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珠城りょうが語る『VIVANT』続編の“言えない”撮影秘話 「びっくりするかも」

リポーター/ライター
7月期のドラマ『VIVANT』続編と『ファーストクライ 母子救命救急班』に出演する珠城りょうさん(撮影:すべて島田薫)

 今夏の話題作として注目を集めるドラマ『VIVANT』(TBS系)。物語の核心を伏せたまま視聴者の考察を呼び、壮大なスケールと先の読めない展開で社会現象ともいえる大ヒットとなりました。続編もまだ多くがベールに包まれる中、第1シーズンに続き別班・廣瀬瑞稀役で出演するのが、元宝塚歌劇団月組トップスターの珠城りょうさんです。退団後は舞台に加えて映像作品にも活動の場を広げています。今回の『VIVANT』では、アゼルバイジャンロケにも参加。過酷な環境での撮影、福澤克雄監督から受け取った言葉、そして映像の現場で得た手応えについて聞きました。さらに同じ7月クールには、医療ドラマ『ファーストクライ 母子救命救急班』(日本テレビ系)にも出演。話題作2本に名を連ねる珠城さんが、撮影の裏側と俳優としての変化を語ります。

■『VIVANT』続編で再び別班へ 知られざる海外ロケの舞台裏

――再び『VIVANT』に参加すると聞いた時は、どう思いましたか?

 お話を伺った時は、「やはりそうだよね」と思いました。前回の最終回の終わり方を考えても、続きがあることには納得感がありました。ただ、本当に続編があるのか、別班として自分がどう関わるのかまでは分からなかったので、うれしさと共に「また気合を入れなきゃ」とも思いました。

 第1シーズンの時は、まだ映像の現場での経験が浅く、何が分かっていないのかも分からない状態でした。とにかく緊張してしまって、「これで大丈夫なのかな」と考えることも多かったんです。

 でも第2シーズンでは、これまでの経験も踏まえて、自分が「こう演じよう」と感じたものを臆せず出してみようと思いました。今回自分にとって大事なシーンがありましたが、カットがかかった後に福澤監督から「よかったよ」と言っていただけたことは、とてもうれしかったです。

――大事なシーンというのは?

 詳しくは言えないのですが、もしかしたらファンの皆さんや視聴者の方が、出てくる私を見て少し驚かれるかもしれません。でも、あくまでもそれは『VIVANT』の世界の廣瀬ですので、普段の珠城りょうとは別のものとしてご覧ください(笑)。

――つい話したくなりませんか?

 お話しできないことは多いのですが、私は言えないことがしんどいというより、「楽しみにしていてくださいね」という気持ちでいます(笑)。

■アゼルバイジャンロケで体感した“未知の土地”

――海外ロケにも行かれたそうですね

 アゼルバイジャンで撮影させていただきましたが、お話を聞いた時は、お恥ずかしながら「どこ?」と思って、すぐに地図で調べました。親日の国だとは聞いていたのですが、実際に街中やホテル、カフェなどで「日本人です」と言っただけで、すごく喜んでくださる方が多かったです。それがとても印象的でした。

――街の印象はいかがでしたか?

 フライトも含めて12日間くらい、メインの都市から離れた村までさまざまな場所で撮影しましたが、土地によって印象がかなり変わるんです。

 都市部にはヨーロッパの文化も感じられて、旧市街は世界遺産にもなっていました。その近くにはヨーロッパを彷彿とさせる建物がある一方で、ブランドショップや、変わった形の大きなタワーもありました。古い街並みと近代的な建物が同じ街の中に並んでいて、とても不思議な感覚でした。

 ホテルから撮影場所までは車で2、3時間かかることも多く、移動は大変でした。信号がほとんどなく、道路の両サイドには牛が放牧されているという、とても新鮮な光景でした。

■水シャワー、大量の塩ゆでパスタ、体のかゆみ

――海外ロケならではの大変さもありましたか?

 国が変わると、日本での常識や当たり前が通じないこともあります。特に違いを感じたのは水回りです。ホテルは綺麗でしたが、とある施設ではシャワーの水圧がとても弱かったり、ほぼ水のような状態の時もあって、思わず笑ってしまいました。なかなかハードでしたね(笑)。

――食事や体調面はいかがでしたか?

 基本的には、日本人スタッフの方が温かい食事やお弁当を用意してくださっていたので、とてもありがたかったです。ただ、朝早い時間帯や街から離れた場所での撮影では、現地調達になることもありました。

 一度、大量の塩ゆでパスタと塩ゆでチキン、ドレッシングなしのサラダ、スープ、ペプシという食事が出たことがあって、「なかなかこの量の塩ゆでパスタは食べないよね」と言いながらいただいたのもいい思い出です(笑)。

 第2シーズンでの皆さんとの再会は、ただ「久しぶり」というより、前回のモンゴルでもご一緒していますから、「今回も一緒に乗り切ろうね」という、同じ釜の飯を食べた仲間のような空気がありました。

 体調面では、体がかゆくなって湿疹が出てしまったんです。原因は分からないのですが、すぐには引かず、それは結構つらかった記憶があります。帯同してくださっていた医療スタッフの方にケアしていただいて乗り切れたので、とても感謝しています。

■福澤監督の言葉で見えた、俳優としての覚悟

――『VIVANT』の現場を通して、ご自身の中で変われたことはありますか?

 前回の現場では、福澤監督から厳しい言葉をいただいたことがありました。まだ映像の現場に慣れていなかったこともあって緊張してしまい、一言二言のセリフでも、思うように演じられなかったんです。

 宝塚で培ってきたものがある一方で、映像ではまた違う見え方がある。自分ではそのつもりがなくても、姿勢やセリフの言い方一つで印象が変わってしまうこともあるのだと感じました。

 だからこそ、これまでの肩書きではなく、珠城りょうという一人の人間を見てほしいと思い、撮影がない時にも見学に行きました。学びたい、成長したい、誠実に向き合いたいという気持ちを、行動でも伝えたいと思ったんです。

――見学して、心に残っていることはありますか?

 役所広司さんのお芝居を間近で見られたことです。その空気が本当に素晴らしくて、深くて静かで、でも確実にそこにある。人生や人柄、年輪のようなものを強く感じました。ドライ(リハーサル)を見ているだけなのに、心が震えて涙が出そうになったこともあります。これが「人間力」なのかと肌で感じました。

 役所さんが堺雅人さん、二宮和也さんとそれぞれ親子として対峙する大事なシーンに立ち会えたことは、忘れられない経験でした。自分が出ていないシーンでも、現場の集中力や空気と共に、心に深く残っています。

――福澤監督の言葉から受け取ったものはありますか?

 「いい役者とはどういう役者ですか」と伺った時に、「この仕事が好きなら続けること」とおっしゃってくださったことです。私には、舞台で培ってきた滑舌や発声の土台がある。それを生かしながら、映像という別のチャンネルに慣れていけばいい。好きでこの仕事をしているなら、勉強して続けなさいと言ってくださった言葉は、とてもありがたかったです。いい時も悪い時もあるけれど、続けていれば誰かが見てくれている、気づいてくれていると思えるようになりました。

――廣瀬という役では、何を大事にしていましたか?

 廣瀬は別班の一員として、男性たちと共に行動する人物です。その中で生きる覚悟や強さを大事にしながら、ふとした瞬間に見える女性らしさや弱さも、短い場面の中で少しでも出せたらと思って演じていました。

■7月クールで話題作2本に出演 『ファーストクライ』では麻酔科医に

――同じ7月クールでは、『ファーストクライ 母子救命救急班』にも出演されます

 『VIVANT』とは全然違う系統の作品です。もともと医療もののドラマに出ることに憧れがあったので、すごくうれしいです。今回は麻酔科医役で、医療監修の方々に教えていただきながら撮影しているので、学ぶことがとても多いです。

 そして、宝塚のレジェンドと言われる真矢ミキさんと、映像の現場でご一緒できることも光栄です。比嘉愛未さんは個人的に大好きな女優さんで、座長としてとてもいい空気を作ってくださっています。岡部たかしさんとの共演も楽しみでしたし、この現場にいられることが、今一番楽しいです。

 『VIVANT』はヒリヒリとした内容になっていくと思いますし、『ファーストクライ』も命を題材にしているので、ただ楽しいだけのドラマではありません。でも、どこか心が温かくなるような内容になっています。

 まったく違う2作への出演ですが、「同じ人なの?」と思っていただけたらうれしいです。

■退団から5年 葛藤の先にあるもの

――退団から5年。仕事への向き合い方に、変化はありますか?

 いろいろな出会いや葛藤がありました。この5年の間に宝塚のトップではない自分には何ができるのか、価値があるのだろうかと考えることもあって。でも、結果として「続けてきてよかった」と思うことしかないです。やはり表現することが好きなので。

 新たに出会った方々から刺激をもらい、いい空気で仕事が終えられることも多くありました。そういう出会いは自分にとって財産ですし、事務所の社長やマネジャーたちも頑張ってくれているからこそ、つながっているのだと思います。

 だからこそ、いただいたお仕事には一つ一つ誠実に向き合いたいです。今の自分がその作品に出る意味があるかどうか、役柄や内容、タイミングも含めて大切に考えています。

――この先は、どんなふうに歩んでいきたいですか?

 好きなことが仕事になっているのは、とても幸せです。ただ、そこには生みの苦しみや、評価がついてくることへの葛藤もあります。

 私はいろいろ考えてしまうタイプで、頭の中ではよく脳内会議が行われています(笑)。でも最終的には、「なるようになる」と思っているところもあるんです。どんな仕事の中にも「面白い」「楽しい」を見つけて、ワクワクしながら向き合っていきたいです。この先の未来にも、きっと面白いことが待っている気がしています。

【編集後記】

舞台の話をしている時も、映像の現場について語る時も、珠城さんのスタンスは変わらないように感じます。無理がなく、自然とその場に溶け込んでいく。アゼルバイジャンでのロケのお話も、内容だけ聞けば大変そうなことばかり。それでも、思い出し笑いをしながら、とても楽しそうに話してくれました。そのしなやかさが珠城さんらしさとして印象に残ります。

■珠城りょう(たまき・りょう)

1988年10月4日生まれ、愛知県出身。2008年、宝塚歌劇団に94期生として入団。2016年、月組トップスターに就任。2021年、宝塚歌劇団退団。2022年、TBS日曜劇場『マイファミリー』でドラマ初出演。2023年、映画『わたしの幸せな結婚』で映画初出演、PARCO PRODUCE『I am a dancer.Love me?「マヌエラ」』で退団後初主演舞台。2024年、ミュージカル『20世紀号に乗って』で初ヒロインを演じるなど、映像・舞台で幅広く活躍。ドラマ出演は、『VIVANT』(TBS系)、『アンチヒーロー』(TBS系)、『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(NHK大河ドラマ)、『人事の人見』(フジテレビ系)など。

日曜劇場『VIVANT』(TBS系)は7/26スタート。第1シーズンは、全話再放送中(6/27~7/6)。『ファーストクライ 母子救命救急班』(日本テレビ系)は7/8スタート。

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ありがとうございます。
リポーター/ライター

東京都出身。渋谷でエンタメに囲まれて育つ。大学卒業後、舞台芸術学院でミュージカルを学び、ジャズバレエ団、声優事務所の研究生などを経て情報番組のリポーターを始める。事件から芸能まで、走り続けて四半世紀以上。国内だけでなく、NYのブロードウェイや北朝鮮の芸能学校まで幅広く取材。TBS「モーニングEye」、テレビ朝日「スーパーモーニング」「ワイド!スクランブル」で専属リポーターを務めた後、現在はABC「newsおかえり」、中京テレビ「キャッチ!」などの番組で芸能情報を伝えている。

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