、就活に追われる時間が減り、少し余裕ができた僕は、知り合いから紹介されたデザインの仕事を引き受けるようになりました。
その過程で、デザイナーとして働く楽しさを改めて実感し、「エンジニアではなく、デザイナーとして頑張りたいかも?」という思いが強くなりました。そして大学4年生の5月、内定をいただいていた企業に辞退の連絡をし、デザイナーとしての就活を再開しました。
デザイナー就活を再開したタイミングで、 UIDA などのイベントで CyberAgent のデザイナー社員の方々と交流した時のことを思い出し、「この会社で働いてみたい!」という思いが再燃しました。また、 Life is Tech! 出身の知り合いが多く入社していたことも安心感につながり、最終的にCyberAgentへの入社を決めました。
CyberAgentで得た経験と気づき
同期で入社したデザイナーの中で、実務の経験は最も長いと勝手ながら思っていたので、自分は UIデザイン のスキルや Figma の操作にかなりの自信を持っていました。しかし、その自信は、配属先での業務を通じて少しずつ崩されることになります。
僕が配属されたのは Ameba事業部のAmebaブログ チームでした。このチームでは、以前から興味を持っていた Spindle というデザインシステムが運用されており、「本格的なデザインシステムの中で働けるなんて!」と最初は大いにワクワクしていました。
配属後、最も大きな業務となったのが アクセス解析のUI改善 です。このプロジェクトを進める中で、自分のスキルに対する過信に気づかされました。情報設計の荒さや、余白・文字サイズなど細部への配慮、洗練されたUIデザインを作るための「美意識の細やかさ」がまだまだ足りないと痛感しました。特に先輩デザイナーからのフィードバックは厳しくも的確で、1年間にわたりみっちりと鍛えられた経験は、自分にとって大きな財産となりました。
一方で、 グラフィックデザイン に関してはもともと苦手意識があり、自信がありませんでした。しかし、Amebaブログでは 投稿キャンペーン が定期的に行われ、そのキャンペーン用のバナー制作を担当する機会が多くありました。この仕事では、テーマに合ったデザインの表現方法を考え抜き、細部までこだわる経験を積むことができました。
キャンペーンバナーの制作業務では、これまでのデザインスキルを活かしつつ、細部へのこだわりやテーマの一貫性を強く意識して取り組みました。制作過程では、先輩デザイナーからのフィードバックを通じて新しい視点や表現方法を学ぶ機会が多く、デザインの幅を広げる良い経験になりました。
特にキャンペーンバナー制作は、デザイン表現を深めると同時に、より効果的にメッセージを伝える方法を考える場でもありました。こうした経験を積む中で、細部まで練り上げる重要性や、粘り強くアイデアを磨き上げることの大切さを改めて実感しました。
Amebaブログでの経験を積んだ後、Amebaマンガチームに異動となり、さらに幅広いデザイン業務に取り組む機会を得ました。たとえば、友達招待機能や10周年記念ガチャのLPデザインやそれに付随するUIデザインを担当しました。友達招待機能では、招待コード入力画面やLPデザイン、各種バナーの作成を行い、ユーザー体験をよりスムーズにするための工夫を凝らしました。
これらの業務では、LPのデザインだけでなく、マーケティング施策との連携を意識したデザインを行うことで、自分のデザインスキルをさらに成長させることができました。こうした経験を通じて、デザイン表現の幅を広げるだけでなく、より効果的にメッセージを伝える方法を深く考える機会を得ました。
CyberAgentでのデザイナーとしての経験は、自分にとってデザイン業務への理解をさらに深め、デザインそのものへの向き合い方を成長させる貴重な機会となりました!CyberAgentでご一緒させていただいた先輩方や同僚の皆さまには、心から感謝しています。厳しくも温かいフィードバックや日々のコミュニケーションを通じて、多くの学びを得ることができました。この経験があったからこそ、今の自分があると強く感じています。本当にありがとうございました!
なぜ今、エンジニアを目指すのか
CyberAgentでの業務がある程度落ち着き、自分のキャリアについて改めて考える時間が持てるようになりました。その中で、以前から興味を持っていたエンジニアリングの分野に挑戦してみたいという気持ちが次第に強くなりました。特に、UIデザインの中で「このデザインを自分で実装してみたい!」と思う場面が何度もあったことがきっかけとなり、自分の手でデザインを形にするスキルを身につけたいと考えるようになったのです。
僕はデザインの中でも特にUIデザインが得意で、何より好きです。また、デザインシステムという領域にも興味があり、いかに効率的にデザインを作り上げるか、さらにその先の「いかに効率的に実装するか」という部分にも強い関心を持っていました。
振り返れば、大学時代に情報工学の授業をほとんど受けられなかったことや、自分でアプリやWebサービスを作った経験があったこと、さらには就活で一度エンジニア職を目指したことなど、エンジニアリングへの興味を抱くきっかけは多くありました。この興味を抱えたまま、UIデザイナーとして働く中で、「いつかエンジニアリングに挑戦したい」という思いが次第に大きくなっていったのです。こうしてCyberAgentを退職することを決めました。
そして現在、僕は 42Tokyo という機関でコンピューターサイエンスを学び始めています。42Tokyoでは、実践的かつ本格的なプログラミングのスキルを磨くことができ、かつ自己学習を徹底的に求められる環境です。この場所で学ぶ日々は、エンジニアリングへの憧れを現実にする第一歩として非常に刺激的で、充実しています。42Tokyoについて詳しくは、以下のリンクをご覧ください。42Tokyoでの学びについてはまた別の機会で書こうと思います。
退職後の1年で感じたこと、学んだこと
退職後、僕は フリーランスのデザイナー として活動する一方で、 42Tokyo でコンピューターサイエンスを学んでいます。この1年間で特に強く感じたのは、「自分の得意分野を活かしつつ、新しい挑戦を続けることの大切さ」です。
フリーランスのデザイナーとして案件を受ける中で、自分が得意とするUIデザインを中心に、自分のスキルを最大限に活かせるプロジェクトに取り組んできました。これまでの経験を活かしながら、幅広いニーズに応えることで、より多くのクライアントに価値を提供できたと実感しています。
また、42Tokyoでコードを書く中で、「自分はコードを書くことが好きなんだ」と改めて実感しました。UIデザインの知識を活かしながらプログラミングを学ぶことで、自分のデザインを自ら実装できるスキルを磨いています。この経験を通じて、「デザインとエンジニアリングの両方に通じたプロフェッショナル」という新たな目標が、単なる憧れから現実的なキャリア像へと変わりつつあります。デザインとエンジニアリングの知識を掛け合わせることで、より価値のあるプロダクトを生み出せると確信しています。
これからの目標と挑戦
ありがたいことに、大学生の頃からUIデザイナーとしていくつかの会社で働いてきた経験やご縁のおかげで、現在はいくつかの企業様とお仕事をさせていただいています。中には、「エンジニアを目指しているなら、ぜひうちでコードを書いてみないか?」と声をかけてくださる企業様もあり、挑戦を続けられる環境に恵まれていることに感謝しています。
一方で、42Tokyoでの勉強も非常に充実しており、大学時代には学びきれなかったコンピューターサイエンスの知識をじっくりと深めることができています。新しい知識やスキルを吸収していく過程は非常に刺激的で、学ぶこと自体が大きな楽しみとなっています。
これからも、目の前にあるUIデザイナーとしての仕事と、42Tokyoでのコンピューターサイエンスの勉強に全力で取り組みながら、自分のキャリアを再構築していきたいと思います。この道のりを通して、デザインとエンジニアリングの両分野で価値を生み出せる存在を目指していきます。
最後まで読んでくださった皆様に、心から感謝します。ありがとうございました!今後、X(旧Twitter)にてデザイナーからエンジニアを目指す様子や普段のデザイナーの仕事での気づきなどを発信していく予定です。同じようにキャリアチェンジを考えている方や興味をお持ちの方は、ぜひフォローしていただけると嬉しいです
➡️ @ninom2038
(追記)
最近はフリーランスデザイナー兼42学生を卒業して
とある会社のデザイナー兼42学生をしています。
詳しくは以下をご覧ください!
https://x.com/ninom2038/status/1968970941523689940



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