東京・杉並区長選 現職の岸本氏が再選、27年ぶり自民推薦の大和田氏にダブルスコア

東京都杉並区長選で再選を確実にした岸本聡子氏(中央)=6月29日午前、同区(奥原慎平撮影)

任期満了に伴う東京都杉並区長選は28日に投票、29日に開票が行われ、無所属現職の岸本聡子氏(51)が、いずれも無所属新人の元区議、大和田伸氏(45)=自民推薦、返り咲きを狙う元職の田中良氏(65)、新人で国際ビジネスコンサルタントの増田義彦氏(68)の3人に大勝し、再選を果たした。

投票率は42.54%で、前回の37.52%を5.02ポイント上回った。次点に倍以上の票差をつけた岸本氏は、「選挙でお約束したことを区民のみなさんと一つ一つ形にしていきたい」と所信を述べた。

選挙戦では、岸本氏の1期4年の区政運営が主な争点となった。看板政策でもある「対話の区政」を掲げる岸本氏は、生活困窮者への支援拡充などの実績をアピール。前回とは一転して特定の政党の推薦を受けず、現職としての知名度を生かして支持を広げた。

一方、27年ぶりとなる自民党の推薦を受けて立候補した大和田氏は、組織をフル回転させて票の掘り起こしを進めたが、区政運営に不満を抱く「批判票」を他の候補と食い合う構図となり、票を積み増すことができなかった。

前回187票の僅差で敗れた田中氏は岸本氏との対決姿勢を強めたが、7万票以上の差をつけられて敗れた。増田氏は区の財政基盤強化などを訴えたが、及ばなかった。

当日有権者数は47万8530人。

同時に行われた区議補選(欠員2)は自民新人と地域政党「都民ファーストの会」新人の2人が初当選した。

無所属現職の岸本聡子氏が2番手以下に、倍以上の差をつけて大勝した杉並区長選。自民党は27年ぶりとなる推薦候補を擁立したが、有権者から明確に「ノー」を突き付けられた。知名度の高い現職が有利とされるとはいえ、高市早苗内閣が高い支持率を維持する中での惨敗は、一部の自民関係者の間で衝撃を持って受け止められている。

「批判票」が分散

「私自身の力不足によって結果を出すことができませんでした。まずは皆さま方に心からおわびを申し上げたいと思います」

岸本氏の当選確実が伝えられた29日午前、自民推薦の無所属新人、大和田伸氏は事務所に集まった支持者を前にこう語り、深々と一礼した。

再選を目指す現職に、大和田氏や返り咲きを狙う元職ら、3人が挑む構図となったことで、区政運営に対する「批判票」が分散すると危ぶまれていた中での惨敗だった。自民内でも告示前から「岸本氏が選挙戦を優位に展開する」との見方はあったが、蓋を開けてみれば大和田氏と3番手、4番手の得票を合わせても岸本氏に届かなかった。

統一地方選へ立て直し

「ここまで差が開くとは…」。大和田陣営のある関係者は言葉少なだった。高市内閣が高支持率を維持する中で票の掘り起こしが不発に終わっただけに、自民内には落胆ムードも漂う。「区議補選の得票からほとんど上積みできなかった。それだけ浸透できていなかったということだ」。同日開票された区議補選で初当選を果たした自民新人と大和田氏の得票差は、わずか3000票余。ある陣営幹部は「『高市人気』は感じなかった。これは別物として考えないといけない」と漏らした。来春には統一地方選を控えており、戦略の練り直しを迫られそうだ。

敗戦を冷静に受け止める向きもある。

選挙戦では、岸本氏の1期4年の区政運営の評価が主な争点となったが、ある自民関係者は「今回の区長選には目立った争点がなかったことも現職にとって追い風となった」と指摘。一方、別の関係者は「中央線沿線はもともとリベラル勢力が強い」と話した。(星直人、永礼もも香)

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